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インフレ時代の不動産投資シミュレーション

2024-03-07

今後予測されるインフレ時代は、デフレ時代と異なる視点で、不動産投資を考えていく必要があります。
 

 
 

インフレ時の不動産投資

 

インフレ時の不動産投資を4つの項目を通して検討します。


1.家賃

2.維持管理費
3.借入金利
4.売却(出口)価格


です。

 

不動産投資シミュレーションを行う場合、インフレ時代に合わせて4項目の変化を推測して分析する必要があります。

 

 

インフレ時の家賃と維持管理費

 

家賃と維持管理費の変化を考える時に、参考になるのは消費者物価指数です。

 

2018年~2023年消費者物価指数(CPI)の推移グラフ
内閣府HPデータより作成外部リンク

 

日銀はインフレターゲットを2%外部リンクとしています。ここ最近は大きく超過している月もあります。しかし、不動産投資シミュレーションを行う場合はインフレ率2%と考えて分析するのが良いです。

 

維持管理費はインフレターゲットと同じ年2%上昇。家賃は2%上昇から経年劣化の家賃下落1%を引いた年1%上昇で分析します。

 

※家賃下落については以下もご参照ください。

劣化が住宅賃料に与える影響とその理由外部リンク
 
マンション賃料インデックス外部リンク

 

 

インフレ時の借入金利

 

次に金利です。正直、金利を予測するのは不可能に近いです。理由は、日本の成長率・インフレ率・景気動向・財政状況等の様々な要素が絡み合うからです。

 

しかし、政策金利がマイナスの現状よりも下落する可能性は低いです。不動産投資シミュレーションの段階では、金利上昇を厳しめに見た方がいいです。

 

今後10年以内で現在の借入金利+0.5%~1.5%程度の上昇は織り込んだシミュレーションは必要です。

 

 

インフレ時の売却(出口)価格

 

売却価格の推測に必要な情報は、売却シミュレーションする年の想定満室家賃と購入時の表面利回りです。

 

例えば、10年後の年間の想定満室家賃が6,000,000円  購入時の表面利回り5.5%の場合は

 

6,000,000÷(5.5%+0%~2%)で計算します。表面利回りへの加算率は人口減少等のマイナス要因の大きな地域は1~2%加算。都心部等は加算+0~1%で考えます。

 

※売却想定価格については以下もご参照ください

3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する

 

 

インフレ変動ありと変動なしシミュレーション

 

変動無しと変動ありシミュレーションを比較すると

 

インフレ時代の不動産投資_家賃_維持管理費_金利の変動シミュレーション


毎年の返済額は金利が2%⇒2.5%⇒2.75%⇒3%と上昇することで3,991,884円から4,488,804円と約50万円増加します。そのため、家賃1%上昇では追いつかずキャッシュフローは悪化します。

 

しかし、家賃1%ずつ上昇したため、10年後の売却想定価格は変動無し91,666,600円⇒変動あり100,254,417円となります。

 

10年後の売却(出口)まで含めて比較すると、金利上昇や維持管理費の上昇があっても変動ありシミュレーションの収益性は自己資金回収率で約20%程度上回ります。

 

 

インフレ時代に重要視するポイント

 

インフレを意識する時代は、金利や維持管理費上昇の影響が家賃上昇を上回ることでキャッシュフロー(インカムゲイン)は悪化する可能性があります。

 

しかし、インフレにより物件価格が上昇し売却(出口)を考慮するとデフレ時代よりも収益性が向上する可能性は十分にあります。

 

今後は、毎年のキャッシュフロー重視から資産価値を保てる物件を選択して出口を十分意識した戦略が必要になります。
  
 

(動画)インフレを意識したシミュレーション

 
※将来の様々なリスクを予測した不動産投資シミュレーションを行う方法

 
 
※10年後の売却価格を推定して不動産投資のキャッシュフローシミュレーションに利用する方法

 
 

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不動産投資指標のLTV (Loan to Value)とは

2024-02-20

不動産投資の借入の安全性を数値化できる不動産投資指標があります。
 
それは「LTV (Loan to Value)」です。
 

 

 

不動産投資指標のLTVとは

 

LTVを利用することで、借入の安全性(危険度)を数値化できます。

 
■LTV (Loan to Value)とは
 
計算式:「借入残高 ÷ 物件の現在価値 × 100」
 
解説:融資比率を表す指標。物件の価値に対する借入金の比率を算出したもの。数値が小さいほど元本償還に対する安全性は高い。
 
100%未満を維持できれば、万が一の時に物件を売却して借入を全額返済できる可能性が高いと言えます。

 

 

LTVを利用するためのポイント

 

LTVを有効に利用するためのポイントは3つです。
 
1.借入残高を把握する
 
2.物件の現在価値を把握する
 
3.目標の値(パーセント)を設定する
  
1.借入残高については、金融機関の償還予定表等を確認して簡単に把握できます。
 
ポイントは「2.物件の現在価値を把握」と「3.目標の値(パーセント)を設定」です。

 

 

LTVの計算に必要な物件価値

 

