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自己資金額による不動産投資への影響

2024-11-07

自己資金は投資の成否を決める重要な項目です。しかし、金融機関から「〇%入れてください」という理由だけ決めている方もいらっしゃいます。
 

 

 

自己資金額を検討するための指標

 

自己資金額を検討するポイントは「収益性」と「安全性」の両面で検討することです。
 

「収益性」と「安全性」の両面を確認するには不動産投資指標を使うと便利です。
 
利用する不動産投資指標は
 
1.キャッシュフロー・・・収入から支出を引いたお金の流れを表します。税引き前と税引き後があり税引き後は本当の手取り額になります。
 
2.自己資金分析回収率・・・回収率100%で投資した自己資金を回収したことになります。100%になるまでの年数の早いほど効率の良い投資と言えます。
 
3.BER(BE%)・・・(維持管理費+返済額)÷満室想定家賃×100 で計算します。損益分岐点を表す指標で安全性を確認できます。BERについては「不動産投資指標を使って安全性を分析」もご確認ください
 
の3つです。
 
サンプル物件を使って具体的な利用方法を説明します。

 

 

自己資金による安全性の違い

 

不動産投資シミュレーションの自己資金額のサンプル物件
 
このサンプル物件で自己資金額と表面利回りを変化させて安全性への影響を比較します。
 
不動産投資指標のBERを利用した安全性比較
※不動作投資ツール アセットランクシミュレーターで分析
 
物件購入時の諸費用を1,000万円としています。自己資金1,000万円は、実質自己資金0のいわゆるフルレバレッジ外部リンクと言われる状態です。
 
BER70%前後であれば一定の安全性は保たれていると判断できます。表面利回り6%の場合は自己資金4,000万円(物件価格比で自己資金率30%)必要になります。8%の場合は2,000万円の自己資金で70%を下回ります。
 
表面利回りの低い物件は、レバレッジを高めた(借入率の高い)投資は非常にリスクの高いことが分かります。

 

 

自己資金額による収益性の違い

 

次に収益性を確認します。
 
自己資金の違いによるキャッシュフローと自己資金回収率比較
※不動作投資ツール アセットランクシミュレーターで分析

上段は年間の税引き前キャッシュフロー額 下段は2025年に投資を開始した場合に税引き後キャッシュフローベースで自己資金を何年に回収できるかの結果です。
 
表面利回り6%は、自己資金の多い方が自己資金を回収できる年が早まっています。逆に、表面利回り8%では自己資金は少ないほど自己資金の回収までの期間は短くなります。

 
このように表面利回りによっても最適な自己資金額は違ってきます。
 
 

自己資金額の決定プロセス

 

自己資金と表面利回りの違いによる収益性と安全性の比較を行ないました。
 
利回りの低い場合は自己資金を極端に減らすと、とてつもなくリスク高い投資になります。逆に、利回りの高い場合は過剰に自己資金を多くしても投資効率を落とす結果になります。
 
これらの結果は、投資する人の年収、減価償却の額等の個別状況によって異なります。また、今回の不動産投資シミュレーションは、満室経営・家賃変動なしという条件の分析です。
 
実際は、利回りの高い物件は、対策を講じないと空き室、家賃下落の発生しやすい場合が多いです。
 
「金融機関に〇%自己資金を入れてください」⇒「はいそうですか」ではなく、物件毎に分析を行って適切な自己資金額を決定する必要があります。
 
ご紹介した不動産投資指標を利用して分析していただければと思います。
  
 

(動画)自己資金額を検討する方法

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「自己資金額を検討する方法」を動画でご紹介します
 

 
 

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他の金融機関への借り換へは損か得かをシミュレーションする方法

2024-09-12

金利引き下げを目的とした借り換えを行うべきか、不動産投資シミュレーションで判断する方法を検討します。

 

 
 

借り換えを行うべきかを決める指標

 

借り換えを行う理由は金利を下げて利息支払いを減少させることです。ただ、本来の目的はこの先にあります。その目的を確認するのに便利な不動産投資指標は「税引き後キャッシュフロー累計額」です。

 

税引き後キャッシュフロー累計額は、毎年の税引き後キャッシュフローを合計した金額です。

 

借り換えの最終目的は利息支払いを減少させることではありません。利息支払いの減少を通じて収益性を上げることです。しかし、返済総額の減少額だけでは収益に与える影響を計れません。

 

利息は損金になります。つまり、借り換えによって損金になる額は減少し課税所得も変動します。そのため、利息減少額=収益向上額ではありません。

 

税引き後キャッシュフローは本当に手元に残るお金です。この累計額を借り換え前と借り換え後で比較して、収益向上という本来の目的を達成できるか確認する必要があります。

 

