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不動産投資でバランスシートを利用して純資産額を確認

2024-08-29

不動産投資の現在地を把握するのにバランスシート(BS)の考え方を利用するのはとても便利です。
 

 
 

不動産投資のバランスシート

 

バランスシートと言っても上場企業の出すようなBSではありません。わずか4つの要素だけで構成されるバランスシートです。
 
不動産投資のバランスシートの4要素は
 
1.自己資金額
 
2.借入残高
 
3.物件時価
 
4.税引き後キャッシュフロー累計額
 
の4つです。
 
※バランスシートについてはBS/PLとは外部リンクもご参照ください

 

 

不動産投資のバランスシートの4要素

 

サンプルを使いながら確認していきます。
 
8,000万円の物件を金融機関から6,000万円借入して購入した場合の購入時点のバランスシートは以下です。ポイントはグレーの純資産部分です。
 
不動産投資の物件購入時のバランスシート
※購入諸費用は純資産部分でマイナスとなります。今回は理解しやすいように省いて記述しています
 
物件購入時点は「物件時価=購入価格」「借入残高=借入総額」「純資産額=自己資金」です。
 
ただし、物件を時価より割高に購入してしまった場合には、以下のバランスシートのように購入時点でマイナスのスタートになります。
 
時価より1,000万円高い8,000万円で購入してしまった場合、純資産額は1,000万円からのスタートです。
 
不動産投資の物件購入時のバランスシート_割高
 
購入時点では4要素の3つの要素のみバランスシート上に表記されます。次に10年後のバランスシートを確認します。

 

 

不動産投資10年後のバランスシート

 

10年後のバランスシートはどうなるでしょうか。
 
不動産投資の10年後のバランスシート_順調に推移
 
CF累計額(税引き後キャッシュフロー累計額)が加わりました。CF累計額は家賃収入等の税引き後に手元に残った金額の累計値です。
 

また、10年で借入返済(700万円)も進み借入残高は5,300万円になっています。
 
物件購入時の純資産と比較すると、2,000万円⇒3,700万円に増加しています。純資産額は1,700万円増加して順調に運用を進めていることを把握できます。
 
次に、空き室増で家賃収入を得られなかったことを仮定したバランスシートはどうなるでしょうか。
 
不動産投資の10年後のバランスシート_低キャッシュフロー
 
純資産部分を確認すると3,000万円しかありません。CF累計額が1,000万円⇒300万円に減少したことが要因です。
 
さらに、空き室増に加え、物件時価(物件を売却可能な価格)も下落した場合を考えます。
 
不動産投資の10年後ののバランスシート_物件時価下落
 
物件時価が購入時点より1,000万円下落したのと空き室で税引き後キャッシュフローが思うように増加しないことが要因で、純資産額は2,000万円と投資開始時点と同額のままです。
 
つまり、10年間頑張ったのに一切純資産は増加しなかったことになります。これであれば自己資金を銀行に預金しておけば良かったとなります。
 
バランスシートで表記すると良くわかるのは、不動産投資はインカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の両方を上手く進めて初めて資産運用として成り立つということです。
 
このような不動産投資の現在地はキャッシュフロー等の一般的な不動産投資シミュレーションだけでは把握しにくいです。
 
※バランスシート作成に必要な2要素については

 

物件時価を試算する方法は「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する

 

税引き後キャッシュフロー累計は「不動産投資のキャッシュフロー分析

 

をご確認ください。
 

 

バランスシートから見える不動産投資の目的

 

不動産投資を資産運用として考えた時の目的はただ1つです。
 
純資産額をできるだけ早く増やすことです。この目的に向けて進むには定期的にバランスシートを確認する必要があります。
 
バランスシートというと難しく聞こえます。しかし、実際は
 
1.自己資金額
2.借入残高
3.物件時価
4.税引き後キャッシュフロー累計額
 
の4要素だけで確認できます。
 
今回は単独物件のバランスシートの推移のみサンプルにしました。複数物件に投資している場合には合計での結果確認も必要です。
 
ご自分のバランスシートはどのように推移しているのか確認する機会になさってください。
  
 

(動画)純資産額の推移をシミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「純資産額の推移をシミュレーション」する方法を動画でご紹介します
 

 
 

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新築RCと築古RCの収益性を比較する

2024-07-18

同じRC(鉄筋造)物件でも新築と築古では収益性の特徴は異なります。
 

 

新築RCと築古RCの違い

 

それぞれの特徴を確認するために、新築RCと築30年経過した築古RCを比較します。
 

以下のサンプル物件を使用します。
 
新築RCと築古RCの収益性比較用のサンプル物件
 
新築と築古のキャッシュフローに影響を与えるポイントは、表面利回り借入年数法定耐用年数です。
 
表面利回りは基本的に「新築<築古」となります。今回は、新築RC6% 築古RC7.5%としています。
 
借入期間については、多くの銀行は貸出期間を法定耐用年数基準で決めます。そのため、新築は築古よりも長い期間借入できます。今回のサンプルは、新築RC35年 築古RC30年です。
 