物件購入時点のLTVは簡単に計算できます。割高に購入させられていないという前提で、購入時は「物件価値≒購入価格」だからです。
 
しかし、年数が進めば返済は進み借入残高は減少します。また、物件購入時以外は「物件価値≒購入価格」ではありません。
 
借入残高は簡単に把握できるため省きます。問題は物件の現在価値をできるだけ現実に近い(実際に売却できる価格)形で把握する方法です。
 
物件の現在価値把握する方法として3つの方法が便利です。
 
LTVの計算に必要な不動産投資物件の現在価値を把握するための3つの方法
 
3つの方法を組み合わせることで、より現実に近い物件価値を確認することができます。
 
※「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」でより詳細にご説明しています。

 

 

LTVの目標値

 

次にLTVの目標値です。本来は、購入当初より70%以下に保つことを目標にすると良いです。1億円の物件に対して7,000万円の借入までで投資を行うということです。
 
しかし、LTVを物件購入当初より低くすると、CCR(cash on cash return)等の収益性の不動産投資指標は低下します。
 
収益性を考慮すると、将来性の高い物件は80~85%程度は許容できると思います。物件価値上昇と、返済の進むことで、目標値である70%以下を5年程度で達成できる可能性があるからです。
 
以下は、元利均等・期間30年・金利2.5%で借入を行なった場合のLTV(Loan to Value)のシミュレーションです。

 
LTVの変化グラフ_借入返済による変化
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターでシミュレーション
※物件価値を購入価格1億円と仮定して集計
 

元金返済が進むことで、当初のLTV80%から徐々に低下し、6年後に70%以下になります。

 
不動産投資指標のCCR(cash on cash return)とは

 

 

LTVは定期的把握する

 

LTVは借入返済が進むことと物件価値で変動します。変化を捉える意味でも、年1回程度はLTVは何パーセントか確認しておきたいです。LTVは物件毎に確認するだけではなく、所有する物件全体の数値も把握する必要があります。
 
また、LTVを把握することは、物件の追加購入時に借入を行う際の金融機関へのアピールポイントになります。
 
銀行の最終目標は貸したお金を全て回収することです。この視点で考えると、LTVが低いことは、万が一の時に売却して回収できる可能性が高いと言えるからです。
 
借入をして物件を購入する場合には、不動産投資指標のLTVを利用して、安全性の把握していただければと思います。
 
 

(動画)物件現在価値シミュレーション

 
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 積算価格と相場的価格を計算する方法

 
 
※10年後の売却価格を推定して不動産投資のキャッシュフローシミュレーションに利用する方法

 
 

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価値の高い収益物件の定義とは

2024-02-08

「価値の高い物件を購入したい」

 

不動産投資を検討した時に誰しも考えることです。では、価値の高い物件とはどんな物件でしょうか?
 

 

 

価値の高い収益物件とは

 

収益物件の価値は2つの要素で決まります。
 
1.インカムゲイン(毎年の収入)
 
2.キャピタルゲイン(売却の収入)
 
価値の高い物件は、1+2の合計値が多い物件です。

 

 

インカムゲインとキャピタルゲイン

 

収益物件の価値を考える場合、インカムゲインとキャピタルゲインどちらがかけても価値の高い物件とは言えません。
 
例えば、購入直後に潤沢な家賃収入を得ていたしても、将来性の低い場所で将来の売却価格が低下する物件は価値が高いとは言えません。
 
逆に、将来の売却価格は上昇しそうな場所でも、低利回り過ぎて、毎年キャッシュフローが大赤字の物件も価値の高い物件とは言えません。
 
では、どのようなシミュレーションで価値の高い物件かを検討すればいいでしょうか。
 
3つの不動産投資指標を使って確認すると分かり易いです。

 

 

不動産投資指標で物件価値を確認

 

インカムゲインとキャピタルゲインの両方の視点で物件価値をシミュレーションする場合には
 
1.税引き後キャッシュフローの累計額
 
2.自己資金回収年(自己資金回収率100%)
 
3.IRR(ATIRR)
 
の3つを利用します。
 
次に具体的な手順についてです。

 

 

不動産投資指標の確認手順

 

手順は以下の通りです。
 
1.毎年のキャッシュフロー計算をする
 
2.10年後の売却価格を推測する
 
3.3つの不動産投資指標を確認する
 
サンプルシミュレーションを使って説明します。
 
【サンプル物件】
資産価値の高い物件をシミュレーションする方法のサンプル物件
 

1.毎年のキャッシュフローを確認
 
この際のポイントは税引き後キャッシュフローで確認することです。不動産投資の税金の影響は大きいです。不動産投資以外の所得が多い場合は特に影響が大きいです。
 
年収800万円と年収2,000万円の人が同じ物件に投資した場合の税引き後キャッシュフロー比較です。
 
資産価値の高い物件をシミュレーションする方法の年収によるキャッシュフローの違い
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
※所得税等税金は収益物件分のみの金額
 