※課税所得については「今さら聞けないcfと課税所得の違い」をご確認ください

 

 

借り換えシミュレーションに必要な情報

 

借り換えシミュレーションに最低限必要な情報は

 

1.いつ借り換えるか

 

2.いくら借り換えるか

 

3.借り換え後の利息は何%か

 

4.借り換えに必要な手数料はいくらか

 

です。

 

それではサンプルの不動産投資シミュレーションを確認します。

 

 

借り換えシミュレーション方法

 

サンプル物件は、

 

不動産投資借り換えシミュレーションのサンプル物件

 

借り換え条件は

 

不動産投資借り換えシミュレーションの借り換え条件

 

です。

 

シミュレーション結果を確認する前に、借り換え時必要になる可能性のある手数料は以下です。

 

1.繰り上げ返済手数料: 借り換え前の金融機関との金消契約(金銭消費貸借契約)外部リンクに借入から〇年以内は〇%の違約金発生と記載のある場合に必要

 

2.金融機関の事務手数料・保証料: 借り換え先の金融機関で借入を行う際の手数料

 

3.司法書士費用: 抵当権抹消・設定と登録免許税

 

今回のシミュレーション条件は

 

1.繰り上げ返済の手数料:無し

 

2.金融機関の事務手数料・保証料:借入額の1%

 

3.司法書士費用:465,889円

 

で分析しています。

 

 

借り換えシミュレーション結果

 

3%で借りていた金利を2.4~2.8%で借り換えた場合のシミュレーション結果です。10年・20年・30年の投資期間で税引き後キャッシュフロー累計額を比較します。

 

不動産投資借り換えシミュレーション結果

 

10年目は全ての借り換え金利で税引き後キャッシュフロー累計額は少なくなって投資効率は落ちます。20年目は3%⇒2.6%への借り換えから収益性向上に寄与します。

 

ただし、増加額は約105万円です。この程度の増加額ですと、付き合いのあった金融機関との関係を天秤にかけて損か得かという視点も必要になります。

 

30年目(返済終了年)には全ての借り換え金利で借り換えなしよりも税引き後キャッシュフロー累計額は増加します。

 

このように、借り換えシミュレーションを行う場合は、どの程度の期間で、どの程度キャッシュフロー累計額の差かを比較して判断します。

 

 

借り換えを行うべきかの判断基準

 

不動産投資の借り換えシミュレーションについて確認してきました。不動産投資の収益性向上を目的に借り換えを検討する場合は

 

1.いつ借り換えるか
2.いくら借り換えるか
3.借り換え後の利息は何%か
4.借り換えに必要な手数料はいくらか

 

の条件によって結果は大きく異なります。

 

各条件で税引き後キャッシュフロー累計額は何年後にどの位増加するのかを確認しながら分析を行ってください。また、今後の金融機関との付き合いという視点も重要になります。
  
 

(動画)借り換えシミュレーションする方法

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「借り換えシミュレーションする方法」を動画でご紹介します
 

 
 

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金利上昇の不動産投資への影響をシミュレーションする

2024-08-20

金利上昇は不動産投資へ大きな影響を与えます。不動産投資シミュレーションを利用して金利上昇の影響を分析します。
 

 

 

金利上昇のキャッシュフローへの影響

 

金利上昇のキャッシュフローへの影響を確認する前に金利上昇の起こるタイミングを確認します。
 
不動産投資家の大半が利用する変動金利は政策金利で決まります。つまり、政策金利が上昇すれば借入金利も上昇し、下落すれば下落します。

 
政策金利とは外部リンク
 
政策金利推移チャート外部リンク

金利上昇は不動産投資へマイナスの影響を与えます。もっとも分かり易いのはキャッシュフローへの影響です。

 

サンプル物件を使って金利上昇のキャッシュフローへの影響をシミュレーションします。
 
サンプル物件は
 
▼2020年に新築木造物件を1億円で購入
▼満室想定家賃650万円(表面利回り6.5%)
 
購入5年後の2025年に0.35%金利上昇するシナリオで分析をします。
 
比較するのは「借入金額別」「金利別」「借入期間別」の年間キャッシュフローと返済総額の増減です。

 

 

金利上昇シミュレーション結果

 

結果は以下です。
  
不動産投資融資の金利上昇によるキャッシュフローと返済総額への影響
不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターで分析

 
わずか、0.35%の金利上昇でも収益に影響を与えます。税引き前キャッシュフローの減少率は年間約8~10%程度です。10年、20年の積み重ねを考えると大きな影響です。
 
