表面利回り5%以下の物件へ投資しても大丈夫か
人口密集地を中心に物件の利回りが低下しています。
考えられる主な理由は
▼低金利による価格上昇
▼建築費高騰
▼家賃上昇は緩やか
等です。
今日は、このような状況下で不動産投資を進めて大丈夫か?不動産投資シミュレーションを使って検証します。
表面利回り5%の物件
新築木造の表面利回り5%の物件を想定して分析を進めます。
結果はとても厳しいものになりました。しかし、厳しい結果だから投資できないかと言うと、そうとも言い切れません。それでは、その理由とシミュレーション結果を確認します。
シミュレーション結果
シミュレーション結果は以下です。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーター収支詳細機能一部抜粋
正直、投資にならない結果です。
今回は、家賃下落なし・稼働率100%・金利上昇なしの大甘シミュレーションです。
それにも関わらず、2032年(10年目)で投じた自己資金の29.35% 約470万円しか回収できません。さらに、27年後の2049年~税引き後キャッシュフロー(CF)赤字になります。2052年(30年後)でも自己資金の59.77% 約960万円しか回収できません。
インカムゲイン(家賃収入)だけを確認すると検討する余地もないです。
しかし、本当に投資にならないかというと簡単には言い切れません。
2000年前後から、日本の不動産はデフレ前提の投資スタイルでした。デフレ前提の投資スタイルでは、物件価格は年々下落していくことを想定して計画を立てる必要がありました。つまり、下落分を家賃収入で補っていく必要があります。
しかし、現在はデフレ⇒インフレへ移行しつつあります。こうなると、キャピタルゲイン(売却収入)を考慮して計画を立てることが重要になります。では、次にキャピタルゲインを考慮したシミュレーションを行います。
インカム+キャピタル
2038年(15年後)に売却した場合のシミュレーション結果です。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーター売却シミュレーション機能を利用して結果を編集
購入価格の8,000万円を中心に6,000万円~1億円で売却した際の税引き後キャッシュフロー累計・自己資金回収率・BTIRRとATIRRを一覧にしたものです。
BTIRRとATIRRは内部収益率を表します。BTIRR=税引き前キャッシュフロー基準。ATIRR=税引き後キャッシュフロー基準です。
厳密には違うのですが、投資期間中に自己資金を年平均どの程度で運用できるか示す指標とご理解ください。つまり、BTIRR・ATIRRともに数値が高いほど効率よく自己資金を運用できたことになります。
IRRの利用方法としては、例えば、株式運用で配当等を含めて、自己資金をIRR4%で運用できそうな場合に、不動産は比較してどうかというように使います。
※IRRについて
まず、購入価格の8,000万円で売却した場合、自己資金は1,600万円⇒4,200万円(約2.6倍) ATIRR 7.09%で運用できます。1億円では自己資金は約3.5倍 ATIRR 9.32%で運用できます。
このように売却まで含めると、効率よく運用できる可能性のあることが分かります。ちなみに売却価格約4,800万円以下になると、自己資金1,600万円を回収できずに投資として成り立たなくなります。
インフレ時代の不動産投資
デフレ時代はインカムゲインのキャッシュフローシミュレーションが中心でした。しかし、インフレ時代にはインカムゲインに加えて、キャピタルゲインの分析も重要になります。
インカムゲインでキャッシュフローに赤字の年がないかに加えて、〇円で売却できた場合にどの程度の運用ができるか。 最低〇円で売却できれば自己資金を回収できるか。 についてのシミュレーションも必要なります。
※アセットランクシミュレーターを利用して「インフレ時代の不動産投資で確認しておきたい項目」をシミュレーションする方法を動画でご紹介します。