法定耐用年数は新築は47年。築古は23年と24年の違いがあります。
 
※法定耐用年数の計算については「中古物件の耐用年数の計算方法を理解する」をご確認ください
  
この3つの違いは、キャッシュフローに大きな影響を与えます。

 

 

新築RCと築古RCの収益比較

 

新築RCと築古RCの収益比較を自己資金回収率で行ないます。
 
自己資金回収率は、自己資金を何%回収できているか確認する不動産投資指標です。100%になれば自己資金を回収したことになります。
 
投資に利用した自己資金をできるだけ早く回収することは、次の投資(不動産に限らず)へ資金を利用するという観点からとても重要です。
 
■自己資金回収率の計算式は
 
税引き後キャッシュフロー累計÷自己資金額」 です。
 
サンプル物件を比較すると自己資金回収率は「新築RC<築古RC」となっています。
 

新築RCと築古RCのキャッシュフロー比較と自己資金回収率
不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターを利用
 
築古は表面利回り7.5%と新築より高いのと、償却年数の短いことで減価償却費も年間275万円と多く節税効果が高いからです。
 
今回のサンプル物件では、築古は返済期間の短いことで返済割合の高くなるキャッシュフローへのマイナス面はあるものの自己資金回収率は高くなります。
 
では、築古RCは新築RCよりも収益上必ず優れているのでしょうか。実際はそうとも言い切れません。

 

 

新築RCと築古RCの売却を考慮した比較

 

売却まで含めた収益性を比較します。
 
以下は10年後に、購入価格を中心に上下5%刻の売却価格で売却したことを想定したATIRR比較です。ATIRRの数値の高いほど収益性は高いです。

 
※ATIRRについては「インフレ時代の不動産投資で利用したい指標」をご確認ください
 
新築RCと築古RCのATIRR比較
不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターを利用
 
購入価格で売却した場合は、新築RC7.34% 築古RC11.64%と築古が上回ります。
 
しかし、10年後の築年数は、新築⇒築10年、築古⇒築40年となります。新築と比較して築古は売りにくくなる可能性が高いです。売りにくい=売却価格下落 となります。
 
つまり、築古の場合、売却価格を低く見積もっておく必要があります。新築が購入価格で売却できた場合、築古は15%下落で同等のATIRR。20%下落で新築を下回ります。
 
また、築古RCの売却価格を維持する大きなポイントは修繕費です。RC物件は木造物件と比較すると多額の修繕費が必要です。
 
今回のシミュレーションでは修繕費を考慮に入れていません。しかし、売却価格を維持するには多額の修繕費が必要になる可能性は高いです。当然、修繕費は収益性を大きく引き下げます。
 
修繕費については「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック外部リンク」をご参照ください。

 

 

新築RCと築古RCどちらを選択すべきか

 

築古RCは修繕費を上手におさえながら運用できれば、インカムゲインのキャッシュフロー額は新築RCと比較して多くなる可能性は高いです。しかし、資産性を考えた際には新築より低くなる可能性は高いです。
 
また、手厚いキャッシュフローを利用して次の投資を検討している投資家さんは築古RCを選択するのもの手です。
 
複数物件を所有していて、資産性を重視する投資家さんは新築RCを選択する方が良い場合は多いです。このように、投資家さんの属性や目的によっても異なります。
 
今日ご紹介した特徴を参考にしていただき、個別のシミュレーションを通してご自分の目的にに合っているのはどちらなのか検討していただければと思います。
  
 

(動画)不動産投資指標 自己資金回収率とIRR

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「自己資金回収率とIRR」を確認する方法動画でご紹介します
 

 
 

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年に1回は確認しておきたいあるバランス

2024-07-04

不動産投資は10年・20年と長期間におよぶ投資です。その投資期間中、定期的に確認したいあるバランスがあります。

 

 

重要なバランス

 

 

このバランスが崩れている場合、とてもリスクの高い状態になります。逆に、バランスを保てていれば一定の安全性を確保できます。
 

その定期的に確認したいバランスは
 

借入残高<不動産価格
 

となっているかです。
 

これが
 

借入残高>不動産価格
 

となった場合はリスクの高い状態と言えます。理由は、売却時に借入を返済できない可能性があるからです。
 

今後、金利上昇等の変化が顕在化していく可能性が高いです。また、人口減少の影響をうける地域も増えていきます。そんな時の最善策が不動産投資からの撤退だとしても、撤退できない状況になりかねません。

 

 

「借入残高<不動産価格」確認方法

 

では、具体的にどのように確認すればよいでしょうか。
 
借入残高については、銀行の返済計画書等を確認すればすぐに分かります。
 
不動産投資の返済計画書サンプル表
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターで作成した返済表
 
ポイントは不動産価格です。
 
不動産価格=購入価格 ではありません。
 
不動産価格=売却可能な価格 つまり、時価で考える必要があります。
 
では、時価をどのように検討すればいいでしょうか。

 

