自己資金額による不動産投資への影響
自己資金は投資の成否を決める重要な項目です。しかし、金融機関から「〇%入れてください」という理由だけ決めている方もいらっしゃいます。
自己資金額を検討するための指標
自己資金額を検討するポイントは「収益性」と「安全性」の両面で検討することです。
「収益性」と「安全性」の両面を確認するには不動産投資指標を使うと便利です。
利用する不動産投資指標は
1.キャッシュフロー・・・収入から支出を引いたお金の流れを表します。税引き前と税引き後があり税引き後は本当の手取り額になります。
2.自己資金分析回収率・・・回収率100%で投資した自己資金を回収したことになります。100%になるまでの年数の早いほど効率の良い投資と言えます。
3.BER(BE%)・・・(維持管理費+返済額)÷満室想定家賃×100 で計算します。損益分岐点を表す指標で安全性を確認できます。BERについては「不動産投資指標を使って安全性を分析」もご確認ください
の3つです。
サンプル物件を使って具体的な利用方法を説明します。
自己資金による安全性の違い
このサンプル物件で自己資金額と表面利回りを変化させて安全性への影響を比較します。
※不動作投資ツール アセットランクシミュレーターで分析
物件購入時の諸費用を1,000万円としています。自己資金1,000万円は、実質自己資金0のいわゆるフルレバレッジと言われる状態です。
BER70%前後であれば一定の安全性は保たれていると判断できます。表面利回り6%の場合は自己資金4,000万円(物件価格比で自己資金率30%)必要になります。8%の場合は2,000万円の自己資金で70%を下回ります。
表面利回りの低い物件は、レバレッジを高めた(借入率の高い)投資は非常にリスクの高いことが分かります。
自己資金額による収益性の違い
次に収益性を確認します。
※不動作投資ツール アセットランクシミュレーターで分析
上段は年間の税引き前キャッシュフロー額 下段は2025年に投資を開始した場合に税引き後キャッシュフローベースで自己資金を何年に回収できるかの結果です。
表面利回り6%は、自己資金の多い方が自己資金を回収できる年が早まっています。逆に、表面利回り8%では自己資金は少ないほど自己資金の回収までの期間は短くなります。
このように表面利回りによっても最適な自己資金額は違ってきます。
自己資金額の決定プロセス
自己資金と表面利回りの違いによる収益性と安全性の比較を行ないました。
利回りの低い場合は自己資金を極端に減らすと、とてつもなくリスク高い投資になります。逆に、利回りの高い場合は過剰に自己資金を多くしても投資効率を落とす結果になります。
これらの結果は、投資する人の年収、減価償却の額等の個別状況によって異なります。また、今回の不動産投資シミュレーションは、満室経営・家賃変動なしという条件の分析です。
実際は、利回りの高い物件は、対策を講じないと空き室、家賃下落の発生しやすい場合が多いです。
「金融機関に〇%自己資金を入れてください」⇒「はいそうですか」ではなく、物件毎に分析を行って適切な自己資金額を決定する必要があります。
ご紹介した不動産投資指標を利用して分析していただければと思います。
(動画)自己資金額を検討する方法
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「自己資金額を検討する方法」を動画でご紹介します