ワンルームマンション投資の現実
ここ最近、銀行から、不動産投資目的で借入をするのが難しくなっています。コロナの関係で企業の資金需要が高まって、貸出が増加しているのも1つの理由です。
そんな中、借入無しの自己資金だけで投資ができる、ワンルームマンション投資を考える方もいると思います。そこで、中古ワンルームは、投資として成り立つのか、実際の物件を使いながら、ご一緒に検証していきたいと思います。
物件概要
以下の物件は実際に販売されている物件です。
物件概要 | |
物件名 | 中古ワンルームマンション投資 |
住所 | 東京都(山手線) |
築年月 | 1990年4月(耐用年数21年) |
占有面積 | 16.5平米 |
賃料/月 | 69,000円 |
管理費 | 6,765円 |
修繕積立金 | 3,280円 |
物件価格 | 13,900,000円 |
物件取得費用 | 1,390,000円 |
自己資金 | 15,290,000円 |
表面利回り | 5.96% |
投資家属性 | |
年収 | 7,000,000円 |
扶養家族 | 1人 |
※物件取得費用は概算値です。
場所は山手線駅から10分以内の好立地です。また、今回は年収700万円、扶養家族1人の人が購入する前提で検証します。
表面利回りは5.96%と、新耐震では一般的に出回っている利回り程度です。
シミュレーション結果
以下がシミュレーション結果です。
30年間のキャッシュフロー表(年3%の空室を想定) | |||||
年数 | 2021 | 2022 | ~ | 2029 | 2030 |
潜在的総収入(年) | 345,000 | 828,000 | 828,000 | 828,000 | |
維持管理費(年) | 50,225 | 120,540 | 120,540 | 120,540 | |
キャッシュフロー | 294,775 | 682,620 | 682,620 | 682,620 | |
所得税等税金 | 0 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | |
税引き後キャッシュフロー | 294,775 | 549,464 | 549,464 | 549,464 | |
税引き後キャッシュフロー累計 | 294,775 | 844,239 | 4,690,483 | 5,239,947 | |
自己資金回収率 | 1.93% | 5.52% | 30.68% | 34.27% | |
年数 | 2031 | 2032 | ~ | 2039 | 2040 |
潜在的総収入(年) | 828,000 | 828,000 | 828,000 | 828,000 | |
維持管理費(年) | 120,540 | 120,540 | 120,540 | 120,540 | |
キャッシュフロー | 682,620 | 682,620 | 682,620 | 682,620 | |
所得税等税金 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | |
税引き後キャッシュフロー | 549,464 | 549,464 | 549,464 | 549,464 | |
税引き後キャッシュフロー累計 | 5,789,410 | 6,338,874 | 10,185,118 | 10,734,582 | |
自己資金回収率 | 37.86% | 41.46% | 66.61% | 70.21% | |
年数 | 2041 | 2042 | ~ | 2049 | 2050 |
潜在的総収入(年) | 828,000 | 828,000 | 828,000 | 828,000 | |
維持管理費(年) | 120,540 | 120,540 | 120,540 | 120,540 | |
キャッシュフロー | 682,620 | 682,620 | 682,620 | 682,620 | |
所得税等税金 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | |
税引き後キャッシュフロー | 549,464 | 549,464 | 549,464 | 549,464 | |
税引き後キャッシュフロー累計 | 11,284,045 | 11,833,509 | 15,679,753 | 16,229,217 | |
自己資金回収率 | 73.80% | 77.39% | 102.55% | 106.14% |
※アセットランクシミュレーターでシミュレーション 一部期間を抜粋
シミュレーション条件は、購入時の家賃を期間中維持空室は年3%見込んでいます。満室経営と言っていい条件です。3%はテナントが変わる際に、どうしても発生する空室期間を考慮したものです。
月の税引き後キャッシュフロー(CF)は約45,000円です。
税引き後CFで自己資金回収できるのが29年後の2049年です。
インカムゲイン(家賃)だけを考えた、運用成績としてはかなり厳しいです。
東京都心の1Rマンションへ投資をした場合の収益性は同様レベルの物件が多いです。
キャピタル(売却)を考慮
以下は10年後の2031年に、売却した際のシミュレーションです。
厳密に言うと違うのですが、ATIRRとは税引き後CF基準で、自己資金をどの程度の年利で運用できたかを表すものとご理解ください。
10年後の売却シミュレーション | ||
売却価格 | ATIRR | |
10,425,000 | 0.26% | |
11,120,000 | 0.73% | |
11,815,000 | 1.17% | |
12,510,000 | 1.60% | |
13,205,000 | 2.01% | |
13,900,000 | 2.40% | |
14,595,000 | 2.77% | |
15,290,000 | 3.12% | |
15,985,000 | 3.39% | |
16,680,000 | 3.65% | |
17,375,000 | 3.91% |
※
まず、購入した1,390万円で、売却できた場合には、年2.4%で運用できる結果になります。
購入経費を入れた、自己資金:1,529万円を1,913万円まで増加させて回収できます。
1,042万円で売却した場合、年0.26%の年利ですので、10年後に約1,000万円で売却できるかが損するか得するかのラインになります。
この物件の場合、10年後に購入価格より高い価格で売却できるかが、投資として成功するかのポイントになります。
2021年時点での投資
実際の物件を使ったシミュレーション結果を検証しました。現状の利回りだと、インカムゲインだけで資産運用を行うのは、厳しいかなと思います。
今後もワンルームの価格が、上昇していくと考える場合は運用として成功する可能性があります。もし、値下がりすると、考えているようならば慎重な判断が必要です。
※簡単な動画ですが、アセットランクシミュレーターを使用して、