 

不動産の時価を確認する簡単な方法

 

もっとも簡単に売却可能な価格(時価)を推定する方法は
 
直近の年間家賃÷表面利回りで計算することです。
 
ポイントは表面利回りは購入時の表面利回りではなく、計算時の表面利回りを利用することです。
 
計算時の表面利回りは収益物件のポータルサイト等で、ご自分の物件に近い物件の表面利回りを確認して算出します。
 
例えば、収益物件のポータルサイトで見つけた類似物件の表面利回りは6.7%。直近の年間家賃収入は800万円の場合
 
800万円÷6.7%=1.19億円が推定の売却可能価格になります。
 
不動産投資ツールを使った売却可能価格計算
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターを使った売却可能価格計算
 
さらに精度の高い時価を推定する方法は以下をご確認ください。
 
3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する

 

 

バランス確認時に考慮に入れたいこと

 

「借入残高<不動産価格」のバランス確認時に、さらに考慮に入れたいのは
 
1.売却時の手数料を考慮する
 
売却可能価格(不動産価格)×4~5%程度の売却時に必要な手数料を考慮するとより現実味が増します。
 
売却時にかかる諸費用について外部リンク
 

2.複数物件所有している場合は全物件合計を確認する
 
複数物件を所有している場合は、不動産投資から完全撤退した場合も想定して検討すると良いです。

 

 

定期的に確認する重要性

 

不動産投資は長期間におよぶ投資です。その期間中に様々変化がおとずれます。また、ご自身の環境が変化するかもしれません。その変化によって、不動産投資から撤退するのが最善の選択になる場合もあります。
 
そんな時に「借入残高>不動産価格」となり撤退できない状況は最悪です。ぜひ、ご自分の現在の状況を確認するために、年に1回など定期的に「借入残高<不動産価格」の状況にあるかを確認なさってください。
 
不動産投資の守りを考えた時には必要な視点ですので、この記事を参考に計算していただければと思います。
  
 

(動画)現実感のある売却シミュレーションを行う方法

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「現実感のある売却シミュレーションを行う方法」を動画でご紹介します
 

 
 

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金利変動を考慮した分析から見えてくること

2024-05-30

不動産投資の重要項目の1つに金利があります。変動金利を選択して借入を行った場合、不動産投資シミュレーションで金利上昇を考慮した分析を含めて行う必要があります。
 

 

 

金利上昇を考慮したシミュレーション

 

金利変動の発生するタイミングは、変動金利は短期プライムレート外部リンクに変動があった場合。固定金利は10年物国債利回り外部リンクに変動のあった場合です。


このような変動を想定して行う、金利変動シミュレーションで最低限確認しておきたい結果は2つです。

 

1.金利上昇してもキャッシュフロー赤字は発生しないか
 
2.金利上昇を考慮した売却価格での収益性

 

 

キャッシュフロー赤字にならないか

 

今回は以下のサンプル物件を利用してシミュレーションします。
 

不動産投資シミュレーション_借入金利上昇のサンプル物件
 
金利変動なしと変動ありのシミュレーションです。変動ありは投資開始翌年から0.5%ずつ3年間上昇して、その金利が10年目まで続くシナリオです。
 
不動産投資シミュレーション_借入金利上昇キャッシュフロー分析
※不動産投資ソフト アセットランクシミュレーターでシミュレーション
 
10年目の利息支払額は、変動ありは変動なしに対して約87万円増加します。また、税引き前キャッシュフローで約63万円。税引き後キャッシュフローは約50万円減少します。
 
このように収益性は大きく低下しています。しかし、手元資金の持ち出しになる税引き後キャッシュフロー赤字は2%⇒3.5%の変動ではなりません。ちなみに、金利が2%⇒6%程度まで上昇すると税引き後キャッシュフローは赤字になります。

 

 

金利上昇後の売却価格

 

次に、見落としがちなのは、金利上昇は売却時の収益にも大きな影響を与えることです。
 
ファミリー向け区分所有を除けば、投資物件の売却先は、ほぼ投資家になります。つまり、どれだけ収益を上げられるかの視点で物件価格を決定します。
 
金利上昇は収益に大きなマイナスです。同等の収益を求められた場合、売却できる価格(買ってくれる価格)は低下傾向になります。
 
以下は金利変動を考慮しない時と、した時の推定の売却価格での売却時のキャッシュフロー分析です。
 
不動産投資シミュレーション_借入金利上昇の売却キャッシュフロー分析
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターでシミュレーション

 

売却時に売却先の投資家に求められる表面利回りは、金利上昇した分程度の表面利回りになる可能性があります。今回のサンプルは表面利回り6.5%です。金利上昇分の1.5%を加算すると表面利回り8%となります。
 
