元利均等返済と元金均等返済の特色を5つの指標で把握する
不動産投資の借入をする際は「元利均等返済」「元金均等返済」を主に利用します。元利均等返済と元金均等返済の選択によって収益にどのような違いが生まれるか比較します。
5項目で元利均等返済と元金均等返済を比較
5つの項目で元利均等返済と元金均等返済のどちらが投資収益に好影響を与えるか比較します。
1.年間返済額
2.返済総額
3.税引き後キャッシュフロー額
4.税引き後キャッシュフロー累計額
5.不動産売却を含めた収益比較
の5項目です。
元利均等と元金均等の返済シミュレーション
サンプル物件を使ってシミュレーションします。
■サンプル物件概要
■返済額シミュレーション結果
返済シミュレーションの一部年を抜粋して表示しています。
文字通り、元利均等返済は元金+利息の返済額が一定。元金均等返済は元金額の返済が一定です。
年間返済額は投資開始から14年目まで「元利均等返済<元金均等返済」になっています。投資前半は元金均等返済の方が「返済比率」や「BER(BE%)」は高いです。
しかし、返済期間後半は元金均等返済の返済額は少なくなり、元利均等返済と逆転します。返済総額は元金均等返済の方が約220万円少ないです。
元利均等と元金均等のキャッシュフローシミュレーション
次に、キャッシュフローシミュレーションを確認します。シミュレーション結果は30年分の一部を掲載しています。
投資開始から14年間は元利均等返済が、年間の税引き前・税引き後キャッシュフローともに多いです。15年目に元金均等返済が逆転します。
投資成績として重要な税引き後のキャッシュフロー累計額は28年目にようやく元金均等返済が逆転します。
家賃収入(インカムゲイン)だけの収益性を考えると、早めに現金の貯まっていく元利均等返済を選択する方が良さそうです。
元利均等と元金均等の不動産売却シミュレーション
不動産の売却収益(キャピタルゲイン)まで含めた投資成績はどうなるでしょうか。10・20・30年後に6,000万円で売却したシミュレーションを比較します。
比較には、税引き後キャッシュフロー累計額とIRRを利用します。
※不動産投資指標のIRR(ATIRR・BTIRR)については「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。
■税引き後キャッシュフロー累計額(CF累計額)
10・20・30年後のどれを見ても元金均等返済が元利均等返済を上回ります。理由は、元金均等返済は毎年の元金分の返済額が多いため、売却時に一括返済が必要になる借入残高が少ないからです。
■IRR(BTIRR)
10年後を除いて元利均等返済が高いです。理由は、投資初期のキャッシュフロー額が多いからです。投資の視点(IRRの計算)では、1年目と10年目の100万円は同価値ではありません。1年目の100万円は、その後100万円を運用できる可能性があるからです。
元利均等返済と元金均等返済のどちらが有利か
1.年間返済額
2.返済総額
3.税引き後キャッシュフロー額
4.税引き後キャッシュフロー累計額
5.不動産売却を含めた収益比較
の5項目で比較した結果、それぞれ一長一短のあることが分かります。
投資初期から手元資金を増加させて、再投資に向かうには元利均等返済は有利です。しかし、投資トータルの手取り額で考えると元金均等返済に軍配が上がります。
結果は金利、借入額等の条件によって変わります。ぜひ、今回の分析を参考にしていただき、ご自分にあった借入方法をシミュレーションしていただければと思います。
(動画)元利均等返済と元金均等返済を比較する
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して元利均等返済と元金均等返済の収益性を比較する方法