また「借入額多い」「金利高い」「借入期間長い」ほど金額ベースの影響は大きくなります
 
一般的に利用する
 
▼レバレッジを大きくして(借入割合を高めて)投資効率を上げる
 
▼借入期間を延ばして1年当たりのキャッシュフローを増やす
 
工夫をした投資手法の方が金利上昇の影響は大きくなります。

 

 

金利上昇を考慮にいれた投資スタイル

 

2020年頃までは、低金利を前提としてキャッシュフローを多く獲得するスタイルが主流でした。
 
しかし、ご紹介したシミュレーション結果から分かるように、このようなスタイルは金利上昇に脆弱です。
 
不動産投資は、他の事業以上に金利上昇の影響を受けやすく、金利上昇への対策は繰上返済など数少ないです。
 
特に、フルローン等の借入率の高い場合RCに投資していて借入期間の長い場合は注意が必要です。
 
金利上昇を考慮に入れて借入を適切に管理するための不動産投資シミュレーションは必須です。
  
 

(動画)金利上昇シミュレーション

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「金利上昇シミュレーションをする方法」を動画でご紹介します
 

 
 

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株式投資と不動産投資の運用成績を簡単に比較する方法

2024-03-21

不動産投資と株式投資どちらで運用した方が良いか比較する方法について検討します。
 

 
 

不動産と株式の特徴

 

不動産投資と株式投資のメリット・デメリットを比較すると

 

不動産投資と株式投資のメリット・デメリットまとめ


流動性(買いやすさ・売りやすさ)やボラティリティー外部リンク(変動幅)等、それぞれ一長一短あります。次に、資産運用の効率はどちらが良いか比較します。

 

 

不動産と株式を比較するための指標

 

不動産投資と株式投資の特徴を掴むために2つの指標を使います。

 

1.税引き後キャッシュフロー:税金支払い後に手元に残る金額

 

2.IRR(ATIRR):IRRについては「インフレ時代の不動産投資で利用したい指標」をご確認ください

 

この2つの指標を使って、同じ自己資金(今回は2,000万円)を以下の条件で不動産投資と株式投資で運用した場合の10年間の成績を比較します。

 

不動産投資と株式投資を比較するためのサンプル
※株の配当利回りは日経平均の平均配当相当の1.80%

 

また、税金ルールが不動産投資と株式投資で異なる点もポイントです。不動産投資は総合課税外部リンク、株式投資は分離課税外部リンクです。この違いの影響も図るために税引き後の運用成績で比較します。

 

 

不動産と株式の運用成績

 

10年後に-20%~+20%で売却した場合の税引き後キャッシュフロー累計額とATIRRの結果です。

 

不動産投資と株式投資の成績を税引き後キャッシュフローとATIRRで比較した結果
※不動産投資シミュレーションは 不動産投資ソフト アセットランクシミュレーターを利用

 

運用成績は不動産投資が若干上回ります。しかし、ほったらかしにしやすい株式投資と比較すると、賃貸募集など手間のかかる不動産投資を選択するメリットの小さい結果です。

 

自己資金のみで、表面利回り5%程度の不動産投資は近い結果になる可能性が高いです。しかし、一般的に株式と比較すると、不動産投資の資産価値のボラティリティー(変動幅)は小さいです。資産保全目的(対インフレ等)の投資としてのメリットはあります。

 

 

レバレッジを利用した不動産投資

 

不動産投資と株式投資を自己資金だけを使って運用した際の比較をしました。

 

しかし、不動産投資には株式投資では利用できない大きなツールがあります。

 

それは低利の借入(レバレッジ)を利用できることです。ウォーレンバフェットのような大口投資家以外は株式投資に低利の借入を利用するのは難しいです。それに対して不動産投資は一定の属性以上の人は、資産運用に借入を利用できます。

 

不動産投資に借入を利用した運用成績はどうなるか確認します。

 

不動産投資に借入を利用した際の税引き後キャッシュフローとATIRRの結果
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してシミュレーション

 

株式投資の運用成績を大きく上回ります。ただし、物件価格が下落した際の運用成績は、レバレッジがマイナスに働き、借入無しよりも損失が大きくなります

 

株式投資でレバレッジ有りの不動産投資のATIRRと同様に運用するには、上昇率10%は株式が2,000万円→3,150万円(57%増) 上昇率20%は2,000万円→3,825万円(91%増)が必要です。

 

 

不動産と株式の比較結果

 

不動産投資と株式投資を比較すると、表面利回り5%程度の不動産を自己資金だけで運用する場合、資産保全としては有効な可能性はあります。ただ、資産運用としての効率は悪いです。

 

しかし、不動産だけのメリットである、借入を利用することで大きく運用効率は上昇します。

 