表面利回り6.5%時の売却価格約8,000万円に対し、表面利回り8%時の推定売却価格は約6,500万円となります。その結果売却時に得られる税引き後キャッシュフローは約1,520万円減少します。
 
推定の売却価格計算方法については「10年後の売却価格を推定する方法」をご確認ください。
 
今回のシミュレーションは、インフレに伴う家賃上昇を考慮していません。多くの場合、金利上昇はインフレ抑制のために行なわれます。


インフレの家賃上昇と経年劣化の家賃下落双方を考慮して売却価格を推定すると、毎年0.5%家賃上昇で67,984,138円。1%上昇で71,089,488円です。いずれも金利上昇前の価格には及びません。インフレの家賃上昇を考慮しても金利の影響は大きく残ります。

 

 

金利はインカム・キャピタル両面に影響

 

金利上昇はインカムゲイン(家賃収入)のキャッシュフローにも、キャピタルゲイン(売却益)のキャッシュフローにも多大な影響を与えます。投資の成否は、この2つの収益の和よって決まります。
 
金利上昇が現実味をおびてきたこの機会に、金利変動のシミュレーションを行う参考にしていただければと思います。
  
 

(動画)金利を変動させた不動産投資シミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「金利を変動させた不動産投資シミュレーション」を行う方法を動画でご紹介します
 

 
 

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インフレ時代の不動産投資シミュレーション

2024-03-07

今後予測されるインフレ時代は、デフレ時代と異なる視点で、不動産投資を考えていく必要があります。
 

 
 

インフレ時の不動産投資

 

インフレ時の不動産投資を4つの項目を通して検討します。


1.家賃

2.維持管理費
3.借入金利
4.売却(出口)価格


です。

 

不動産投資シミュレーションを行う場合、インフレ時代に合わせて4項目の変化を推測して分析する必要があります。

 

 

インフレ時の家賃と維持管理費

 

家賃と維持管理費の変化を考える時に、参考になるのは消費者物価指数です。

 

2018年~2023年消費者物価指数(CPI)の推移グラフ
内閣府HPデータより作成外部リンク

 

日銀はインフレターゲットを2%外部リンクとしています。ここ最近は大きく超過している月もあります。しかし、不動産投資シミュレーションを行う場合はインフレ率2%と考えて分析するのが良いです。

 

維持管理費はインフレターゲットと同じ年2%上昇。家賃は2%上昇から経年劣化の家賃下落1%を引いた年1%上昇で分析します。

 

※家賃下落については以下もご参照ください。

劣化が住宅賃料に与える影響とその理由外部リンク
 
マンション賃料インデックス外部リンク

 

 

インフレ時の借入金利

 

次に金利です。正直、金利を予測するのは不可能に近いです。理由は、日本の成長率・インフレ率・景気動向・財政状況等の様々な要素が絡み合うからです。

 

しかし、政策金利がマイナスの現状よりも下落する可能性は低いです。不動産投資シミュレーションの段階では、金利上昇を厳しめに見た方がいいです。

 

今後10年以内で現在の借入金利+0.5%~1.5%程度の上昇は織り込んだシミュレーションは必要です。

 

 

インフレ時の売却(出口)価格

 

売却価格の推測に必要な情報は、売却シミュレーションする年の想定満室家賃と購入時の表面利回りです。

 

例えば、10年後の年間の想定満室家賃が6,000,000円  購入時の表面利回り5.5%の場合は

 

6,000,000÷(5.5%+0%~2%)で計算します。表面利回りへの加算率は人口減少等のマイナス要因の大きな地域は1~2%加算。都心部等は加算+0~1%で考えます。

 

※売却想定価格については以下もご参照ください

3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する

 

 

インフレ変動ありと変動なしシミュレーション

 

変動無しと変動ありシミュレーションを比較すると

 

インフレ時代の不動産投資_家賃_維持管理費_金利の変動シミュレーション


毎年の返済額は金利が2%⇒2.5%⇒2.75%⇒3%と上昇することで3,991,884円から4,488,804円と約50万円増加します。そのため、家賃1%上昇では追いつかずキャッシュフローは悪化します。

 

しかし、家賃1%ずつ上昇したため、10年後の売却想定価格は変動無し91,666,600円⇒変動あり100,254,417円となります。

 

10年後の売却(出口)まで含めて比較すると、金利上昇や維持管理費の上昇があっても変動ありシミュレーションの収益性は自己資金回収率で約20%程度上回ります。

 

 

インフレ時代に重要視するポイント

 

インフレを意識する時代は、金利や維持管理費上昇の影響が家賃上昇を上回ることでキャッシュフロー(インカムゲイン)は悪化する可能性があります。

 

しかし、インフレにより物件価格が上昇し売却(出口)を考慮するとデフレ時代よりも収益性が向上する可能性は十分にあります。

 

