不動産投資でバランスシートを利用して純資産額を確認
不動産投資の現在地を把握するのにバランスシート(BS)の考え方を利用するのはとても便利です。
不動産投資のバランスシート
バランスシートと言っても上場企業の出すようなBSではありません。わずか4つの要素だけで構成されるバランスシートです。
不動産投資のバランスシートの4要素は
1.自己資金額
2.借入残高
3.物件時価
4.税引き後キャッシュフロー累計額
の4つです。
※バランスシートについてはBS/PLとはもご参照ください
不動産投資のバランスシートの4要素
サンプルを使いながら確認していきます。
8,000万円の物件を金融機関から6,000万円借入して購入した場合の購入時点のバランスシートは以下です。ポイントはグレーの純資産部分です。
※購入諸費用は純資産部分でマイナスとなります。今回は理解しやすいように省いて記述しています
物件購入時点は「物件時価=購入価格」「借入残高=借入総額」「純資産額=自己資金」です。
ただし、物件を時価より割高に購入してしまった場合には、以下のバランスシートのように購入時点でマイナスのスタートになります。
時価より1,000万円高い8,000万円で購入してしまった場合、純資産額は1,000万円からのスタートです。
購入時点では4要素の3つの要素のみバランスシート上に表記されます。次に10年後のバランスシートを確認します。
不動産投資10年後のバランスシート
10年後のバランスシートはどうなるでしょうか。
CF累計額(税引き後キャッシュフロー累計額)が加わりました。CF累計額は家賃収入等の税引き後に手元に残った金額の累計値です。
また、10年で借入返済(700万円)も進み借入残高は5,300万円になっています。
物件購入時の純資産と比較すると、2,000万円⇒3,700万円に増加しています。純資産額は1,700万円増加して順調に運用を進めていることを把握できます。
次に、空き室増で家賃収入を得られなかったことを仮定したバランスシートはどうなるでしょうか。
純資産部分を確認すると3,000万円しかありません。CF累計額が1,000万円⇒300万円に減少したことが要因です。
さらに、空き室増に加え、物件時価(物件を売却可能な価格)も下落した場合を考えます。
物件時価が購入時点より1,000万円下落したのと空き室で税引き後キャッシュフローが思うように増加しないことが要因で、純資産額は2,000万円と投資開始時点と同額のままです。
つまり、10年間頑張ったのに一切純資産は増加しなかったことになります。これであれば自己資金を銀行に預金しておけば良かったとなります。
バランスシートで表記すると良くわかるのは、不動産投資はインカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の両方を上手く進めて初めて資産運用として成り立つということです。
このような不動産投資の現在地はキャッシュフロー等の一般的な不動産投資シミュレーションだけでは把握しにくいです。
※バランスシート作成に必要な2要素については
物件時価を試算する方法は「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」
税引き後キャッシュフロー累計は「不動産投資のキャッシュフロー分析」
をご確認ください。
バランスシートから見える不動産投資の目的
不動産投資を資産運用として考えた時の目的はただ1つです。
純資産額をできるだけ早く増やすことです。この目的に向けて進むには定期的にバランスシートを確認する必要があります。
バランスシートというと難しく聞こえます。しかし、実際は
1.自己資金額
2.借入残高
3.物件時価
4.税引き後キャッシュフロー累計額
の4要素だけで確認できます。
今回は単独物件のバランスシートの推移のみサンプルにしました。複数物件に投資している場合には合計での結果確認も必要です。
ご自分のバランスシートはどのように推移しているのか確認する機会になさってください。
(動画)純資産額の推移をシミュレーション
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「純資産額の推移をシミュレーション」する方法を動画でご紹介します