不動産投資の効率を比較する際の参考にしていただければと思います。
   
  

(動画)IRRを計算する方法

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「IRRを計算する方法」を動画でご紹介します

 
 

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元利均等返済と元金均等返済の特色を5つの指標で把握する

2023-12-14

不動産投資の借入をする際は「元利均等返済」「元金均等返済」を主に利用します。元利均等返済と元金均等返済の選択によって収益にどのような違いが生まれるか比較します。

 

 

5項目で元利均等返済と元金均等返済を比較

 

5つの項目で元利均等返済と元金均等返済外部リンクのどちらが投資収益に好影響を与えるか比較します。
 

1.年間返済額
2.返済総額
3.税引き後キャッシュフロー額
4.税引き後キャッシュフロー累計額
5.不動産売却を含めた収益比較
 
の5項目です。

 

 

元利均等と元金均等の返済シミュレーション

 

サンプル物件を使ってシミュレーションします。
 
■サンプル物件概要
元利均等返済と元金均等返済の比較シミュレーション用物件
 

■返済額シミュレーション結果
 
返済シミュレーションの一部年を抜粋して表示しています。
 
元利均等返済と元金均等返済の返済表のシミュレーション比較
 
文字通り、元利均等返済は元金+利息の返済額が一定。元金均等返済は元金額の返済が一定です。
 
年間返済額は投資開始から14年目まで「元利均等返済<元金均等返済」になっています。投資前半は元金均等返済の方が「返済比率」や「BER(BE%)」は高いです。
 
しかし、返済期間後半は元金均等返済の返済額は少なくなり、元利均等返済と逆転します。返済総額は元金均等返済の方が約220万円少ないです。

 

 

元利均等と元金均等のキャッシュフローシミュレーション

 

次に、キャッシュフローシミュレーションを確認します。シミュレーション結果は30年分の一部を掲載しています。
 
元利均等返済と元金均等返済のキャッシュフローシミュレーション比較
 
投資開始から14年間は元利均等返済が、年間の税引き前・税引き後キャッシュフローともに多いです。15年目に元金均等返済が逆転します。
 
投資成績として重要な税引き後のキャッシュフロー累計額は28年目にようやく元金均等返済が逆転します。
 
家賃収入(インカムゲイン)だけの収益性を考えると、早めに現金の貯まっていく元利均等返済を選択する方が良さそうです。

 

 

元利均等と元金均等の不動産売却シミュレーション

 

不動産の売却収益(キャピタルゲイン)まで含めた投資成績はどうなるでしょうか。10・20・30年後に6,000万円で売却したシミュレーションを比較します。
 
比較には、税引き後キャッシュフロー累計額とIRRを利用します。
 
※不動産投資指標のIRR(ATIRR・BTIRR)については「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください。
 
元利均等返済と元金均等返済の売却時のシミュレーションを比較
 
■税引き後キャッシュフロー累計額(CF累計額)
 
10・20・30年後のどれを見ても元金均等返済が元利均等返済を上回ります。理由は、元金均等返済は毎年の元金分の返済額が多いため、売却時に一括返済が必要になる借入残高が少ないからです。
 
■IRR(BTIRR)
 
10年後を除いて元利均等返済が高いです。理由は、投資初期のキャッシュフロー額が多いからです。投資の視点(IRRの計算)では、1年目と10年目の100万円は同価値ではありません。1年目の100万円は、その後100万円を運用できる可能性があるからです。

 

 

元利均等返済と元金均等返済のどちらが有利か

 

1.年間返済額
2.返済総額
3.税引き後キャッシュフロー額
4.税引き後キャッシュフロー累計額
5.不動産売却を含めた収益比較
 
の5項目で比較した結果、それぞれ一長一短のあることが分かります。
 
投資初期から手元資金を増加させて、再投資に向かうには元利均等返済は有利です。しかし、投資トータルの手取り額で考えると元金均等返済に軍配が上がります。
 
結果は金利、借入額等の条件によって変わります。ぜひ、今回の分析を参考にしていただき、ご自分にあった借入方法をシミュレーションしていただければと思います。
 
 

(動画)元利均等返済と元金均等返済を比較する

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して元利均等返済と元金均等返済の収益性を比較する方法

 
 

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不動産投資用の借入の年数は長いほどいいは本当か

2023-08-08

不動産投資の魅力の1つは「長期の借入を利用できる」ことです。

 

借入を利用する際のポイントは

 

1.借入金額(自己資金との割合)
2.借入年数

 

です。

 

今日は、借入年数によるキャッシュフローと安全性への影響についてです。

 

 

借入年数はどう決まるか

 