年間約10~15万円違います。10年後の累計額は約110万円違います。これが税引き後キャッシュフローで検討すべき理由です。
 
2.10年後の売却価格を推測
 
10年後の推測にはキャップレート*の考え方を取り入れます。

キャップレートとは外部リンク

キャップレートの推移(2005~2022年)外部リンク
 
今回のシミュレーションは、10年後の満室想定家賃=購入当初のままと過程して行います。
 
10年後の表面利回りを
 
■ベストシナリオ⇒表面利回り1%下落(物件価格上昇)
 
■標準シナリオ⇒表面利回りそのまま(購入時と同じ)
 
■ワーストシナリオ⇒表面利回り1%上昇(物件価格下落)
 
とした10年後の売却想定価格は
 
キャップレートの変化による10年後の資産価値の変動シミュレーション
 
計算式は「満室想定家賃540万円÷10年後の表面利回り」です。

 

例えば、10年後の表面利回り5.0%の場合は 540万円÷0.05=10,800万円 です。
 
「表面利回り上昇=資産価値下落」「表面利回り下落=資産価値上昇」です。

 

*キャップレートは本来は純収益で計算されるものです。推定売却可能額を分かり易く表現する為に満室想定家賃と表面利回りを利用して計算しています。
 
3.不動産投資指標を確認
 
3つのシナリオで計算した推定売却可能額でシミュレーションした不動産投資指標を比較すると
 
キャップレートの違いによるキャッシュフロー累計額とIRR(ATIRR)の比較
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して集計
 
■税引き後キャッシュフロー累計額
 
10年後の表面利回りの違いにより約2,400万円違いがでます。
 
■自己資金を回収年
 
売却ありの場合は、ワーストシナリオの表面利回り7%でも自己資金を回収できます。ちなみに、インカムゲインだけで自己資金を回収しようとすると、借入返済完了後2055年(32年後)です。
 
■IRR(ATIRR)
 
10年後の表面利回りの違いによって2.76%~11.16%と大きくことなります。ちなみに、ATIRR=7.18%で自己資金を10年で倍にできます。
 
※IRR(ATIRR)については「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。Excelでのシミュレーション方法もご紹介しています。

 

 

価値の高い収益物件かシミュレーション

 

収益物件の価値を考える際には、購入時の表面利回りだけでは分かりません。将来のキャップレートは上昇するのか、下落するのかを考慮にいれてシミュレーションする必要があります。
 
また、不動産投資シミュレーションを行う場合にはインカムゲイン、キャピタルゲインのどちらかだけの分析にならないように注意が必要です。不動産投資シミュレーションのご参考にしていたければと思います。
 
 

(動画)収益物件のシミュレーション

 
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 税引き後キャッシュフロー 自己資金回収率 IRR(内部収益率)をシミュレーションする方法

 
 
※10年後の売却価格を推定して不動産投資のキャッシュフローシミュレーションに利用する方法

 
 

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表面利回り5%以下の物件への投資する際の注意点

2024-01-25

不動産価格上昇(国土交通省HP)外部リンクの影響で低利回りの物件が増加しています。
 

 
 

表面利回り5%以下の物件購入

 

表面利回り5%を切るような物件への投資は、より慎重な判断が求められます。少しの変化で大きな赤字を出す可能性があるからです。

 

不動産投資は長期間(数年~数十年)に及ぶ投資です。その期間内には様々な変動(リスク)がほぼ必ず発生します。不動産投資の3大リスクは

 

1.空室リスク

 

2.家賃下落リスク

 

3.金利上昇リスク

 

です。

 

表面利回り5%を切る投資では、これらの変動に非常に弱くなります。

 

 

表面利回り5%と8%の物件を比較

 

不動産投資で絶対に避けたいのはキャッシュフロー赤字です。キャッシュフロー赤字になると他の収入から補填が必要な最悪の状況になります。

 

それでは、表面利回り5%と表面利回り8%の変動に対する許容度を比較します。以下のサンプル物件を使います。

 

表面利回り5パーセントと8パーセントの投資物件の比較用の物件


以下の表はキャッシュフロー赤字に転落しないギリギリの変動を比較したものです。

 

表面利回り5パーセントと8パーセントの投資物件の変動率比較結果
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの時系列変動機能の結果を利用して集計
 
表面利回り5%はわずかな変動で赤字キャッシュフローに転落します。それに対して表面利回り8%は比較的大きな変動に耐えられます。
 
どの程度変動に強いかを確認できる不動産投資指標のBER(BE%)は、表面利回り8%は63.23%に対して、表面利回り5%は92.16%と非常にリスクの高い投資になることが分かります。


※不動産投資指標のBER(BE%)については「不動産投資で利用したい各種指標のご紹介」をご確認ください。

 

それでは、低利回りの投資は絶対にNGでしょうか?そうとも言い切れません。

 

 

表面利回りが高いのにはワケがある

 

一般的に表面利回りが高いのには理由があります。その理由は「表面利回り高い=将来性が低い」可能性が高いです。

 

つまり、現状より将来は家賃下落の可能性が高い。空き室増加の可能性が高い。そして、もっとも大きいのは資産価値下落(売却時の価格低下)する可能性が高い。ということです。

 

それに対して、低利回りの物件はその逆の可能性が高いです。

 

