キャッシュフロー赤字の物件を購入して問題ないか
最近、不動産価格が上昇したのが要因で、こんな内容の物件が増えています。
「キャッシュフロー(CF)は赤字ですが、資産価値上昇を見込めますので大丈夫です」
本当に大丈夫なのでしょうか?
今日のメールセミナーでは、具体的にどの程度の資産価値があれば大丈夫なのか、確認する方法をご紹介します。
CF赤字での投資
CF赤字になる一例を挙げると
この例は利回りが低く、20%以下の自己資金の場合です。
では、CFがどの程度赤字になるのかと資産価値をどの程度まで保てば問題ないかを確認していきます。
CF赤字のパターン
CF赤字のパターンの一例は
※アセットランクシミュレーターの収支詳細機能を利用
※一部を抜粋して表示
今回のサンプルは、CFは年3,816円でギリギリ黒字。税金支払い後にCF赤字になるパターンです。
なぜ、CF額よりも多く税金が発生しているのか?と疑問に思われる場合は
「今さら聞けないCFと課税所得の違い」をご確認ください。
税引き後CFが、実質の手取り額ですので、毎年4万円前後、自分の財布からお金が出ていく投資になります。
なぜ、CF赤字でも購入する人がいるのか
自分の財布からお金が出ていくのが分かっていて、物件を購入する人が存在する理由は
1.将来、家賃が上がって黒字になるのを見込む
2.将来、資産価値が上がってトータルで得をする
この2つを狙っているからです。
今日は、2.について確認します。
以下は、10年後に購入価格と同じ3,000万円で売却できた場合のCF表です。
10年で建物は経年劣化して価値を落としますので、実質、資産価値が上昇したのと同様の状況です。
※アセットランクシミュレーターの収支詳細機能を利用
※一部を抜粋して表示
売却年(2031年)に自己資金回収率が144.27%とプラスになっているのがお分かりいただけると思います。
売却でプラスのCFが発生した為、600万円投じた自己資金を、約865万円にして投資を終了することができています。
資産価値いくらまで成り立つか
今回は3,000万円での売却でしたが、どの程度の価格で売却できれば大丈夫か確認すると
※アセットランクシミュレーターグラフ機能を利用
このグラフは、物件価格を5%ずつ変動させて売却した場合のIRR値(年利を表す値)を比較したものです。
BTIRR(税引き前CF基準)・ATIRR(税引き後CF基準)の結果を確認すると、
2,700万円までプラスであることが分かります。
つまり、10年後に最低2,700万円の価値を保てれば、なんとか損をしなくて済むことが分かります。
しかし、ATIRR0.16%ですので、手間と時間をかけて投資するなら、年利約0.22%(2022年2月18日)の10年国債を買った方がいいといえる運用です。
CF赤字の投資をしても平気か
今回のサンプルでは、購入時の価格を維持できるれば、自己資金を回収してプラス域に浮上しました。
しかし、正直、毎年、自分の財布からお金が減ってい行くのは精神衛生上良くありません。
また、10年後に資産価値が上昇しているかは、誰にも分かりませんので、それだけを当てにして運用するのは、リスクが高いと思います。
毎年CF赤字の投資は、わたし個人の考え方ではお勧めできるものでは無いです。
※アセットランクシミュレーターを利用して10年後の資産価値が投資収益に与える影響をシミュレーションする方法をご紹介しています