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不動産投資指標のLTV (Loan to Value)とは
不動産投資の借入の安全性を数値化できる不動産投資指標があります。
それは「LTV (Loan to Value)」です。
不動産投資指標のLTVとは
LTVを利用することで、借入の安全性(危険度)を数値化できます。
■LTV (Loan to Value)とは
計算式:「借入残高 ÷ 物件の現在価値 × 100」
解説:融資比率を表す指標。物件の価値に対する借入金の比率を算出したもの。数値が小さいほど元本償還に対する安全性は高い。
100%未満を維持できれば、万が一の時に物件を売却して借入を全額返済できる可能性が高いと言えます。
LTVを利用するためのポイント
LTVを有効に利用するためのポイントは3つです。
1.借入残高を把握する
2.物件の現在価値を把握する
3.目標の値(パーセント)を設定する
1.借入残高については、金融機関の償還予定表等を確認して簡単に把握できます。
ポイントは「2.物件の現在価値を把握」と「3.目標の値(パーセント)を設定」です。
LTVの計算に必要な物件価値
物件購入時点のLTVは簡単に計算できます。割高に購入させられていないという前提で、購入時は「物件価値≒購入価格」だからです。
しかし、年数が進めば返済は進み借入残高は減少します。また、物件購入時以外は「物件価値≒購入価格」ではありません。
借入残高は簡単に把握できるため省きます。問題は物件の現在価値をできるだけ現実に近い(実際に売却できる価格)形で把握する方法です。
物件の現在価値把握する方法として3つの方法が便利です。
3つの方法を組み合わせることで、より現実に近い物件価値を確認することができます。
※「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」でより詳細にご説明しています。
LTVの目標値
次にLTVの目標値です。本来は、購入当初より70%以下に保つことを目標にすると良いです。1億円の物件に対して7,000万円の借入までで投資を行うということです。
しかし、LTVを物件購入当初より低くすると、CCR(cash on cash return)等の収益性の不動産投資指標は低下します。
収益性を考慮すると、将来性の高い物件は80~85%程度は許容できると思います。物件価値上昇と、返済の進むことで、目標値である70%以下を5年程度で達成できる可能性があるからです。
以下は、元利均等・期間30年・金利2.5%で借入を行なった場合のLTV(Loan to Value)のシミュレーションです。
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターでシミュレーション
※物件価値を購入価格1億円と仮定して集計
元金返済が進むことで、当初のLTV80%から徐々に低下し、6年後に70%以下になります。
※不動産投資指標のCCR(cash on cash return)とは
LTVは定期的把握する
LTVは借入返済が進むことと物件価値で変動します。変化を捉える意味でも、年1回程度はLTVは何パーセントか確認しておきたいです。LTVは物件毎に確認するだけではなく、所有する物件全体の数値も把握する必要があります。
また、LTVを把握することは、物件の追加購入時に借入を行う際の金融機関へのアピールポイントになります。
銀行の最終目標は貸したお金を全て回収することです。この視点で考えると、LTVが低いことは、万が一の時に売却して回収できる可能性が高いと言えるからです。
借入をして物件を購入する場合には、不動産投資指標のLTVを利用して、安全性の把握していただければと思います。
(動画)物件現在価値シミュレーション
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 積算価格と相場的価格を計算する方法
※10年後の売却価格を推定して不動産投資のキャッシュフローシミュレーションに利用する方法
4つの視点で収益物件のシミュレーションをバランスよく確認する方法
収益物件の比較を行う際は、4つの視点で確認することが重要です。
不動産投資分析4つの視点
不動産投資シミュレーションの4つの視点は
1.収益性
2.安全性
3.短期
4.長期
です。
この4つの視点を意識することで、他人の意見に左右される。近視眼的に成り過ぎる。ことなく冷静な分析を行えます。
不動産投資指標を利用して4つの視点で確認
4つの視点でバランス良く確認するには、不動産投資指標を利用すると便利です。不動産投資指標(一部)を一覧表にすると
※不動産投資指標については「不動産投資で利用したい各種指標のご紹介」をご確認ください
この記事ではこの中から
1.単年キャッシュフロー:収益性・安全性・短期
2.キャッシュフローの累計額:収益性・長期
3.IRR:収益性・長期
の3つの指標を利用した、具体的な確認方法を説明します。
単年キャッシュフロー確認ポイント
単年キャッシュフロー(税引き後)で確認したいのは