低利回りと高利回り物件の一般的な傾向を比較すると
 
低利回り物件と高利回り物件の特徴比較

 

低利回り物件の方が将来の資産価値を守られる可能性の高いことが分かります。

 

では、将来の資産価値まで考慮した投資成績を比較するとどうなるでしょうか。

 

 

将来の物件価値を考慮した分析

 

将来(10年後)の資産価値を考慮した比較を行なった結果です。

 

「長期」の視点で不動産投資の収益性を確認

※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターグラフ機能を一部抜粋


表面利回り5%の物件が資産価値6,000万円(1,000万円増加)、表面利回り8%の物件が資産価値3,750万円(1,250万円減少)になった場合に投資成績は逆転します。

 

不動産投資指標のBTIRRについては「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。

 

 

低利回り物件投資の注意点

 

低利回り物件は、家賃・空き室等の変動に非常に脆弱です。しかし、これらを上手くコントロールできる場合は出口(売却)時に大きな収益を生める可能性があります。

 

但し、低利回り物件への投資に借入を利用する場合は、金利変動のリスクが非常に高いため注意が必要です。金利上昇を自分でコントロールするのは本当に難しいです。

 

低利回り物件へ投資する際は、どの程度変動に耐えられるのか?将来の資産価値(物件価格)は上昇しそうなのか?は大きなポイントになります。
 
 

(動画)変動シミュレーションを行う方法

 
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 家賃下落等の変動シミュレーションを行う方法

 
 
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 税引き後キャッシュフロー 自己資金回収率 IRR(内部収益率)をシミュレーションする方法

 
 

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4つの視点で収益物件のシミュレーションをバランスよく確認する方法

2024-01-11

収益物件の比較を行う際は、4つの視点で確認することが重要です。
 

 

不動産投資分析4つの視点

 

 

不動産投資シミュレーションの4つの視点は

 

1.収益性
2.安全性
3.短期
4.長期

 

です。

 

この4つの視点を意識することで、他人の意見に左右される。近視眼的に成り過ぎる。ことなく冷静な分析を行えます。

 

 

不動産投資指標を利用して4つの視点で確認

 

4つの視点でバランス良く確認するには、不動産投資指標を利用すると便利です。不動産投資指標(一部)を一覧表にすると

 

「収益性」「安全性」「短期」「長期」をバランスよく分析する際にに利用できる不動産投資指標一覧
※不動産投資指標については「不動産投資で利用したい各種指標のご紹介」をご確認ください

 

この記事ではこの中から

 

1.単年キャッシュフロー:収益性・安全性・短期

 

2.キャッシュフローの累計額:収益性・長期

 

3.IRR:収益性・長期

 

の3つの指標を利用した、具体的な確認方法を説明します。

 

 

単年キャッシュフロー確認ポイント

 

単年キャッシュフロー(税引き後)で確認したいのは

 

赤字の年がないか

 

赤字の年がある場合は持ち出しが発生します。万が一余裕資金のない場合は、いわゆる黒字倒産に近い状態になる可能性もあります。

 

シミュレーション時に赤字の年がある場合は投資するかを慎重に判断する必要があります。

 

年間の収益性は目標に達するか

 

年間のキャッシュフロー額が目標値に達するかも重要な視点です。税引き後キャッシュフローは年によって異なりますので、この推移の確認も必要です。

 

 

▼キャッシュフロー(CF)のサンプルシミュレーション
「安全性」の指標で税引き後キャッシュフローを確認

※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの収支詳細を一部抜粋

 

 

キャッシュフローの累計額確認ポイント

 

キャッシュフローの累計額(税引き後)で確認したいのは

 

自己資金を上回る年は何年後か

 

資産運用として不動産投資を考えた場合、投資した自己資金はできるだけ早く回収して、次の投資へ備えたいです。

 

おおよそ何年後に回収可能かの確認は必須です。10~15年以内を目標とするのが1つの目安です。

 

 

▼キャッシュフローの累計額のサンプルシミュレーション
「長期」の視点で不動産投資の収益性を確認
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの収支詳細を一部抜粋

 

 

IRR確認ポイント

 

最後に、トータルの収益性を考える際に便利なIRRです。

 

※IRRの詳細については「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。

 

IRR(特にATIRR)は目標を達成しているか

 

ATIRR=7.18%で約10年で自己資金を倍にできます。例えば、2,000万円の自己資金を10年で4,000万円にするという目標を立てた場合にはATIRR=7.18%必要です。

 

 

▼IRRサンプルシミュレーション(売却価格別のIRR)
「長期」の視点で収益性をIRRを利用して確認

※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターのグラフ機能の一部抜粋
 
IRRをExcelを利用して計算する方法はIRR 関数(Microsoft社)外部リンクをご確認ください

 

 

不動産投資指標をバランスよく確認

 

「収益性」「安全性」「短期」「長期」の4つの視点で不動産投資シミュレーションを行うことで、都合の良いセールストークや一時的な高利回りなどを見抜ける可能性を高められます。この内容をご参考に不動産投資シミュレーションを行っていただければと思います。
 
 

