今さら聞けないCFと課税所得の違い
先日、お客様からこんなご質問をいただきました。
「課税所得額が毎年違うのはなぜでしょうか」
確かに、元利均等返済で借入を行った時に、毎年の家賃変動等を考慮しないシミュレーションの場合、キャッシュフロー(CF)は毎年一定です。それなのに何でだろうと思います。
その理由は、CFと課税所得の計算方法の違いにあります。
CFと課税所得の違い
CFと課税所得では、根本的に計算方法が異なります。
▼CF⇒ 本当の現金の流れを表す
▼課税所得⇒ 税額を決定する基準
違いを生むポイントは2つです。
▼借入返済
▼減価償却費
です。
具体的な計算方法
CFと課税所得の計算式は
■キャッシュフロー(CF)
収入 - 経費 - 返済額(元金+利息)
■課税所得
収入 - 経費 - 返済額(利息) - 減価償却費
です。
違いは、先ほど書いた、返済額と減価償却費であるのが分かります。
それでは、サンプル物件を使って、具体的に見ていきます。
CFと課税所得の結果
サンプル物件のCFと課税所得シミュレーション結果は以下です。
※アセットランクシミュレーターの収支詳細機能を利用
※一部を抜粋して表示
CFは一定なのに課税所得は少しずつ増加しています。
ポイントは赤点線の項目です。
まず、返済額の欄を確認すると、本当の現金の流れを表すCFの計算には、銀行へ返済する全額の元金分と利息分が入っています。
当然、銀行に返済するわけですから、現金が出ていきますのでCFに影響を与えます。
それに対して課税所得は税金計算をする基準になる金額です。実際の現金の流れとは関係ありません。
その為、損金として認められない元金分は計算に含まれず、利息だけが含まれ損金化されます。
そして、もう1つの違いは、不動産投資の収益に大きな影響を与える減価償却費です。
減価償却費は物件取得時に支払った、土地分除く建物等の取得価格を法定耐用年数で案分して損金化するものです。
つまり、現金自体は、購入時に支払っている為、CFには影響を与えません。
毎年課税所得が異なる理由
ここまでくると、課税所得が毎年異なる理由が分かります。
▼利息返済額が変わる
▼減価償却費が変動する場合がある
からです。
このような特徴から、不動産投資の収益に大きな影響を与える、デッドクロス等が発生して、年々税金支払額が増加する理由になります。
物件購入前にCFと課税所得の関係のシミュレーションは必須です。この記事をご参考にご確認いただければと思います。
※アセットランクシミュレーターを利用してCFと課税所得を確認する方法を動画でご紹介しています。