借入年数は一般的に法定耐用年数外部リンクを基準に決まります。

 

ときどき「銀行の貸してくれる年数キリギリで借りる方が良い」という内容を見かける時があります。

 

しかし、それは本当でしょうか。収益性と安全性の両面で検討します。
 

 

借入年数による安全性への影響

 

以下のサンプル物件を使って、借入年数25・30・35年のシミュレーション結果を比較します。

 

不動産投資の借入期間によるキャッシュフローとBERへの影響比較サンプル物件


安全性への影響は、不動産投資指標のBE%(BER)を利用します。BE%(BER)は損益分岐点を表す指標で70%以下を目安にします。


不動産投資の借入期間によるBERへの影響比較シミュレーション結果

 

期間が伸びるほど、返済額(元金返済分)が減少してBE%は改善します。金利1.75%⇒30年以上。金利3.0%⇒35年の借入年数で一定の安全性を確保できそうです。

 

 

借入年数によるキャッシュフローへの影響

 

借入年数の収益性(キャッシュフロー)への影響をシミュレーションします。

 

不動産投資の借入期間によるキャッシュフローへの影響比較シミュレーション結果_金利1.75パーセント
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの収支詳細機能を利用

 

毎年の税引き後キャッシュフローを確認すると、返済額減少、利息支払増による税額の減少で、借入年数25年と35年では80万円以上の差が出ます。しかし、2037年の赤枠の中を確認すると状況は変わります。

 

2037年には出口をむかえて6,000万円で物件を売却します。2037年の税引き後キャッシュフロー累計には売却キャッシュフロー+投資期間中のキャッシュフロー合計の数値が表記さています。この金額は投資で手元に残ったです。
 
つまり、売却(出口)まで含めた投資トータルで考えると借入年数の短いほど累計キャッシュフロー額は多いです。

 

借入年数は長いほど元金返済は進まず、売却時にまとめて返済するため収益性は悪化します。

 

金利1.75%は、借入年数25年と35年で約140万円です。しかし、金利3.00%で借入を行った際には

 

不動産投資の借入期間によるキャッシュフローへの影響比較シミュレーション結果_金利3パーセント

不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの収支詳細機能を利用

 

約260万円もの差になります。

 

 

借入年数の決定に必要なこと

 

借入年数を延ばすことで、単年の安全性(BER)と収益性(キャッシュフロー)は改善します。しかし、不動産投資トータルの運用で考えた場合には収益性を落とすことになります。

 
今回、ご紹介したシミュレーションで分かるように、単年でのキャッシュフロー改善効果を考えると、金利の低い場合には借入年数を延ばすことのトータル収益への影響は小さいです。
 
金利が低く、次の投資資金作りをして再投資を考えている時は、できるだけ借入期間を延ばすほうが良いです。
 
しかし、金利が高くなるにつれてトータル収益への影響は大きくなり、長い借入期間を選択するデメリットは大きくなっていきます。

 

ぜひ、ご参考にしていただき、借入年数検討のご参考になさってください。
 
 

(動画)返済年数シミュレーションを行う方法

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用した返済年数による影響分析を行う方法をご紹介 

 
 

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不動産投資の繰り上げ返済のメリット・デメリットを検証する

2023-07-25

私の周辺でも金利上昇を警戒する投資家さんは増えています。金利上昇は自分でコントロールする手段はほとんど無いという点で大きなリスクです。
 
そんな、金利上昇への対応策として取れる数少ない手段は「繰り上げ返済」です。

 

 

繰り上げ返済の種類

 
繰り上げ返済には2種類あります
 
1.期間短縮型:返済額は同額で返済期間を短縮するもの
 
2.返済額軽減型:返済期間は同じで返済額を減額するもの
 
です。
 
※繰り上げ返済タイプについて外部リンク
 
この2つの繰り上げ返済を比較したキャッシュフローシミュレーションと繰り上げ返済のメリット・デメリットについて考えていきます。
 
 

繰り上げ返済のメリット・デメリット

 

不動産投資の繰り上げ返済は、住宅ローンの繰り上げ返済とは異なる視点で考える必要があります。
 
■繰り上げ返済のメリット
 
1.返済総額の減少
 
2.担保価値の上昇
 
■繰り上げ返済のデメリット
 
1.投資効率の落ちる可能性
 
2.再投資への資金減少
 
 
以下は2017年に投資開始、2023年迄の税引き後キャッシュフロー累計額(投資で手元に残った金額)1,015万円の内1,000万円を繰り上げ返済したシミュレーションです。
 

不動産投資繰上返済の返済総額シミュレーション結果
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの繰り上げ返済機能を利用して計算
 