(動画)3つの不動産投資指標を確認する方法

 
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 税引き後キャッシュフロー 自己資金回収率 IRR(内部収益率)をシミュレーションする方法

 
 

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  2. 不動産投資指標を効率よく利用する方法不動産投資指標を効率よく利用する方法

元利均等返済と元金均等返済の特色を5つの指標で把握する

2023-12-14

不動産投資の借入をする際は「元利均等返済」「元金均等返済」を主に利用します。元利均等返済と元金均等返済の選択によって収益にどのような違いが生まれるか比較します。

 

 

5項目で元利均等返済と元金均等返済を比較

 

5つの項目で元利均等返済と元金均等返済外部リンクのどちらが投資収益に好影響を与えるか比較します。
 

1.年間返済額
2.返済総額
3.税引き後キャッシュフロー額
4.税引き後キャッシュフロー累計額
5.不動産売却を含めた収益比較
 
の5項目です。

 

 

元利均等と元金均等の返済シミュレーション

 

サンプル物件を使ってシミュレーションします。
 
■サンプル物件概要
元利均等返済と元金均等返済の比較シミュレーション用物件
 

■返済額シミュレーション結果
 
返済シミュレーションの一部年を抜粋して表示しています。
 
元利均等返済と元金均等返済の返済表のシミュレーション比較
 
文字通り、元利均等返済は元金+利息の返済額が一定。元金均等返済は元金額の返済が一定です。
 
年間返済額は投資開始から14年目まで「元利均等返済<元金均等返済」になっています。投資前半は元金均等返済の方が「返済比率」や「BER(BE%)」は高いです。
 
しかし、返済期間後半は元金均等返済の返済額は少なくなり、元利均等返済と逆転します。返済総額は元金均等返済の方が約220万円少ないです。

 

 

元利均等と元金均等のキャッシュフローシミュレーション

 

次に、キャッシュフローシミュレーションを確認します。シミュレーション結果は30年分の一部を掲載しています。
 
元利均等返済と元金均等返済のキャッシュフローシミュレーション比較
 
投資開始から14年間は元利均等返済が、年間の税引き前・税引き後キャッシュフローともに多いです。15年目に元金均等返済が逆転します。
 
投資成績として重要な税引き後のキャッシュフロー累計額は28年目にようやく元金均等返済が逆転します。
 
家賃収入(インカムゲイン)だけの収益性を考えると、早めに現金の貯まっていく元利均等返済を選択する方が良さそうです。

 

 

元利均等と元金均等の不動産売却シミュレーション

 

不動産の売却収益(キャピタルゲイン)まで含めた投資成績はどうなるでしょうか。10・20・30年後に6,000万円で売却したシミュレーションを比較します。
 
比較には、税引き後キャッシュフロー累計額とIRRを利用します。
 
※不動産投資指標のIRR(ATIRR・BTIRR)については「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。
 
元利均等返済と元金均等返済の売却時のシミュレーションを比較
 
■税引き後キャッシュフロー累計額(CF累計額)
 
10・20・30年後のどれを見ても元金均等返済が元利均等返済を上回ります。理由は、元金均等返済は毎年の元金分の返済額が多いため、売却時に一括返済が必要になる借入残高が少ないからです。
 
■IRR(BTIRR)
 
10年後を除いて元利均等返済が高いです。理由は、投資初期のキャッシュフロー額が多いからです。投資の視点(IRRの計算)では、1年目と10年目の100万円は同価値ではありません。1年目の100万円は、その後100万円を運用できる可能性があるからです。

 

 

元利均等返済と元金均等返済のどちらが有利か

 

1.年間返済額
2.返済総額
3.税引き後キャッシュフロー額
4.税引き後キャッシュフロー累計額
5.不動産売却を含めた収益比較
 
の5項目で比較した結果、それぞれ一長一短のあることが分かります。
 
投資初期から手元資金を増加させて、再投資に向かうには元利均等返済は有利です。しかし、投資トータルの手取り額で考えると元金均等返済に軍配が上がります。
 
結果は金利、借入額等の条件によって変わります。ぜひ、今回の分析を参考にしていただき、ご自分にあった借入方法をシミュレーションしていただければと思います。
 
 

(動画)元利均等返済と元金均等返済を比較する

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して元利均等返済と元金均等返済の収益性を比較する方法

 
 

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不動産投資で重要な純資産額の推移

2023-11-28

不動産投資の成功話として、年収〇千万円・投資総額〇億円など、家賃収入の多寡や投資総額に触れる本は良くあります。

 

しかし、不動産投資の成否は家賃収入の多寡や投資総額では決まりません。
 

 

 

不動産投資で重要な純資産の推移

 

純資産外部リンクと聞くと企業の決算書類を思い浮かべるかもしれません。しかし、不動産投資の成否を確認する純資産はもっと単純です。

 
最初に意識したいのは、不動産投資を資産運用として考えた場合、目的は純資産を効率よく(短い時間)で増やすことであるという点です。
 
この目的を意識すると、投資開始前の純資産と現時点の純資産額を比較しないと不動産投資の成否は分からないことに気づけます。
 
 
不動産投資の純資産推移を確認するために必要なのはわずか4項目です。
 
1.投資した自己資金額
 
2.投資のための借入額又は借入残高
 
3.税引き後キャッシュフロー累計額
 
4.物件の時価額
 
です。

 

