新築ワンルームは、本当に資産になるのか検証する
さて、今日は、新築ワンルームマンションは資産運用として成り立つかについて考えていきます。 いつものように、客観的に分析できるように、サンプル物件を使って検証します。
新築ワンルームへの投資
年収1,000万円の人が35年ローンで購入する想定でシミュレーションしています。
それにしても、10年前の新築ワンルームマンションと比較すると、ビックリするくらい、物件価格が高くなっています。
シミュレーション結果
シミュレーション条件は、空室は無し、家賃下落も無しの大甘条件です。
見ていただくと分かるのですが、毎年、毎年、キャッシュフロー(CF)の赤字が続いています。最初は月3,000円程度ですが、15年後には、月10,000円近くになります。
新築ワンルームの場合、多くの物件で、このようなCF赤字になります。
では、なぜ、投資物件として販売されるかを、営業の方の売り文句から纏めると、以下の2つに集約されます。
1、節税対策になります。
2、将来、値上がりが見込めます。
では、この2つの視点で、本当に投資として成り立つのかシミュレーションします。
節税対策
CFシミュレーションを行った、年収1,000万円前後ですと約70~80万円程度の節税ができる可能性があります。
ちなみに、先ほどのCFシミュレーション結果を確認いただくと分かるのですが、だいたい、10年程度のCF赤字額と節税できる額が、同じ程度です。
この結果からすると、毎年の出血が目に見えている状況で、節税の為だけに、この物件を購入する意思決定を行うのは、非常に厳しいと思います。
確かに、節税にはなりますが、トータルの収益で考えると、損する可能性が非常に高いです。
将来の値上がり
それでは、将来、物件価格が高くなって売却益が出た場合はどうでしょうか。
以下は2037年 投資開始15年後に売却した場合のシミュレーション結果です。
厳密に言うと違うのですが、BTIRRは税引き前CF基準、ATIRRは税引き後CF基準で、自己資金(今回の場合735万円)をどの程度の年利で運用できたかを表すものとご理解ください。
赤線で、囲われた部分は、購入価格の4,900万円で売却できた場合です。税引き前で5.75%の年利で運用できています。
J-REITの税引き前の分配金は商品によりますが、だいたい3.5~4%程度ですので、J-REITで運用するよりは高い数字です。
ただ、今回は、空き室、家賃下落等を一切考えないシミュレーションである点、物件を管理する手間等を考えると微妙なラインです。
シミュレーション結果を見ると、購入価格より高い価格で売却できないと、資産運用として成功するのは難しい結果と言えます。
参考ですが、減価償却分を引いた、2037年の積算価格3,485万円で売却した場合は、自己資金を回収できず、約400万円の損失が出ます。
新築ワンルームマンションの購入
キャッシュフロー、節税、売却益の3つの視点で、新築ワンルームマンションの購入についてシミュレーションをしました。
結果は、売却時に新築時の購入価格より高い価格で売却できないと、厳しいという結果です。
当然、個別の案件によって結果は異なります。ワンルームマンションの購入を検討している場合は、今日のメールセミナーが参考になれば幸いです。 |