今後は、毎年のキャッシュフロー重視から資産価値を保てる物件を選択して出口を十分意識した戦略が必要になります。
  
 

(動画)インフレを意識したシミュレーション

 
※将来の様々なリスクを予測した不動産投資シミュレーションを行う方法

 
 
※10年後の売却価格を推定して不動産投資のキャッシュフローシミュレーションに利用する方法

 
 

関連記事
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表面利回り5%以下の物件への投資する際の注意点

2024-01-25

不動産価格上昇(国土交通省HP)外部リンクの影響で低利回りの物件が増加しています。
 

 
 

表面利回り5%以下の物件購入

 

表面利回り5%を切るような物件への投資は、より慎重な判断が求められます。少しの変化で大きな赤字を出す可能性があるからです。

 

不動産投資は長期間(数年~数十年)に及ぶ投資です。その期間内には様々な変動(リスク)がほぼ必ず発生します。不動産投資の3大リスクは

 

1.空室リスク

 

2.家賃下落リスク

 

3.金利上昇リスク

 

です。

 

表面利回り5%を切る投資では、これらの変動に非常に弱くなります。

 

 

表面利回り5%と8%の物件を比較

 

不動産投資で絶対に避けたいのはキャッシュフロー赤字です。キャッシュフロー赤字になると他の収入から補填が必要な最悪の状況になります。

 

それでは、表面利回り5%と表面利回り8%の変動に対する許容度を比較します。以下のサンプル物件を使います。

 

表面利回り5パーセントと8パーセントの投資物件の比較用の物件


以下の表はキャッシュフロー赤字に転落しないギリギリの変動を比較したものです。

 

表面利回り5パーセントと8パーセントの投資物件の変動率比較結果
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの時系列変動機能の結果を利用して集計
 
表面利回り5%はわずかな変動で赤字キャッシュフローに転落します。それに対して表面利回り8%は比較的大きな変動に耐えられます。
 
どの程度変動に強いかを確認できる不動産投資指標のBER(BE%)は、表面利回り8%は63.23%に対して、表面利回り5%は92.16%と非常にリスクの高い投資になることが分かります。


※不動産投資指標のBER(BE%)については「不動産投資で利用したい各種指標のご紹介」をご確認ください。

 

それでは、低利回りの投資は絶対にNGでしょうか?そうとも言い切れません。

 

 

表面利回りが高いのにはワケがある

 

一般的に表面利回りが高いのには理由があります。その理由は「表面利回り高い=将来性が低い」可能性が高いです。

 

つまり、現状より将来は家賃下落の可能性が高い。空き室増加の可能性が高い。そして、もっとも大きいのは資産価値下落(売却時の価格低下)する可能性が高い。ということです。

 

それに対して、低利回りの物件はその逆の可能性が高いです。

 

低利回りと高利回り物件の一般的な傾向を比較すると
 
低利回り物件と高利回り物件の特徴比較

 

低利回り物件の方が将来の資産価値を守られる可能性の高いことが分かります。

 

では、将来の資産価値まで考慮した投資成績を比較するとどうなるでしょうか。

 

 

将来の物件価値を考慮した分析

 

将来(10年後)の資産価値を考慮した比較を行なった結果です。

 

「長期」の視点で不動産投資の収益性を確認

※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターグラフ機能を一部抜粋


表面利回り5%の物件が資産価値6,000万円(1,000万円増加)、表面利回り8%の物件が資産価値3,750万円(1,250万円減少)になった場合に投資成績は逆転します。

 

不動産投資指標のBTIRRについては「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。

 

 

低利回り物件投資の注意点

 

低利回り物件は、家賃・空き室等の変動に非常に脆弱です。しかし、これらを上手くコントロールできる場合は出口(売却)時に大きな収益を生める可能性があります。

 

但し、低利回り物件への投資に借入を利用する場合は、金利変動のリスクが非常に高いため注意が必要です。金利上昇を自分でコントロールするのは本当に難しいです。

 

低利回り物件へ投資する際は、どの程度変動に耐えられるのか?将来の資産価値(物件価格)は上昇しそうなのか?は大きなポイントになります。
 
 

(動画)変動シミュレーションを行う方法

 
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 家賃下落等の変動シミュレーションを行う方法

 
 
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 税引き後キャッシュフロー 自己資金回収率 IRR(内部収益率)をシミュレーションする方法

 
 

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新築木造と中古木造どちらを選択すべきか

2023-11-14

投資物件を選択する際に新築と中古2つの選択肢があります。多くの物件で表面利回りは「新築<中古」になります。
 
では「新築より中古は投資対象としていいのか」というと単純にそうとも言えません。
 

 

 

新築木造と中古木造どちらを選択すべきか

 