返済総額は期間短縮型の場合は約350万円減少します。これを見て「返済総額減るならいいじゃん」と思うかもしれません。住宅ローンならそうかもしれません。
 
しかし、投資物件の場合、さらに重要な項目があります。それは投資効率です。投資効率を、投資した自己資金の何%を何年後に回収できるか比較しやすい自己資金回収率を使って比較します。
 
20年後・30年後の自己資金回収率を確認すると
 
不動産投資繰上返済のキャッシュフローと投資効率シミュレーション結果

不動産投資ツール アセットランクシミュレーターのキャッシュフロー機能を利用して計算

 
1,000万円の繰り上げ返済に繰り上げ返済手数料10万円(1%)を加味したシミュレーションです。
 
20年後(2036年)では繰り上げ返済に1,000万円を使ったため、自己資金回収率は繰り上げ返済無しに比較して大幅に悪化します。30年後は繰り上げ返済した場合が逆転します。
 
投資効率という視点で考えると、繰り上げ返済を行うか疑問が生じます。また、手元資金を繰り上げ返済に利用することで、次の物件への再投資を行えなくなる大きなデメリットもあります。

 

 

金利上昇時の繰り上げ返済

 

次に金利変動(上昇)時の繰り上げ返済シミュレーションです。
 
2017年購入時1.5%⇒2024年 2.5%へ上昇の分析です。
 

不動産投資繰上返済の返済総額シミュレーション結果_金利変動あり
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの金利変動・繰り上げ返済機能を利用して計算
 
返済総額は約315万円・約645万円と大きく減少します。
 
投資効率を確認すると
 
不動産投資繰上返済のキャッシュフローと投資効率シミュレーション結果_金利上昇あり

不動産投資ツール アセットランクシミュレーターのキャッシュフロー機能を利用して計算
 
金利上昇のあった場合には、無い場合に比較して繰り上げ返済効果は高くなっています。それでも、今回の借入金額、期間で金利1%上昇だと、再投資しにくくなるデメリットを考慮すると、繰り上げ返済を選択するか微妙です。
 
ちなみに、繰り上げ返済の翌年2025年単年の税引き前・税引き後キャッシュフローを比較すると
 
不動産投資繰上返済の単年のキャッシュフローシミュレーション結果
 
返済軽減型は、約55万円のキャッシュフロー改善効果。期間短縮型は、元金返済割合が増加することで税引き後キャッシュフローは減少します。

 

 

不動産投資での繰り上げ返済

 

不動産投資という視点で繰り上げ返済シミュレーションを行いました。返済総額の減少や返済軽減型では単年のキャッシュフロー改善効果のメリットはあります。一方、投資効率や再投資を考えるとデメリットも目立つ結果になります。
 
借入期間、金利、借入方式等によって大きく結果は異なりますので、この内容を参考にしてたいだき、ご自身にあった分析を行っていただければと思います。
 
 

(動画)繰り上げ返済シミュレーションを行う方法

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用した繰り上げ返済シミュレーションを行う方法のご紹介 

 
 

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物件購入後、定期的に確認すべきあるバランス

2023-06-13

先日、こんなご質問をいただきました。

 

「借入を利用して不動産投資をするリスクは高くないですか?」

 

確かに自己資金だけでの投資と比較してリスクが高くなるのは事実です。
 

 

 

借入のメリットとデメリット

 

不動産購入の際に借入を利用する投資家さんは多いと思います。いくつかある理由の1つは、資産運用を行う対象としては珍しく金融機関がお金を貸してくれやすいからです。
 
お金を貸してくれる理由は
 
1.株等に比較すると価格変動が緩やか
 
2.持ち逃げされる可能性がない
 
このような理由で担保として信用できるからです。
 
また、投資する私たちにも借入は大きなメリットがあります。いわゆる、レバレッジ効果外部リンクで、自己資金の何倍もの運用を行うことができます。
 
では、借入のデメリットは何でしょうか。それは「返済できない恐れがある」です。
 
レバレッジというメリットを利用するために、このデメリットを管理する必要があります。そんな時に定期的に確認しておきたいバランスがあります。

 

 

確認したいバランス

 

借入のデメリットである返済できない状態に陥らないために、定期的に確認したいバランスは「借入残高<不動産資産価値(売却可能価格)」であるかです。
 
この状態は、なぜ、重要なのでしょうか?それは、万が一の場合には売却することで、借入のデメリットである返済できない状態になりにくいからです。
 
では、具体的にどのように比較すればいいでしょうか

 

 

返済可能な状態か確認する

 

