インフレ時代の不動産投資で利用したい指標
ここ数年、不動産投資で注目すべきポイントが変化してきています。
ポイントの変化した理由は、
「デフレ時代の投資⇒インフレ時代の投資」へ状況が変化しているからです。
では、注目すべきポイントはどのように変化したのでしょうか。
インフレ時代の不動産投資
2000年頃~2015年頃のデフレ時代は、物件価格が下落することをある程度考慮しながら、変動の少ない家賃収入(インカムゲイン)を中心としたシミュレーションでした。
しかし、インフレ時代には、売却収入(キャピタルゲイン)により注目してシミュレーションが必要になります。
そんな時代に、ぜひ利用したい不動産投資指標があります。この指標を利用することで、インカム+キャピタルゲインの収益率を確認できます。
利用したい不動産投資指標
その不動産投資指標はInternal Rate of Return(IRR/内部収益率)です。
IRRは、不動産投資の収益率を確認するのに便利です。ただ、一般の大家さんの多くは利用していないと思います。インカムゲインのキャッシュフローを強く意識した分析の際には使うことが少ないからです。
しかし、自己資金を効率よく運用して資産形成を行うことを目的にする際には利用したい指標です。
IRRの種類と計算に必要な項目
IRRには2種類あります。
1.BTIRR⇒税引き前キャッシュフローで計算
2.ATIRR⇒税引き後キャッシュフローで計算
です。
次に、IRRを計算する際に必要な項目です。
1.自己資金額
2.賃貸期間中のキャッシュフロー(税引き前・税引き後)
3.売却のキャッシュフロー(税引き前・税引き後)
この3項目でIRR計算が可能です。Excelで計算する方法は以下です。
赤枠の中がIRRの計算結果と計算式です。さらに、Excelでの計算方法を知りたい方は「IRR 関数(Microsoft社)」をご確認ください。
次にIRRの利用方法についてです。
IRRの利用方法
IRRの利用方法は
1.自分の資産運用目標の必要収益率と比較する
例えば、3,000万円の純資産を10年後に6,000万円にすると目標を立てた場合、この目標を達成するには、IRR=7.18%が必要です。この目標を達成できる数値に到達しているかを確認する際に利用します。
※不動産投資の収益目標の立て方は「不動産投資の収益目標を検討する方法」をご参照ください。
2.他の運用資産の収益率と比較する
自己資金の運用先は不動産だけではありません。株式、債権など多くの運用先があります。
例えば、為替の影響を考慮しない時に、米10年国債は約3.5%程度(2023年3月31日時点)の利回りがあります。これとIRRを比較して不動産投資を選択すべきか検討するのに利用します。
また、IRRは以下のように
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してシミュレーション
売却価格と自己資金額を変動させて収益率を比較することも簡単にできます。
資産運用としての不動産投資
デフレ時代と違い、これから不動産で資産運用を検討する場合は、これまで以上にキャピタルゲインに注目してシミュレーションする必要があります。その際に、IRRを利用すると比較検討を行いやすくなります。
不動産投資前のシミュレーション時、出口(売却)戦略検討の際にIRR利用していただければと思います。
IRRを計算する方法の動画
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「IRRを計算する方法」を動画でご紹介します