■赤字の年がないか
赤字の年がある場合は持ち出しが発生します。万が一余裕資金のない場合は、いわゆる黒字倒産に近い状態になる可能性もあります。
シミュレーション時に赤字の年がある場合は投資するかを慎重に判断する必要があります。
■年間の収益性は目標に達するか
年間のキャッシュフロー額が目標値に達するかも重要な視点です。税引き後キャッシュフローは年によって異なりますので、この推移の確認も必要です。
▼キャッシュフロー(CF)のサンプルシミュレーション
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの収支詳細を一部抜粋
キャッシュフローの累計額確認ポイント
キャッシュフローの累計額(税引き後)で確認したいのは
■自己資金を上回る年は何年後か
資産運用として不動産投資を考えた場合、投資した自己資金はできるだけ早く回収して、次の投資へ備えたいです。
おおよそ何年後に回収可能かの確認は必須です。10~15年以内を目標とするのが1つの目安です。
▼キャッシュフローの累計額のサンプルシミュレーション
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの収支詳細を一部抜粋
IRR確認ポイント
最後に、トータルの収益性を考える際に便利なIRRです。
※IRRの詳細については「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。
■IRR(特にATIRR)は目標を達成しているか
ATIRR=7.18%で約10年で自己資金を倍にできます。例えば、2,000万円の自己資金を10年で4,000万円にするという目標を立てた場合にはATIRR=7.18%必要です。
▼IRRサンプルシミュレーション(売却価格別のIRR)
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターのグラフ機能の一部抜粋
IRRをExcelを利用して計算する方法はIRR 関数(Microsoft社)をご確認ください
不動産投資指標をバランスよく確認
「収益性」「安全性」「短期」「長期」の4つの視点で不動産投資シミュレーションを行うことで、都合の良いセールストークや一時的な高利回りなどを見抜ける可能性を高められます。この内容をご参考に不動産投資シミュレーションを行っていただければと思います。
(動画)3つの不動産投資指標を確認する方法
※不動産投資ツールのアセットランクシミュレーターを利用して 税引き後キャッシュフロー 自己資金回収率 IRR(内部収益率)をシミュレーションする方法
不動産投資で重要な純資産額の推移
不動産投資の成功話として、年収〇千万円・投資総額〇億円など、家賃収入の多寡や投資総額に触れる本は良くあります。
しかし、不動産投資の成否は家賃収入の多寡や投資総額では決まりません。
不動産投資で重要な純資産の推移
純資産と聞くと企業の決算書類を思い浮かべるかもしれません。しかし、不動産投資の成否を確認する純資産はもっと単純です。
最初に意識したいのは、不動産投資を資産運用として考えた場合、目的は純資産を効率よく(短い時間)で増やすことであるという点です。
この目的を意識すると、投資開始前の純資産と現時点の純資産額を比較しないと不動産投資の成否は分からないことに気づけます。
不動産投資の純資産推移を確認するために必要なのはわずか4項目です。
1.投資した自己資金額
2.投資のための借入額又は借入残高
3.税引き後キャッシュフロー累計額
4.物件の時価額
です。
投資開始前と開始直後の純資産推移
それでは、具体例を挙げて確認します。
表面利回り7% 8,000万円の新築木造(諸費用500万円)を、自己資金2,000万円+借入6,500万円で購入した場合の純資産額推移です。
純資産額を確認したり、頭を整理するにはバランスシート(B/S)を利用すると便利です。簡単に説明すると、向かって左側に現金・不動産等の資産を、右側に借入等の負債を入れます。「純資産=左側合計-右側合計」です。
物件購入前は、不動産投資に利用する自己資金2,000万円が純資産です。物件購入直後は、購入した8,000万円の物件と借入額の項目が追加されています。
自己資金は投資に利用したので0円になっています。また、諸費用として500万円を支払ったため純資産額は1,500万円となります。
物件の時価は、購入価格の8,000万円としています。もし、時価より高い価格で買って(買わされて)しまうと、純資産額は購入時点でさらに減少してしまいます。
今回の目的は不動産投資でどれだけ純資産が増えたか比較することのため、他の資産は含めません。
また、本来のB/Sでは諸費用内で減価償却の必要な取得費は物件にプラスして計上される等、会計上のB/Sとは異なります。しかし、実態を把握するには分かりにくいため、キャッシュベース(お金の動き)で考えます。
10年後の純資産額
次に10年後に純資産額はどうなるか、2つのシナリオで比較します。
シナリオ1:家賃収入は標準シナリオの年1%ずつ下落。10年後の物件時価は6,400万円(10年後家賃収入÷8%)