 

投資開始前と開始直後の純資産推移

 

それでは、具体例を挙げて確認します。
 
表面利回り7% 8,000万円の新築木造(諸費用500万円)を、自己資金2,000万円+借入6,500万円で購入した場合の純資産額推移です。
 

不動産投資の純資産額の推移をバランスシートを使って確認
 
純資産額を確認したり、頭を整理するにはバランスシート(B/S)外部リンクを利用すると便利です。簡単に説明すると、向かって左側に現金・不動産等の資産を、右側に借入等の負債を入れます。「純資産=左側合計-右側合計」です。
 
物件購入前は、不動産投資に利用する自己資金2,000万円が純資産です。物件購入直後は、購入した8,000万円の物件と借入額の項目が追加されています。
 
自己資金は投資に利用したので0円になっています。また、諸費用として500万円を支払ったため純資産額は1,500万円となります。
 
物件の時価は、購入価格の8,000万円としています。もし、時価より高い価格で買って(買わされて)しまうと、純資産額は購入時点でさらに減少してしまいます。
 
今回の目的は不動産投資でどれだけ純資産が増えたか比較することのため、他の資産は含めません。
 
また、本来のB/Sでは諸費用内で減価償却の必要な取得費は物件にプラスして計上される等、会計上のB/Sとは異なります。しかし、実態を把握するには分かりにくいため、キャッシュベース(お金の動き)で考えます。
 
 

 

10年後の純資産額

 

次に10年後に純資産額はどうなるか、2つのシナリオで比較します。
 
シナリオ1:家賃収入は標準シナリオの年1%ずつ下落。10年後の物件時価は6,400万円(10年後家賃収入÷8%)
 
シナリオ2:地域の人口減少厳しく家賃収入は年1.5%下落。10年後の物件時価は5,400万円(10年後家賃収入÷9%)
 

不動産投資の10年後の純資産額の推移をバランスシートを使って確認
 
今回の例は投資開始10年後としました。実際は1年後でも、5年後でも構わないとご理解ください。
 
このバランスシートのポイントは、CF累計(税引き後キャッシュフロー累計)と物件(物件の時価)の部分です。
 
CF累計(税引き後キャッシュフロー累計)は税金支払い後に本当に残った金額の累計額です。
 
物件は推定される売却可能額です。売却可能な物件価格のシミュレーション方法は
 
3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する
 
10年後の売却価格を推定する方法
 
をご確認ください。
 
シナリオ1は、物件購入前に2,000万円だった純資産額は3,200万円に増加しています。1年あたり120万円増加した計算になります。単利計算で6%です。
 
シナリオ2は、2,130万円と130万円しか増加していません。1年あたり13万円。単利計算で0.65%です。
 
シナリオ2は、純資産は減少していないものの、国債と変わらない利回りです。投資としては失敗と言えます。

 

 

不動産投資の成否は純資産額で考える

 

不動産投資の成否を考える際に、家賃収入の多寡や投資総額ではなく、純資産増減で考えるべきです。純資産額で考えるメリットは、疑似的に出口(売却)まで考慮した投資の成否を確認できることです。
 
不動産投資で資産運用を考えた際の目的は「純資産」を増やすことです。1年に1回など定期的に純資産推移を確認することをお勧めします。その際に、この記事をご参考に分析していただければと思います。
 
 

(動画)純資産額計算に必要な4項目を確認

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して純資産額を推定する方法

 
 

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新築木造と中古木造どちらを選択すべきか

2023-11-14

投資物件を選択する際に新築と中古2つの選択肢があります。多くの物件で表面利回りは「新築<中古」になります。
 
では「新築より中古は投資対象としていいのか」というと単純にそうとも言えません。
 

 

 

新築木造と中古木造どちらを選択すべきか

 

今回は新築木造と中古木造(築20年)に絞って比較します
 
以下のサンプル物件を使って比較します。
 
新築木造と中古木造の不動産投資シミュレーション用物件
 
新築と中古の収益へ影響を与える主な違いは
 
・表面利回り:新築6.5% 中古8%
 
・借入年数:新築30年 中古20年
 
・法定耐用年数:新築22年 中古4年
 
です。
 
もちろん、物件によって上記数値は異なります。しかし、新築と中古木造の場合、多くの物件で同様の傾向になります。

 

 

新築木造と中古木造シミュレーション

 

新築木造と中古木造の不動産投資シミュレーション結果
※新築は年1%家賃下落を考慮
※家賃下落についてはこちら外部リンクをご参照ください
 
新築木造と中古木造の比較で注目すべき項目は
 
1.返済比率(返済額÷家賃×100)
 
2.減価償却費
 
3.課税所得
 
です。
 
まず新築の返済比率59.36%~62.42%に対して中古は66.71%と高くなっています。理由は借入年数が短いためです。
 
中古は新築に比較して、長期の融資を受けるのは難しいです。この場合、返済比率は高くなりキャッシュフロー悪化要因となります。また、空き室等の変動に弱くリスクも高くなります。
 