今回は新築木造と中古木造(築20年)に絞って比較します
 
以下のサンプル物件を使って比較します。
 
新築木造と中古木造の不動産投資シミュレーション用物件
 
新築と中古の収益へ影響を与える主な違いは
 
・表面利回り:新築6.5% 中古8%
 
・借入年数:新築30年 中古20年
 
・法定耐用年数:新築22年 中古4年
 
です。
 
もちろん、物件によって上記数値は異なります。しかし、新築と中古木造の場合、多くの物件で同様の傾向になります。

 

 

新築木造と中古木造シミュレーション

 

新築木造と中古木造の不動産投資シミュレーション結果
※新築は年1%家賃下落を考慮
※家賃下落についてはこちら外部リンクをご参照ください
 
新築木造と中古木造の比較で注目すべき項目は
 
1.返済比率(返済額÷家賃×100)
 
2.減価償却費
 
3.課税所得
 
です。
 
まず新築の返済比率59.36%~62.42%に対して中古は66.71%と高くなっています。理由は借入年数が短いためです。
 
中古は新築に比較して、長期の融資を受けるのは難しいです。この場合、返済比率は高くなりキャッシュフロー悪化要因となります。また、空き室等の変動に弱くリスクも高くなります。
 
次に課税所得の推移です。新築は元金返済割合の増加によって若干の減少はありますが大きな変動はありません。課税所得については「今さら聞けないCFと課税所得の違い」も合わせてご確認ください
 
それに対して、中古は2028年にドンと増加しています。これは耐用年数が短く4年目まで減価償却費の多い代わりに、減価償却費のなくなる5年目~大幅に課税所得が上昇するからです。不動産投資の1つの節目である「デッドクロス」が発生します。
 
その結果、所得税等の支払いが増加して2029年に税引き後キャッシュフロー赤字になっています。
 
中古木造は、このような傾向になりやすいです。

 

 

新築木造と中古木造どちらが良いか

 

新築・中古ともに一長一短あります。
 
新築は投資初期は、中古と比較して長めの借入期間と新築プレミアムで安定したキャッシュフローを得やすいです。但し、年数が経過することで新築プレミアムが剝げ落ち、家賃下落の影響を受けやすくなります。
 
中古木造は短期間で減価償却を利用できるので節税という点ではメリットがあります。また、新築と比較して、利回りは高く、家賃下落率を小さく抑えらる傾向にあります。しかし、減価償却費が無くなった瞬間から税負担は重くなります。
 
今回のシミュレーションは、新築・中古ともに修繕費を見込んでいません。特に、中古は修繕費が経営を圧迫する場合もあり注意が必要です。
 
国土交通省発行の修繕費の参考資料外部リンク
 
このように表面利回りだけでは見えないメリット・デメリットがあります。ご紹介した特徴をご参考に、不動産投資シミュレーションをしていただければと思います。
 
 

(動画)デッドクロスシミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してデッドクロス発生タイミングのシミュレーションを行う方法

 
 

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個人と法人どちらで所有すべきか検討する方法

2023-10-31

物件を個人と法人どちらで所有すべきかは多くの大家さんの悩むポイントの1つです。ネット上でも個人所有・法人所有に関する内容を見かけます。
 
しかし、家賃収入(インカムゲイン)を中心とした内容が多く、売却益(キャピタルゲイン)まで含めた内容は少ないです。
 
そこで、売却益まで含めて比較したいと思います。

 

 
 

2つの不動産投資指標を利用する

 

個人所有と法人所有の成績を比較するために2つの指標を利用します。
 
利用する不動産投資指標は
 
1.税引き後キャッシュフロー累計・・税引き後キャッシュフローの投資期間中の合計値。投資によって得られる合計金額
 
2.IRR(BTIRR)・・自己資金に対する収益率を表す指標
 
※IRRの詳細は「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください
 
を利用します。

 

 

個人と法人の税金ルール

 

個人と法人で税引き後キャッシュフローに違いの出る主な理由は、
 
1.課税所得に対する税率が異なる
 
2.売却益を個人の場合は分離課税外部リンク。法人場合は合算して課税
 
です。
 
1.課税所得に対する税率が異なる
 
個人と法人の課税所得対する税率は以下です
 
■個人
不動産投資の個人所得税と住民税の税率一覧
 
■法人
不動産投資の法人実効税率一覧表
実効税率外部リンクは地域等の諸条件によって異なります。
 
大きく税率が異なります。
 
 
2.売却益を個人の場合は分離課税。法人場合は合算して課税
 
法人の場合は家賃収入と売却益を合算して課税所得として計算します。しかし、個人の場合は家賃収入と売却益は分離して計算します。
 
売却益の税率は
 
個人所有で不動産投資物件売却時の売却税率
 
個人の売却税率は法人実効税率よりも低くなっています。

 

 

個人と法人の家賃収入による比較

 

ここからはサンプル物件を使ってシミュレーションしながら、個人・法人での不動産投資を比較します。
 
不動産投資の法人と個人の比較用物件
 
15年後に購入価格と同じ1.5億円で売却できたことを想定して、家賃収入額による個人所有・法人所有の有利・不利をシミュレーションします。
 
不動産投資の法人所有と個人所有の家賃額による比較
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
※個人の家賃収入への復興所得税は含まず計算
※その他課税所得600万円あり
 
