表面利回りの3つの注意点を理解して正しく利用する方法
表面利回りは、不動産投資指標の中でもっとも利用される指標です。しかし、その特徴を理解しないで利用すると誤った判断へ導きかねない怖い指標でもあります。
表面利回りの使い方
表面利回りの計算方法はとても簡単で便利な指標です。
収入と物件価格という比較的手に入りやすい2つの情報だけで計算できます。しかし、注意点もあります。
特に注意したいのは以下の3点を理解して利用することです。
1.維持管理費等の費用は一切考慮されていない
2.時間軸は一切考慮されていない
3.出口(売却)の収(損)益は一切考慮されていない
この3つは考慮されていないことを理解しないで、表面利回りを利用すると大きな判断ミスをしかねません。
表面利回りは費用を考慮していない
表面利回りは、不動産を維持する際に必要な費用・修繕費などは一切考慮されていません。
表面利回り6.5%の物件に投資したとします。家賃収入の15%の維持管理費を考慮した利回り(実質利回り)計算をすると、利回りは5.52%と1%近く低下します。
同じ表面利回りの物件でも維持に必要な費用は異なります。費用によって収益性は大きく変わるかもしれないことは、表面利回り利用時の注意点です。
表面利回りは時間軸を考慮していない
多くの場合、不動産投資は長期におよびます。しかし、表面利回りは時間軸を持ちません。
表面利回りを利用するタイミングは物件購入時が多いと思います。しかし、物件購入時の収入は一生続くわけではなく毎年変化します。表面利回りはこの変化を捉えることはできません。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターで計算
上記は、収入の変動なし・年1%上昇・年1%下落で試算した税引き前のキャッシュフローシミュレーションです。
1%上昇と下落では100万円単位で手元に入る金額が違います。表面利回りは計算時点の数値しか把握できないため、変化を考慮した収益性を確認できません。
表面利回りを利用する際の2つめの注意点です。
表面利回りは出口を考慮していない
3つめの注意点は、表面利回りは出口(売却)まで考慮した収益性を確認できない点です。不動産投資は、家賃収入から得られる収益と売却から得られる収益の和で成否が決まります。
しかし、表面利回りは収入と物件価格だけで計算されるため、一切売却の収益性を確認できません。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターで計算
売却価格の違いによる収益性比較です。収益比較には、売却まで含めた収益性を比較できる不動産投資指標のBTIRRとATIRRを使います。BTIRRとATIRRはExcelを利用して計算可能です。
※BTIRRとATIRRについてはこちらで解説しています。
売却価格によって大きく収益性は異なります。表面利回りだけでは、この違いは一切比較できません。
表面利回りは特徴を理解して利用する
表面利回りは少ない情報で計算できます。そのため、複数物件を短時間で比較するのに便利です。しかし、投資の意思決定をするには不十分な不動産投資指標です。
表面利回りは、表面利回りだけでは判断できない項目を確認できるキャッシュフロー分析等を行うことを前提に利用すべき不動産投資指標です。
(動画)3つの利回り指標を確認する方法
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「3つの利回り指標を確認する方法」を確認する方法動画でご紹介します