シナリオ2:地域の人口減少厳しく家賃収入は年1.5%下落。10年後の物件時価は5,400万円(10年後家賃収入÷9%)
今回の例は投資開始10年後としました。実際は1年後でも、5年後でも構わないとご理解ください。
このバランスシートのポイントは、CF累計(税引き後キャッシュフロー累計)と物件(物件の時価)の部分です。
CF累計(税引き後キャッシュフロー累計)は税金支払い後に本当に残った金額の累計額です。
物件は推定される売却可能額です。売却可能な物件価格のシミュレーション方法は
「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」
「10年後の売却価格を推定する方法」
をご確認ください。
シナリオ1は、物件購入前に2,000万円だった純資産額は3,200万円に増加しています。1年あたり120万円増加した計算になります。単利計算で6%です。
シナリオ2は、2,130万円と130万円しか増加していません。1年あたり13万円。単利計算で0.65%です。
シナリオ2は、純資産は減少していないものの、国債と変わらない利回りです。投資としては失敗と言えます。
不動産投資の成否は純資産額で考える
不動産投資の成否を考える際に、家賃収入の多寡や投資総額ではなく、純資産増減で考えるべきです。純資産額で考えるメリットは、疑似的に出口(売却)まで考慮した投資の成否を確認できることです。
不動産投資で資産運用を考えた際の目的は「純資産」を増やすことです。1年に1回など定期的に純資産推移を確認することをお勧めします。その際に、この記事をご参考に分析していただければと思います。
(動画)純資産額計算に必要な4項目を確認
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して純資産額を推定する方法
4つの不動産投資指標を利用して収益性と安全性をバランスよくチェックする
「不動産投資シミュレーションで何を重視して確認すべきか分からない」
こんなお話を聞くことがあります。
分析結果を確認する際に重視すべきなのは「投資期間中を網羅する形で収益性と安全性をバランスよくチェックする」です。
4つの不動産投資指標
収益性と安全性をバランスよく確認するためには、4つの不動産投資指標を利用すると便利です。
その4つの指標は
1.税引き後キャッシュフロー
2.CCR(Cash On Cash Return)
3.BER(BE%)
4.Internal Rate of Return(IRR/内部収益率)
の4つです。
この4つを利用することで収益性と安全性をバランスよく分析することができます。
4つの不動産投資指標の解説
それでは、4つの指標について説明します。
1.税引き後キャッシュフロー
■計算式
収入(家賃収入等)-維持管理費(管理費・修繕費・固定資産税等)-返済額(元金・利息)-税金(所得税・住民税)
本当の手取り額です。不動産投資シミュレーションでもっとも重要視すべき指標
2.CCR(Cash On Cash Return)
■計算式
キャッシュフロー(税引き前or税引き後)÷自己資金×100
1年間で手元に残るキャッシュを投資した自己資金で割り自己資金に対する投資効率を確認する指標。数値が高ければ高いほど投資効率は高い
3.BER(BE%)
■計算式
(維持管理費+返済額)÷満室想定家賃(潜在的総収入)×100
定期的に必要な費用(固定費)と満室想定家賃を割ることで投資の安全性を確認する指標。数値が低いほど安全性は高い
4.Internal Rate of Return(IRR/内部収益率)
■計算式
画像の赤枠内が計算結果と計算式。Excelでの計算方法を知りたい方は「IRR 関数(Microsoft社)」をご確認ください。
不動産の出口(売却)まで考慮した自己資金の利回り。高ければ高いほど運用成績は良い。他の投資対象と運用成績を比較する際に便利
この4つの不動産投資指標で、収益性と安全性両面をバランスよく分析できます。
4つの不動産投資指標の確認ポイント
次に、4つの指標の確認すべきポイントです。
1.税引き後キャッシュフロー
・赤字又は赤字になりそうな年はないか・・赤字の年がある場合は自己資金の持ち出しが発生する可能性が有り注意
2.CCR(Cash On Cash Return)
・目標値に達しているか・・8~10%程度を目標に検討。この数値で約10~13年で自己資金回収可能
3.BER(BE%)
・適正な数値以下か・・70%以下を維持できるか。家賃下落・空き室等の変動で30%程度の収入減まで黒字を維持できる水準
4.Internal Rate of Return(IRR/内部収益率)
・目標値に達しているか・・IRR=7.18%で10年で自己資金を倍にできる。これを参考に目標を検討
上記の目標値を参考にシミュレーション結果を確認してください。
収益性と安全性のバランス
不動産投資シミュレーションを確認する際には、投資期間中を網羅して収益性と安全性をバランスよく確認する必要があります。
■収益性の視点⇒ 不動産へ投資するリスクを考慮しても、自己資金を上手に運用できそうか?