家賃収入1,400万円までは個人所有の収益性が高いです。1,600万円~は法人所有が高くなります。課税所得で見ると約850万円~957万円程度。その他課税所得を合算すると1,500万円程度です。

 

 

個人と法人の売却額による比較

 

売却額による個人・法人比較は、家賃収入1,000万円。課税所得はその他課税所得を合算して約850万円~950万円の場合で比較します。
 
不動産投資の法人所有と個人所有の売却額による比較
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
※個人の家賃収入への復興所得税は含まず計算
※その他課税所得600万円あり

 
1.1億円の売却まで法人は有利ですが、売却額(売却益)が高いほど個人が有利になっています。これは、個人の売却益の税率が20.315%なっているためです。

 

 

個人と法人の選択基準

 

個人所有と法人所有の基準となる課税所得を1,000万円前後とする内容を見かけます。しかし、売却益まで考慮すると1,000万円程度だと個人所有が有利な可能性もあります。

ご紹介した税金ルール以外にも、個人所有と比較して法人所有は損金化しやすい費用が多い。欠損金の繰り越し期間外部リンクが長くなる等のメリットもあります。逆に、法人設立費用等が必要になるデメリットもあります。
 
給与等の投資物件以外の課税所得額を含めて、個別にシミュレーションを行わないと分からないというのが実際の結論です。本当にざっくりとした感覚になりますが、課税所得約1,200万円~1,500万円以上は法人所有が有利になる可能性が高いです。
 
個人所有と法人所有のどちらが有利かは前提条件によって大きく異なります。この内容をご参考に個人・法人所有の収益性比較をしていただければと思います。
 
 

(動画)個人所有と法人所有シミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して個人所有と法人所有のシミュレーションを行う方法

 
 

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物件購入の意思決定前に行いたい3つの分析

2023-10-17

先日、こんなご質問をいただきました。

 

「不動産投資シミュレーションする際はどんな分析をすれば良いですか?」
 
投資の主目的(節税・資産防衛・資産運用)によって確認すべきポイントは大きく異なります。

 

 
 

投資目的と分析ポイント

 

■節税目的 ⇒ どれだけ課税所得を減らせるか
 
■資産防衛目的 ⇒ 物件の資産価値を守れるか
 
がポイントになると思います。
 
では、資産運用目的の場合はどうでしょうか。
 
資産運用目的で物件を購入する際に行っておきたいシミュレーションは
 
1.長期キャッシュフロー分析
 
2.10年・20年後等の節目で売却分析
 
3.変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)
 
です。

 

 

長期キャッシュフロー分析

 

長期のキャッシュフローシミュレーションを確認することは、不動産投資シミュレーションでもっとも重要なポイントです。
 
長期のキャッシュフロー分析は税引き後キャッシュフローを確認することをお勧めします。
 
また、シミュレーション時には投資予定の物件以外の所得(給与等)を考慮する必要もあります。
 
理由は、個人所有で投資する場合には「総合課税制度外部リンク」と「累進課税制度外部リンク」によって税引き後キャッシュフローに大きな影響があるからです。

 
その上で確認しておきたいのは
 
1.税引き後キャッシュフローに赤字の年はないか
 
2.税引き後キャッシュフローの減少ペース
 
です。
 
物件以外の所得を考慮した場合としない場合で結果を比較します。
 
不動産投資の税引き後キャッシュフローシミュレーション
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
  
まず、給与等の所得を加味した分析と、しない分析では税引き後キャッシュフローに30%~40%違いがあります。
 
今回のシミュレーションの税引き後キャッシュフローを確認すると赤字の年はありません。
 
また、税引き後キャッシュフローは年々減少します。元金返済と減価償却費のバランスの変化で基本的にこのような経過をたどります。
 
元金返済と利息支払と減価償却費のバランスの重要性

 

 

10年・20年後等の節目で売却分析

 

売却シミュレーションも確認しておきたい分析です。理由は「不動産投資は出口(売却)を迎えるまで成否は分からない」からです。
 
以下は売却価格を変化させて税引き後キャッシュフロー累計を比較したものです。
 
10年後の売却価格を推定する方法
 

不動産投資の売却を加味した税引き後キャッシュフローシミュレーション
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
 
税引き後キャッシュフロー(CF)累計は、投資期間中(10年間)の家賃収入と売却収入を合算したものです。売却価格によって大きく異なります。
 
ちなみに、この投資の自己資金は1,600万円です。5,000万円でしか売却できない場合は、家賃収入(インカムゲイン)ではプラスになっているものの、最終的に約850万円の損失が出ます。
 
売却分析では「いくらで売却できれば自己資金を回収できるか」「目標の収益を得られる売却価格はいくらか」は確認しておきたいポイントです。 
 

 