「借入残高<不動産資産価値(売却可能価格)」を確認するのに必要な項目は2つだけです。
 
1.借入残高
 
2.不動産資産価値(売却可能価格)
 
借入残高に関しては、返済表等を確認すれば簡単に確認可能ですので割愛します。
 
問題は、不動産資産価値(売却可能価格)をどう確認するかです。一番正確なのは、売りに出してお客様の反応を見ることです。しかし、実際はそうは行きません。そこでお勧めなのは、
 
1.収益還元法で計算
 
2.相場的価格法で計算
 
3.積算価格法で計算
 
不動産投資指標を利用して売れる物件価格を知る方法
 
※具体的な計算方法は「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」をご確認ください。
 
1~3の方法で計算した価格の全てが、「借入残高<不動産資産価値(売却可能価格)」の場合はリスクの低い状態で運用できています。
 
1~3の価格にばらつきがある場合
 
1棟物件⇒収益還元法 積算価格法
 
区分所有⇒収益還元法 相場的価格法
 
を利用することで売却可能価格に近い価格を推測できます。

 

 

定期的な確認が必要

 

不動産投資で資産運用する場合、借入を利用できることには大きなメリットがあります。しかし、返済できなくなるリスクもあります。
 
そんな時に利用したいのが、ご紹介した「借入残高<不動産資産価値(売却可能価格)」であるかを確認することです。
 
また、不動産価格は変動するものです。今日の記事を参考にしていただき、年に1度程度は「借入残高<不動産資産価値(売却可能価格)」の確認を行うことをお勧めします。
 
  

(動画)収益還元法・相場的価格法・積算価格法で計算する方法

  
 

 

 
 

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予測される金利上昇を意識して分析を行う方法

2023-05-16

超低金利時代が十数年続いています。しかし、インフレ率の上昇で、数年以内にこの環境に変化があるかもしれません。
 

 

 

金利上昇は不動産投資最大のリスク

 

不動産投資には、空室、家賃下落など様々なリスクがあります。その中でも金利上昇は最大のリスクと言っていいと思います。

 

理由は、自分でコントロールすることが難しいからです。それだけに、金利上昇した場合のシミュレーションはしっかり行っておく必要があります。

 

金利上昇シミュレーションで最低限確認しておきたいポイントは2つです

 

 

キャッシュフロー赤字になる金利水準

 

金利上昇シミュレーションで確認しておきたい1つ目の項目は、

 

何%の金利上昇までキャッシュフロープラスでいられるかです。

 

表面利回り6.5%のサンプル物件を使って確認します。

 

不動産投資キャッシュフローシミュレーション_金利上昇


投資開始時は1.5%で借入をしています。期間中にそれぞれ2.5~4.8%に金利上昇した際のシミュレーションです。

 

1.5%⇒2.5%に1%上昇した場合、年間キャッシュフロー(CF)は約50万円減少(30%減)します。1%でもキャッシュフローに大きな影響を与えます。

 

そして、キャッシュフロー赤字になるのは金利4.8%になった時です。3.3%上昇するとキャッシュフロー赤字になります。

 

現状の日本経済を考えると、すぐに発生する可能性は低いと思います。しかし、アメリカの政策金利は約1年半で0.25%⇒5.25%に上昇したことを考えると絶対にないとは言えません。

 

各国の政策金利推移外部リンク

 

 

金利上昇の不動産売却への影響

 

金利上昇を考慮したシミュレーションで次に行っておきたいのは売却シミュレーションです。

 

金利上昇シミュレーションでなぜ、売却シミュレーション?と思われる方もいるかもしれません。

 

理由は「金利上昇=不動産価格下落」だからです。購入時よりも金利上昇に伴って売却できる価格も下落します。

 

1%金利上昇した場合には、表面利回りも1%程度上昇して物件価格は下落します。現実的には、様々な条件があるのでここまで単純では有りません。しかし、かなり確率で下落する可能性が高いです。

 

売却シミュレーションのサンプルは以下です。

 

不動産投資売却キャッシュフローシミュレーション_金利上昇

 

家賃収入のキャッシュフロー以上に大きな影響です。1%上昇で売却で得られるキャッシュフロー(CF)は、約1,500万円(48%減)となります。

 

理由は

 

▼ 1%金利上昇することで売却時に求めらる表面利回りも1%上昇して7.5%になった

 

▼ 金利上昇で利息支払が増加して元金返済が減少、売却時の返済残高が増加した

 

からです。

 

売却にも金利上昇は大きな影響を与えることがお分かりいただけると思います。

  

 

金利上昇リスクは常に意識する

 

不動産投資への金利上昇の影響は本当に大きいです。

 

シミュレーション時には

 