■安全性の視点⇒ 家賃下落・空き室率が増えても赤字になりにくか?
を重視して結果を確認してください。ぜひ、ご参考に不動産投資シミュレーションを行っていただければと思います。
(動画)4つの不動産投資指標を利用する
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して税引き後キャッシュフロー・CCR・BER(BE%)を計算する方法
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してIRR(内部収益率)を計算する方法
2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法
資産運用の方法は不動産だけではありません。株、債権、仮想通貨等数限りなくあります。
もし、2,000万円の自己資金を投資するならばどこに投資すべきでしょうか。
2,000万円の運用先
今回は2,000万円の運用先として、株と不動産に絞って検討します。
まず、それぞれの良い点と悪い点を確認します。
このまったく異なる投資対象を比較するのに便利な指標はIRRです。
収益率比較に便利なIRR
Internal Rate of Return(IRR/内部収益率)は不動産投資と他の収益率を比較する際に便利な指標です。ただ、一般の大家さんはあまり利用していません。家賃収入のキャッシュフローだけを強く意識した分析では使うことは少ないからです。
しかし、自己資金を効率よく運用するという、資産形成で重要なファクターを確認するには使いやすい指標です。
IRRには2種類あります。
1.BTIRR⇒税引き前の金額で計算
2.ATIRR⇒税引き後の金額で計算
IRRを計算する際に必要な項目は
1.投資した自己資金額
2.運用中の家賃・配当等の額
3.売却で受け取れる収益の額
この3項目の情報があればExcelで簡単に計算できます。Excelを利用したIRR(内部収益率)の計算例は
赤枠の中がIRRの計算結果と計算式です。さらに、Excelでの計算方法を知りたい方は「IRR 関数(Microsoft社)」をご確認ください。
また、IRRについては「インフレ時代の不動産投資で利用したい指標」もご確認ください。
不動産と株の運用状況を比較する
不動産と株のIRR比較を以下の内容で行います
税引き後の手取り額を利用してATIRRを計算します。
それぞれ、投資開始から10年後に-20%~+20%で売却できた場合の運用比較です。圧倒的に不動産の数値の高いことが分かります。
理由は
1.利回りが高いこと
2.借入を利用して8,000万円の投資ができたこと
3.減価償却を利用して課税所得が減少していること
です。
ちなみに、不動産のATIRRと同等の運用成績を出すために必要な株の売却額は
株での運用は値上がり(売却益)の重要性の高いことが分かります。
ただ、不動産ならではの注意点もあります。今回のシミュレーションでは、空室、家賃下落、金利上昇等の影響を一切考慮していません。不動産での運用はこれらのリスクを引き受けることで、株よりも有利な運用ができている側面もあります。
運用先は不動産だけではない
シミュレーションを行うことで、それぞれの特徴が分かります。運用先は不動産だけではありません。
不動産に優位性があるかは、他の投資対象と比較しないと分かりません。ぜひ、ご参考に、ご自分の目標と合致する投資対象は何なのか検討する参考になさってください。
(動画)不動産投資にIRRを利用する
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用した不動産投資シミュレーション時にIRR(内部収益率)を活用する方法
インフレ時代の不動産投資で利用したい指標
ここ数年、不動産投資で注目すべきポイントが変化してきています。
ポイントの変化した理由は、
「デフレ時代の投資⇒インフレ時代の投資」へ状況が変化しているからです。
では、注目すべきポイントはどのように変化したのでしょうか。
インフレ時代の不動産投資
2000年頃~2015年頃のデフレ時代は、物件価格が下落することをある程度考慮しながら、変動の少ない家賃収入(インカムゲイン)を中心としたシミュレーションでした。
しかし、インフレ時代には、売却収入(キャピタルゲイン)により注目してシミュレーションが必要になります。
そんな時代に、ぜひ利用したい不動産投資指標があります。この指標を利用することで、インカム+キャピタルゲインの収益率を確認できます。
利用したい不動産投資指標