 

変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)

 

不動産投資は10・20年と長期にわたります。投資期間中、ずっと満室、家賃変わらずという可能性は低いです。また、修繕費も一定額かかります。
 
以下は家賃下落なしと家賃下落ありのシミュレーション結果です。
 

不動産投資の家賃下落を考慮した税引き後キャッシュフローシミュレーション
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
 
税引き後キャッシュフローに大きな違いが発生しています。変動無しシミュレーションは現実離れする可能性が高いため注意が必要です。
 
以下のリンクのページで現実感ある家賃変動と空室率で不動産投資シミュレーションを行う方法をご紹介しています。
 
家賃変動・空室を加味して現実的な不動産投資シミュレーションを行う方法
 
 

役立つシミュレーションを行う

 

ポイントを外した不動産投資シミュレーションは無意味になりがちです。
 
ご紹介した
 
1.長期キャッシュフロー分析
 
2.10年・20年後等の節目での売却分析
 
3.変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)
 
を意識しながら分析結果を比較していただければと思います。
 
 

(動画)売却分析とリスクを予測したシミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して売却シミュレーションを行う方法

 
 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してリスクを予測したシミュレーションを行う方法

 
 

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物件価格と金利とインフレの関係性

2023-09-19

日銀 植田総裁のマイナス金利解除の可能性についての記事が掲載されました。マイナス金利が解除されれば、借入金利上昇の可能性は高まります。

 

「植田総裁インタビュー記事(読売新聞)」外部リンク
 
 

 

 

不動産投資への金利の影響

 

金利上昇の不動産投資への影響で真っ先に思いつくのは、利息支払い増加によるキャッシュフロー悪化です。

 

そして、キャッシュフロー悪化を通して、もう1つ大きな影響を受ける項目があります。

 

それは物件価格下落の可能性です。下落する理由は収益還元法の視点で考えると良く分かります。

 

現在、収益還元法は不動産投資シミュレーションの主流です。収益還元法を細かく説明すると小難しい内容になります。しかし、単純に書けば

 

「目標収益を達成できるかを基準に判断する方法」です。

 

この視点で考えた時に、金利上昇は物件価格へ

 

1.金利上昇
  ↓
2.キャッシュフロー悪化
  ↓
3.目標収益に到達しない
  ↓
4.内容見直し必要
  ↓
5.物件価格見直しor投資中止
  ↓
6.物件価格下落

 

このような流れで影響を与えます。

 

 

金利上昇の影響をシミュレーション

 

サンプル物件を使って金利上昇の税引き前キャッシュフロー(CF)と物件価格への影響をシミュレーションします。

 

金利上昇の物件価格への影響


この物件への投資のために借入した金利を、0.5%ずつ変動させて税引き前キャッシュフローへの影響を比較します。

金利上昇のキャッシュフローへの影響

 

1.5%時には年間約150万円あった税引き前キャッシュフローは徐々に減少していき、5.0%で赤字に転落します。金利上昇の影響の大きさが分かります。
 
アメリカは約1年半で5%近く政策金利を上げています。日本では現実感のない上昇です。しかし、諸外国では現実に発生しています。

 

 

物件価格への影響

 

次に、物件価格への影響を確認します。

 

金利上昇の物件価格への影響結果
 
金利1.5%と同等の約150万円の税引き前キャッシュフローを稼ぐために、いくらで物件を買う必要があるかとその際の表面利回りを一覧にしました。

 

金利上昇ごとに、安い物件価格(高い表面利回り)で購入する必要があります。つまり、金利上昇⇒物件価格下落になります。

 

しかし、こんなことを疑問に思うかもしれません。「金利上昇(利上げ)=物価上昇時だから、家賃も上がって物件価格も上昇するはず」

 

確かにその通りです。ただ、単純に連動するわけではありません。

 

 

インフレと家賃上昇と物件価格

 

日本の家賃はインフレを約2年程度遅れて追いかけてくると言われています。

 

理由は「入居後に家賃を上げるのは非常に困難」だからです。

 

借地借家法外部リンクは新法になっても、借手の権利を強く保護しています。そのため、インフレになったから即家賃を上げるのは不可能です。

 

「インフレ⇒金利上昇」よりも「インフレ⇒家賃上昇」はかなり遅れてやってきます。

 

その間、キャッシュフロー悪化と物件価格下落(担保価値下落)を耐え忍ぶ期間が発生します。

 

今回のシミュレーションは分かり易くするために、かなり単純化しています。そのため、この通りなるわけではありません。しかし、基本的に

 

金利上昇=キャッシュフロー悪化

 

金利上昇=物件価格下落

 

です。

 

金利上昇の可能性は高まっています。この点を頭に置いて不動産投資シミュレーションを行う際の参考にしていただければと思います
 
 

(動画)金利変動シミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して金利変動シミュレーションを行う方法

 
 

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