他の金融機関への借り換へは損か得かをシミュレーションする方法
金利引き下げを目的とした借り換えを行うべきか、不動産投資シミュレーションで判断する方法を検討します。
借り換えを行うべきかを決める指標
借り換えを行う理由は金利を下げて利息支払いを減少させることです。ただ、本来の目的はこの先にあります。その目的を確認するのに便利な不動産投資指標は「税引き後キャッシュフロー累計額」です。
税引き後キャッシュフロー累計額は、毎年の税引き後キャッシュフローを合計した金額です。
借り換えの最終目的は利息支払いを減少させることではありません。利息支払いの減少を通じて収益性を上げることです。しかし、返済総額の減少額だけでは収益に与える影響を計れません。
利息は損金になります。つまり、借り換えによって損金になる額は減少し課税所得も変動します。そのため、利息減少額=収益向上額ではありません。
税引き後キャッシュフローは本当に手元に残るお金です。この累計額を借り換え前と借り換え後で比較して、収益向上という本来の目的を達成できるか確認する必要があります。
※課税所得については「今さら聞けないcfと課税所得の違い」をご確認ください
借り換えシミュレーションに必要な情報
借り換えシミュレーションに最低限必要な情報は
1.いつ借り換えるか
2.いくら借り換えるか
3.借り換え後の利息は何%か
4.借り換えに必要な手数料はいくらか
です。
それではサンプルの不動産投資シミュレーションを確認します。
借り換えシミュレーション方法
サンプル物件は、
借り換え条件は
です。
シミュレーション結果を確認する前に、借り換え時必要になる可能性のある手数料は以下です。
1.繰り上げ返済手数料: 借り換え前の金融機関との金消契約(金銭消費貸借契約)に借入から〇年以内は〇%の違約金発生と記載のある場合に必要
2.金融機関の事務手数料・保証料: 借り換え先の金融機関で借入を行う際の手数料
3.司法書士費用: 抵当権抹消・設定と登録免許税
今回のシミュレーション条件は
1.繰り上げ返済の手数料:無し
2.金融機関の事務手数料・保証料:借入額の1%
3.司法書士費用:465,889円
で分析しています。
借り換えシミュレーション結果
3%で借りていた金利を2.4~2.8%で借り換えた場合のシミュレーション結果です。10年・20年・30年の投資期間で税引き後キャッシュフロー累計額を比較します。
10年目は全ての借り換え金利で税引き後キャッシュフロー累計額は少なくなって投資効率は落ちます。20年目は3%⇒2.6%への借り換えから収益性向上に寄与します。
ただし、増加額は約105万円です。この程度の増加額ですと、付き合いのあった金融機関との関係を天秤にかけて損か得かという視点も必要になります。
30年目(返済終了年)には全ての借り換え金利で借り換えなしよりも税引き後キャッシュフロー累計額は増加します。
このように、借り換えシミュレーションを行う場合は、どの程度の期間で、どの程度キャッシュフロー累計額の差かを比較して判断します。
借り換えを行うべきかの判断基準
不動産投資の借り換えシミュレーションについて確認してきました。不動産投資の収益性向上を目的に借り換えを検討する場合は
1.いつ借り換えるか
2.いくら借り換えるか
3.借り換え後の利息は何%か
4.借り換えに必要な手数料はいくらか
の条件によって結果は大きく異なります。
各条件で税引き後キャッシュフロー累計額は何年後にどの位増加するのかを確認しながら分析を行ってください。また、今後の金融機関との付き合いという視点も重要になります。
(動画)借り換えシミュレーションする方法
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「借り換えシミュレーションする方法」を動画でご紹介します