次に課税所得の推移です。新築は元金返済割合の増加によって若干の減少はありますが大きな変動はありません。課税所得については「今さら聞けないCFと課税所得の違い」も合わせてご確認ください
 
それに対して、中古は2028年にドンと増加しています。これは耐用年数が短く4年目まで減価償却費の多い代わりに、減価償却費のなくなる5年目~大幅に課税所得が上昇するからです。不動産投資の1つの節目である「デッドクロス」が発生します。
 
その結果、所得税等の支払いが増加して2029年に税引き後キャッシュフロー赤字になっています。
 
中古木造は、このような傾向になりやすいです。

 

 

新築木造と中古木造どちらが良いか

 

新築・中古ともに一長一短あります。
 
新築は投資初期は、中古と比較して長めの借入期間と新築プレミアムで安定したキャッシュフローを得やすいです。但し、年数が経過することで新築プレミアムが剝げ落ち、家賃下落の影響を受けやすくなります。
 
中古木造は短期間で減価償却を利用できるので節税という点ではメリットがあります。また、新築と比較して、利回りは高く、家賃下落率を小さく抑えらる傾向にあります。しかし、減価償却費が無くなった瞬間から税負担は重くなります。
 
今回のシミュレーションは、新築・中古ともに修繕費を見込んでいません。特に、中古は修繕費が経営を圧迫する場合もあり注意が必要です。
 
国土交通省発行の修繕費の参考資料外部リンク
 
このように表面利回りだけでは見えないメリット・デメリットがあります。ご紹介した特徴をご参考に、不動産投資シミュレーションをしていただければと思います。
 
 

(動画)デッドクロスシミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してデッドクロス発生タイミングのシミュレーションを行う方法

 
 

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個人と法人どちらで所有すべきか検討する方法

2023-10-31

物件を個人と法人どちらで所有すべきかは多くの大家さんの悩むポイントの1つです。ネット上でも個人所有・法人所有に関する内容を見かけます。
 
しかし、家賃収入(インカムゲイン)を中心とした内容が多く、売却益(キャピタルゲイン)まで含めた内容は少ないです。
 
そこで、売却益まで含めて比較したいと思います。

 

 
 

2つの不動産投資指標を利用する

 

個人所有と法人所有の成績を比較するために2つの指標を利用します。
 
利用する不動産投資指標は
 
1.税引き後キャッシュフロー累計・・税引き後キャッシュフローの投資期間中の合計値。投資によって得られる合計金額
 
2.IRR(BTIRR)・・自己資金に対する収益率を表す指標
 
※IRRの詳細は「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください
 
を利用します。

 

 

個人と法人の税金ルール

 

個人と法人で税引き後キャッシュフローに違いの出る主な理由は、
 
1.課税所得に対する税率が異なる
 
2.売却益を個人の場合は分離課税外部リンク。法人場合は合算して課税
 
です。
 
1.課税所得に対する税率が異なる
 
個人と法人の課税所得対する税率は以下です
 
■個人
不動産投資の個人所得税と住民税の税率一覧
 
■法人
不動産投資の法人実効税率一覧表
実効税率外部リンクは地域等の諸条件によって異なります。
 
大きく税率が異なります。
 
 
2.売却益を個人の場合は分離課税。法人場合は合算して課税
 
法人の場合は家賃収入と売却益を合算して課税所得として計算します。しかし、個人の場合は家賃収入と売却益は分離して計算します。
 
売却益の税率は
 
個人所有で不動産投資物件売却時の売却税率
 
個人の売却税率は法人実効税率よりも低くなっています。

 

 

個人と法人の家賃収入による比較

 

ここからはサンプル物件を使ってシミュレーションしながら、個人・法人での不動産投資を比較します。
 
不動産投資の法人と個人の比較用物件
 
15年後に購入価格と同じ1.5億円で売却できたことを想定して、家賃収入額による個人所有・法人所有の有利・不利をシミュレーションします。
 
不動産投資の法人所有と個人所有の家賃額による比較
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
※個人の家賃収入への復興所得税は含まず計算
※その他課税所得600万円あり
 
家賃収入1,400万円までは個人所有の収益性が高いです。1,600万円~は法人所有が高くなります。課税所得で見ると約850万円~957万円程度。その他課税所得を合算すると1,500万円程度です。

 

 

個人と法人の売却額による比較

 

売却額による個人・法人比較は、家賃収入1,000万円。課税所得はその他課税所得を合算して約850万円~950万円の場合で比較します。
 
不動産投資の法人所有と個人所有の売却額による比較
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
※個人の家賃収入への復興所得税は含まず計算
※その他課税所得600万円あり

 
1.1億円の売却まで法人は有利ですが、売却額(売却益)が高いほど個人が有利になっています。これは、個人の売却益の税率が20.315%なっているためです。

 

 

個人と法人の選択基準

 

