物件が物価上昇に強いかシミュレーションする方法
不動産はインフレに強いと言われます。
インフレに強いと言われる理由と本当にインフレに強いのかを地価公示価格・基準価格と物価上昇率を比較して考えます。
不動産がインフレに強いと言われる理由
不動産はインフレ強いと言われる理由は、歴史的に物価上昇率と同等程度に価格上昇しているからです。
例えば、2021年~2025年の消費者物価指数は約12%程度の上昇です。地価公示価格の概算の上昇率は約8%程度です。
それに対して現金は、物価の上昇率を考えると100万円⇒約90万円程度の価値になったと言えます。
不動産は物価上昇率程度に上昇するので、実質的な目減りは少ないというのがインフレに強いと言われる理由です。
不動産はインフレに強いは本当か
では、不動産はインフレに強いは本当でしょうか。個別に確認すると単純にそうとも言い切れません。
以下は実在する土地の2021年~2025年の地価公示価格の平米単価と物価上昇率の推移です。
・青いライン:地価公示価格の前年上昇率
・グレーライン:物価の前年上昇率
です。
1.物価上昇率より低い上昇率の土地

2.物価上昇率程度に上昇している土地

3.物価上昇率以上に上昇している土地

※物価上昇率=消費者物価指数
1.の物件は価格自体は上昇しているものの物価上昇率よりも約2~2.5%下回っています。実質的には資産価値が減少しているインフレに強いと言えない物件です。
2.の物件は物価上昇率と同程度に価格上昇しています。インフレに強いと言える物件です。しかし、物価上昇率と同程度なので実質の資産価値は上昇していません。
3.の物件は物価上昇率以上に価格上昇しています。大幅に資産価値が向上している物件です。
同じ不動産でも状況は大きく違うことが分かります。
当然、投資すべき物件は、最低でも2のパターン。できれば3のパターンです。
不動産投資シミュレーションでインフレ比較は必要
不動産はインフレに強いと言われます。しかし、実際は物件によって異なります。特に人口減少速度の早くなる日本はこの傾向が強くなると考えられます。
また、家賃上昇が物価上昇率と同程度になるかも重要です。家賃上昇が同程度にならないと実質的に家賃下落してることになるからです。
地価公示価格・基準価格と物価上昇率を比較する方法で家賃上昇についても推測できます。地価公示価格・基準価格の上昇している土地は、人口集中している土地、人口増加してる土地が多いからです。
従来のキャッシュフローのシミュレーションも重要です。しかし、物価上昇率よりも低い価格上昇の物件を購入すると、IRR等の収益率がインフレ率を下回る実質資産運用に失敗した投資になりかねません。
従来のシミュレーションと合わせて、将来性も含めた投資判断を行う参考になさってください。
(動画)地価公示と物価上昇率を比較する
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「地価公示と物価上昇率を比較する」方法を動画でご紹介します


デッドクロス発生メカニズムとシミュレーション
インフレ時代の不動産投資で利用したい指標


