不動産投資本来の収益力をシミュレーションする
不動産投資分析で損益やキャッシュフローは確認されると思います。しかし、もっとも大事な投資全体の収益力を確認する方は意外と少ないです。
不動産投資本来の収益力
不動産投資トータルの収益力を確認するには通常の損益分析、キャッシュフロー分析だけでは不十分です。
1.インカムゲイン + キャピタルゲイン - 投下した自己資金
この金額を確認することで資産増加額を確認できます。投資として不動産を運用する目的は手元に残る資産を増やすことです。この計算をすることで投資によっていくら資産が増えたかを確認できます。
2.IRRで収益率を確認
IRRを使うことでどれだけ効率よく自己資金を運用できたかを簡単に比較できます。
不動産投資の収益力を確認する方法
それでは具体的に見ていきます。
1.インカムゲイン + キャピタルゲイン - 投下した自己資金
前提として認識しておきたいのは、不動産投資の成否は出口まで分からないということです。
出口は多くの場合売却という形をとります。つまり、投資の成否は売却完了まで分からないということです。
トータルの収益力を確認するには、売却までの家賃収入のキャッシュフロー と 売却でのキャッシュフローを合計する必要があります。
この合計から投資開始時に使用した自己資金を引いた金額が本当に増加した金額です。
2.IRRで収益率を確認
IRRは投資収益を確認するのにとても便利な指標です。1つの理由は、時間軸を考慮(同じ金額が手元に残る場合は早い方が高い収益率になる)して収益率を確認できるからです。
※IRRについては「IRRの利用方法と目標値の決め方」をご確認ください
不動産投資の収益力シミュレーション
それでは以下のサンプル物件を利用して具体的な分析をします。
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターで分析
上表はインカムゲイン(家賃収入)のキャッシュフロー分析。下表はキャピタルゲイン(売却)のキャッシュフロー分析です。
確認していただきたいのは赤枠内です。
まず、上表で税引き後キャッシュフロー累計を確認してください。2033年まではインカムゲインのみの累計額。2034年の32,222,953円はインカムゲインとキャピタルゲインの17,016,675円が合計された金額です。
この合計額が投資で手元に残った金額になります。ただ、元々2,000万円の自己資金を投下していますので、実際の増加額は12,222,953円となります。収益力を確認するためにはこの金額を確認する必要があります。
2.IRRで収益率を確認
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターで分析
IRRの中でもATIRRという税引き後キャッシュフローベースで計算するIRR値を使って、売却価格毎のIRRを分析しています。
9,000万円の場合は6.52%となっています。また、7,200万円以下では赤字になることも分かります。IRR値は高ければ高いほど収益率は高いです。
IRRを利用する際は安全資産とされる10年物国債の金利を1つの基準として比較して十分な収益力があるかを確認します。
出口まで考慮した収益力
不動産投資の収益力を語る場合は、どうしても出口について考えておく必要があります。その際にご紹介した2つの分析を行うことでトータルの収益力を確認できます。
(動画)税引後CFとIRRを確認する方法
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「税引後CFとIRR」を確認する方法を動画でご紹介します