1.何%の上昇迄キャッシュフローは赤字にならないか

 

2.売却キャッシュフローにどの程度影響があるか

 

を中心に金利変動シミュレーションを行っていただければと思います。

 
  

金利上昇シミュレーションを行う方法動画

  
 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを使って金利上昇シミュレーションをする方法

 
 

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不動産投資の自己資金は銀行の指定する20%以上本当に必要か

2023-03-07

不動産投資検討の最重要項目の1つは「自己資金をいくらにするか」です。
 
どうしても、銀行に20%必要です。30%必要です。と言われると仕方ないかなと思ってしまいます。
 
しかし、自己資金は不動産投資の安全性、収益性に大きく影響します。それだけに、もう少し積極的に自分の意思を持って検討する必要があります。また、数値的な根拠があれば、銀行への交渉材料にもなります。
 
根拠を3つの指標を使て確認する方法についてです。

 

 

自己資金による影響

 

家賃下落、空室、金利上昇等のリスク回避のために、安全性を求めれば自己資金は多いほど良いです。しかし、資産運用として不動産を購入する際には、これでは意味がありません。
 
安全性ばかり高くても目標の運用ができなければ不動産を購入する意味がありません。つまり、安全性と収益性のバランスが重要です。
 
3つの指標を使うことで
 
1.インカムゲイン(家賃)の収益性
 
2.投資期間中の安全性
 
3.キャピタルゲイン(売却)を含めた収益性
 
のバランスを比較することができます。
 

 

3つの指標

 

今回使う3つの不動産投資指標は
 
1.自己資金回収率
⇒何年後に自己資金を回収できるかを確認できます。10年前後での回収を目標にします。
 
2.BE%(BER)
⇒損益分岐点を表す指標で金利上昇等の変動への強さを確認できます。70%以下を目安に検討します。
 
3.IRR
⇒売却を含めた収益率を確認できます。高ければ高いほど資産運用に成功したと言えます。
 
※3つの不動産指標の詳細は「不動産投資で利用したい各種指標」をご確認ください。
 
ここからはサンプル物件を使って説明します。
不動産投資の自己資金を決定するために不動産投資指標を利用
 

それではシミュレーション結果を確認します。

 

 

収益性と安全性のバランスを確認

 

不動産投資シミュレーション結果は以下です。
 
不動産投資の自己資金を決定するための不動産投資シミュレーション結果
※ATIRRは15年後に9,000万円で売却したことを想定して計算
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターでシミュレーション
 
それぞれ、自己資金の割合が 1,000万円~4,000万円で比較しています。
 
確認して分かる通り、自己資金額が多くなればBE%(BER)は低下して安全性は高まります。逆に、自己資金額が少ないほど、自己資金回収期間は短縮し、IRRも高くなり収益性は向上します。
 
自己資金を決定するポイントは
 
「安全性と収益性のバランス」です。
 
このサンプルでは、安全性の目標⇒BE%(BER)70%以下。収益性の目標⇒自己資金回収10年以内としました。
 
結果を確認すると 自己資金1,000万円の場合、自己資金回収10年と目標に届きますが、BE%は70%を超えてしまいます。
 
4,000万円では、BE%は70%を大きく下回ります。しかし、自己資金回収に19年も必要になります。
 
購入する方の属性によるのですが、今回の条件では1,500万円程度の自己資金で検討するのが良いと思います。
 
ちなみに、自己資金1,500万円の場合、BE%(BER) は71.25%。自己資金回収は12年後になります。
 

次にIRRを確認します。
 

 

2つのIRR指標

 
IRRには、BTIRRとATIRRがあります。
 
▼BTIRR=税引き前キャッシュフロー
▼ATIRR=税引き後キャッシュフロー
 
でIRR計算を行います。
 
※IRRについては「不動産投資の収益目標を検討する方法」もご確認ください
※Excelを利用した計算式は「IRR 関数」外部リンク をご確認ください
 
IRRは他の投資対象と収益率を比較するのに便利です。
 
今回のサンプルシミュレーションでは、自己資金1,000万円ではATIRR=19.73%と高い数値になっています。ちなみに、IRR=7.18%あると10年で自己資金を倍増させられます。

 

 

自己資金決定にも根拠は必要

 

自己資金を決定する際は
 
・手持ち資金はどのくらいあるのか
・銀行はどのくらい貸してくれるのか
 
に大きく影響されてしまいます。
 
しかし、自己資金決定は資産運用の根本部分です。この記事をご参考に、自己資金による収益性と安全性への影響を確認していただければと思います。
 
 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「自己資金による収益性と安全性への影響」をシミュレーションする方法を動画でご紹介します。

 
 

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