その不動産投資指標はInternal Rate of Return(IRR/内部収益率)です。
IRRは、不動産投資の収益率を確認するのに便利です。ただ、一般の大家さんの多くは利用していないと思います。インカムゲインのキャッシュフローを強く意識した分析の際には使うことが少ないからです。
しかし、自己資金を効率よく運用して資産形成を行うことを目的にする際には利用したい指標です。
IRRの種類と計算に必要な項目
IRRには2種類あります。
1.BTIRR⇒税引き前キャッシュフローで計算
2.ATIRR⇒税引き後キャッシュフローで計算
です。
次に、IRRを計算する際に必要な項目です。
1.自己資金額
2.賃貸期間中のキャッシュフロー(税引き前・税引き後)
3.売却のキャッシュフロー(税引き前・税引き後)
この3項目でIRR計算が可能です。Excelで計算する方法は以下です。
赤枠の中がIRRの計算結果と計算式です。さらに、Excelでの計算方法を知りたい方は「IRR 関数(Microsoft社)」をご確認ください。
次にIRRの利用方法についてです。
IRRの利用方法
IRRの利用方法は
1.自分の資産運用目標の必要収益率と比較する
例えば、3,000万円の純資産を10年後に6,000万円にすると目標を立てた場合、この目標を達成するには、IRR=7.18%が必要です。この目標を達成できる数値に到達しているかを確認する際に利用します。
※不動産投資の収益目標の立て方は「不動産投資の収益目標を検討する方法」をご参照ください。
2.他の運用資産の収益率と比較する
自己資金の運用先は不動産だけではありません。株式、債権など多くの運用先があります。
例えば、為替の影響を考慮しない時に、米10年国債は約3.5%程度(2023年3月31日時点)の利回りがあります。これとIRRを比較して不動産投資を選択すべきか検討するのに利用します。
また、IRRは以下のように
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してシミュレーション
売却価格と自己資金額を変動させて収益率を比較することも簡単にできます。
資産運用としての不動産投資
デフレ時代と違い、これから不動産で資産運用を検討する場合は、これまで以上にキャピタルゲインに注目してシミュレーションする必要があります。その際に、IRRを利用すると比較検討を行いやすくなります。
不動産投資前のシミュレーション時、出口(売却)戦略検討の際にIRR利用していただければと思います。
IRRを計算する方法の動画
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「IRRを計算する方法」を動画でご紹介します
バランスシートで不動産投資の進捗を確認する
不動産投資の目的は投資家さんによって様々あります。
もし、不動産投資の目的が「資産を増やす」ことの場合、1年に1回は確認していただきたいものがあります。
定期的に確認したいもの
定期的に確認していただきたいのは、バランスシート(B/S)です。
※バランスシート参考ページ(外部ページ)ご紹介します。
■貸借対照表(バランスシート)とは?読み方・見方を解説
■本当の家計の健全度がわかる家計のバランスシート
B/Sを定期的に確認すべき理由は
「資産がどのくらい増加したかを確認するのに便利」
だからです。
B/Sと聞くと、難しく考えてしまいがちです。
しかし、企業が作成するような厳密なB/Sを作成して、確認するという意味合いではありません。
目的は純資産は増加しているか、減少しているかを確認することです。
B/Sの種類
確認したいB/Sは2種類です。
1.個人資産全体のB/S
不動産に限らず、預金、株等全ての資産と借入のB/S
2.不動産投資のB/S
不動産投資のみのB/S
イメージがつきづらいと思いますのでサンプルをご確認ください。
1.個人資産全体のB/S
ポイントは、不動産部分は購入時の価格ではなく売却可能な価格*を入れる点です。
※売却可能な価格を検討する方法は「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」をご確認ください。
売却可能な価格でB/Sを作成して純資産が、増加してれば資産運用は成果をあげています。逆に、減少していれば運用方法を見直す必要があります。
また、純資産が増えている場合は、目標値に届いているかの確認も必要です。
不動産投資のB/S
そして、もう1つ確認したいのは、不動産投資だけのB/Sです。