個人所有と法人所有の基準となる課税所得を1,000万円前後とする内容を見かけます。しかし、売却益まで考慮すると1,000万円程度だと個人所有が有利な可能性もあります。

ご紹介した税金ルール以外にも、個人所有と比較して法人所有は損金化しやすい費用が多い。欠損金の繰り越し期間外部リンクが長くなる等のメリットもあります。逆に、法人設立費用等が必要になるデメリットもあります。
 
給与等の投資物件以外の課税所得額を含めて、個別にシミュレーションを行わないと分からないというのが実際の結論です。本当にざっくりとした感覚になりますが、課税所得約1,200万円~1,500万円以上は法人所有が有利になる可能性が高いです。
 
個人所有と法人所有のどちらが有利かは前提条件によって大きく異なります。この内容をご参考に個人・法人所有の収益性比較をしていただければと思います。
 
 

(動画)個人所有と法人所有シミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して個人所有と法人所有のシミュレーションを行う方法

 
 

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物件購入の意思決定前に行いたい3つの分析

2023-10-17

先日、こんなご質問をいただきました。

 

「不動産投資シミュレーションする際はどんな分析をすれば良いですか?」
 
投資の主目的(節税・資産防衛・資産運用)によって確認すべきポイントは大きく異なります。

 

 
 

投資目的と分析ポイント

 

■節税目的 ⇒ どれだけ課税所得を減らせるか
 
■資産防衛目的 ⇒ 物件の資産価値を守れるか
 
がポイントになると思います。
 
では、資産運用目的の場合はどうでしょうか。
 
資産運用目的で物件を購入する際に行っておきたいシミュレーションは
 
1.長期キャッシュフロー分析
 
2.10年・20年後等の節目で売却分析
 
3.変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)
 
です。

 

 

長期キャッシュフロー分析

 

長期のキャッシュフローシミュレーションを確認することは、不動産投資シミュレーションでもっとも重要なポイントです。
 
長期のキャッシュフロー分析は税引き後キャッシュフローを確認することをお勧めします。
 
また、シミュレーション時には投資予定の物件以外の所得(給与等)を考慮する必要もあります。
 
理由は、個人所有で投資する場合には「総合課税制度外部リンク」と「累進課税制度外部リンク」によって税引き後キャッシュフローに大きな影響があるからです。

 
その上で確認しておきたいのは
 
1.税引き後キャッシュフローに赤字の年はないか
 
2.税引き後キャッシュフローの減少ペース
 
です。
 
物件以外の所得を考慮した場合としない場合で結果を比較します。
 
不動産投資の税引き後キャッシュフローシミュレーション
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
  
まず、給与等の所得を加味した分析と、しない分析では税引き後キャッシュフローに30%~40%違いがあります。
 
今回のシミュレーションの税引き後キャッシュフローを確認すると赤字の年はありません。
 
また、税引き後キャッシュフローは年々減少します。元金返済と減価償却費のバランスの変化で基本的にこのような経過をたどります。
 
元金返済と利息支払と減価償却費のバランスの重要性

 

 

10年・20年後等の節目で売却分析

 

売却シミュレーションも確認しておきたい分析です。理由は「不動産投資は出口(売却)を迎えるまで成否は分からない」からです。
 
以下は売却価格を変化させて税引き後キャッシュフロー累計を比較したものです。
 
10年後の売却価格を推定する方法
 

不動産投資の売却を加味した税引き後キャッシュフローシミュレーション
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
 
税引き後キャッシュフロー(CF)累計は、投資期間中(10年間)の家賃収入と売却収入を合算したものです。売却価格によって大きく異なります。
 
ちなみに、この投資の自己資金は1,600万円です。5,000万円でしか売却できない場合は、家賃収入(インカムゲイン)ではプラスになっているものの、最終的に約850万円の損失が出ます。
 
売却分析では「いくらで売却できれば自己資金を回収できるか」「目標の収益を得られる売却価格はいくらか」は確認しておきたいポイントです。 
 

 

 

変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)

 

不動産投資は10・20年と長期にわたります。投資期間中、ずっと満室、家賃変わらずという可能性は低いです。また、修繕費も一定額かかります。
 
以下は家賃下落なしと家賃下落ありのシミュレーション結果です。
 

不動産投資の家賃下落を考慮した税引き後キャッシュフローシミュレーション
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
 
税引き後キャッシュフローに大きな違いが発生しています。変動無しシミュレーションは現実離れする可能性が高いため注意が必要です。
 
以下のリンクのページで現実感ある家賃変動と空室率で不動産投資シミュレーションを行う方法をご紹介しています。
 
家賃変動・空室を加味して現実的な不動産投資シミュレーションを行う方法
 
 

役立つシミュレーションを行う

 

ポイントを外した不動産投資シミュレーションは無意味になりがちです。
 
ご紹介した
 
1.長期キャッシュフロー分析
 
2.10年・20年後等の節目での売却分析
 
3.変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)
 
を意識しながら分析結果を比較していただければと思います。
 
 

(動画)売却分析とリスクを予測したシミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して売却シミュレーションを行う方法

 
 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してリスクを予測したシミュレーションを行う方法

 
 

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