理由は、個人資産全体のB/Sだと、株の成績等が加味されて不動産投資の成績を確認しにくいからです。
不動産投資だけのB/Sサンプルは以下です。
基本は個人資産全体のB/Sと変わりません。
大きく違うのはB/Sの向かって左上部分が税引き後キャッシュフロー(CF)累計になっている点です。
不動産投資の本当の手取りである税引き後キャッシュフロー累計と売却可能な物件価格でB/Sを作成することで
▼インカムゲイン(家賃収入)の資産増加(減少)
▼キャピタルゲイン(売却収入)の資産増加(減少)
を加味した資産状況を確認できます。
定期的に確認
不動産投資をしていると、つい、目先のキャッシュフロー等ばかりに注目してしまいます。
しかし、不動産投資を進める目的が「資産を増やす」ことの場合、重要なのは 純資産を増やすことです。
資産状況を把握するのに、バランスシートを利用すると便利です。
純資産が増加して不動産投資の目的を達成しているか確認する際の参考にしていただければと思います。
必要に応じて3つの利回りを使いこなす方法
物件の収益性を比較する際に、ほぼ100%の投資家さんが利用する指標は「利回り」です。
ただ、利回りにも種類があり、利用する場面によって最適な利回りを選択する必要があります。
今日のメールセミナーは、3つの利回りを比較して、それぞれの利用場面を確認します。
3つの利回り
今日、ご紹介する3つの利回りは
1.表面利回り
2.FCR
3.CCR
です。
それでは、3つの利回りを比較します。
3つの利回りの特徴
3つの利回りの概要と利用場面をまとめました。
それでは、それぞれを詳しく確認します。
3つの利回りの利用方法
1.表面利回りは、多くの方が利用にしたことのある利回りだと思います。物件紹介サイト等で利用されるのは、ほとんどが表面利回りです。
しかし、収益性を比較するために利用する際の信頼度は低いです。それでも利用頻度が一番高い理由は「簡単に計算できる」からです。
潜在的総収入(満室想定家賃)と物件価格の2つの情報があれば計算できます。簡単に計算できるので、多くの物件を比較するのには便利です。しかし、絶対に表面利回りだけで投資判断をしてはいけません。
表面利回りは、取得時の諸費用と維持管理費が計算に入っていません。この2つの要素は不動産投資の収益に大きな影響を与えます。この2つが入っていない表面利回りでの投資判断は避けなければいけません。
投資判断をするためには、
2.FCRを利用して、維持管理費や取得時の諸費用を加味して、より正確性の高い利回りで判断する必要があります。
3.CCRは、1,2の利回り指標とは少し異なり、自己資金の投資効率を確認するのに利用します。この指標を利用する投資家さんは、1,2の指標と比較すると少数です。しかし「不動産購入=投資」と考えている場合には重要な指標です。
理由は、
■自己資金回収率が高ければ、次の物件購入に回収した自己資金を利用できる
■他の投資対象(株式、REIT等)と投資効率を比較できる
からです。
ただ、借入内容等が煮詰まってきた段階にならないと計算できないため、1,2の検討が終わった後に確認する指標になると思います。
利回りは目的に合わせて利用
一般的に利回りというと、表面利回りを思い浮かべると思います。しかし、先ほども書いたように、表面利回りだけで投資判断するのは本当に危険です。
利回りは、場面によって適切に選択して利用する必要があります。
※動画でアセットランクシミュレーターを使って3つの利回りを確認する方法をご紹介しています
不動産投資指標を利用して物件価格が割安か確認する方法
株、FX、仮想通貨にない、不動産投資の大きな魅力の1つは「価格が同一でない」ことです。
株などは、新聞を広げれば価格が分かります。また、それを購入しようとした場合、皆が同じ価格で購入することになります。
しかし、不動産はそうではありません。売り手と買い手の様々な状況で大きく価格が変動します。逆に言えば、意図的に高い値段で買わされてしまう可能性もあります。
そんな状況に陥らないために、投資に適した物件かを判断するのに、不動産投資指標はとても便利です。一部を一覧表でご紹介すると
※不動産投資指標の説明は「不動産投資で利用したい各種指標のご紹介」をご確認ください。
一部を記載しただけでも、これだけの数になります。この中から、今日、ご紹介したいのは提示されている物件価格が割高か割安かを簡単に比較できる指標です。
物件価格が適正か判断する
物件価格が割高か割安か比較する際に、もっとも利用されるのは「積算価格」だと思います。
積算価格とは・・
新築の建物価格(再調達価格)から経過の耐用年数分の償却費を引いた建物価格と路線価等から計算される土地価格を加算した金額
今日、ご紹介するのは、物件価格が適正価格か判断する、もうひとつの方法「相場的価格」です。
相場的価格
相場的価格は、近隣の物件価格と、投資を検討している物件価格を比較する方法です。
計算式は
(物件1価格÷物件1広さ)~(物件7価格÷物件7広さ)の平均値×購入予定物件広さ
です。
近隣類似物件の平均平米単価に購入予定物件の平米をかけて推定相場価格を計算します。
とても単純ですが時間をかけずに、割高か割安かを確認できます。特に、区分所有を比較するのに便利です。
それでは、具体的な手順をご紹介します。
相場的価格の計算手順
まず、不動産ポータルサイトや不動産取引事例(国土交通省)で購入を検討している物件と
1.近い地域
2.近い利便性(駅徒歩分数等)
3.同じ構造
4.近い築年数
5.近い平米数
の順に最低3物件、できれば5~7物件探します。このような検索が、ポータル等だと簡単にできるので、昔と比較すると本当に便利になりました。
抽出したら、あとは、
(物件1価格÷物件1広さ)~(物件7価格÷物件7広さ)の平均値 ×購入予定物件広さ
に当てはめるだけです。
では、具体的に例を挙げて計算します。購入しようとしている物件は83平米です。
※アセットランクシミュレーター相場的価格法計算機能を利用
類似物件を調べた結果、上記5件が見つかったとします。この物件を先ほどの計算式に入れて計算します。今回の結果は44,360,977円です。
この44,360,977円が推定相場価格になります。これより安ければ、相場より割安、高ければ割高だと判断できます。
ただ、この価格だけで判断するのは危険です。
複数の方法で比較する
相場的価格は、ご紹介したように簡単に計算できます。しかし、この情報だけで投資判断するのは危険です。
投資判断をする際は
1.収益還元法・・キャッシュフローを中心に収益上問題ないか
2.積算価格法・・積算価格と比較して適正か
の2つも問題ないか確認して、相場的価格も割安ならば投資対象として土俵にのせるという判断をすると良いです。
違う視点で計算を行う複数の指標を利用することで、物件価格が割安かどうかをより的確に判断できます。
※アセットランクシミュレーターを利用して相場的価格と積算価格を計算できます。動画でご紹介します。
不動産投資指標を効率よく利用する方法
不動産を投資目的で購入する場合、投資に適格かを判断する為に、様々な指標を利用します。
逆に色々な指標の中で、どの指標を利用するべきなのか悩む場面もあります。
そこで、今日のメールセミナーは不動産投資指標についてです。
不動産投資指標の区分
投資指標を大きく区分すると以下の4つに区分できます。
■利回り指標
■投資効率指標
■安全性指標
■キャッシュフロー指標
4つの区分にまとめた指標を確認すると
最低限確認したい指標
ご紹介した一覧の中で、最低限利用したい指標は以下です。
1.CCR
「税引き前キャッシュフロー÷ 自己資金×100」
2.BE%
「(維持管理費(年)+支払額(年))÷潜在的総収入(年)×100」
3.税引後キャッシュフロー(CF)
※指標の各リンクよりそれぞれの指標の詳細を確認できます。
理由は、収益性と安全性をバランスよく確認できるからです。
不動産投資を検討する場合、どうしても高利回り等の収益性に目がいきがちです。
しかし、投資にリスクはつきものです。それだけに、安全性指標も必ず確認する必要があります。
具体的な基準
3つの指標で最低限超えておきたい基準は
1.CCR
⇒CCR10%以上
CCRが10%以上の場合、税引き前キャッシュフロー基準で10年以内に、投資した自己資金を回収できます。
2.BE%
⇒70%以下
70%以上の場合には、空き室、家賃下落、金利上昇等の変動に弱い可能性があり注意が必要です。
3.税引後キャッシュフロー
⇒投資期間中に赤字の年が無い
税引き後キャッシュフローに赤字の年がある場合は、自分の財布から持ち出しが発生しますので要注意です。
バランスのいい確認が必要
最終的な意思決定をするには、さらに家賃や空き室率を変動させたシミュレーション等が必要です。
しかし、初期段階の分析としては最低限
1.CCR
2.BE%
3.税引後キャッシュフロー(CF)
の3つの指標を利用することでバランスの良いシミュレーションが可能になります。
※アセットランクシミュレーターを利用して3つの指標を確認する方法をご紹介しています。