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不動産投資の繰り上げ返済のメリット・デメリットを検証する

2023-07-25              

    

私の周辺でも金利上昇を警戒する投資家さんは増えています。金利上昇は自分でコントロールする手段はほとんど無いという点で大きなリスクです。
 
そんな、金利上昇への対応策として取れる数少ない手段は「繰り上げ返済」です。

 

 

繰り上げ返済の種類

 
繰り上げ返済には2種類あります
 
1.期間短縮型:返済額は同額で返済期間を短縮するもの
 
2.返済額軽減型:返済期間は同じで返済額を減額するもの
 
です。
 
※繰り上げ返済タイプについて外部リンク
 
この2つの繰り上げ返済を比較したキャッシュフローシミュレーションと繰り上げ返済のメリット・デメリットについて考えていきます。
 
 

繰り上げ返済のメリット・デメリット

 

不動産投資の繰り上げ返済は、住宅ローンの繰り上げ返済とは異なる視点で考える必要があります。
 
■繰り上げ返済のメリット
 
1.返済総額の減少
 
2.担保価値の上昇
 
■繰り上げ返済のデメリット
 
1.投資効率の落ちる可能性
 
2.再投資への資金減少
 
 
以下は2017年に投資開始、2023年迄の税引き後キャッシュフロー累計額(投資で手元に残った金額)1,015万円の内1,000万円を繰り上げ返済したシミュレーションです。
 

不動産投資繰上返済の返済総額シミュレーション結果
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの繰り上げ返済機能を利用して計算
 
返済総額は期間短縮型の場合は約350万円減少します。これを見て「返済総額減るならいいじゃん」と思うかもしれません。住宅ローンならそうかもしれません。
 
しかし、投資物件の場合、さらに重要な項目があります。それは投資効率です。投資効率を、投資した自己資金の何%を何年後に回収できるか比較しやすい自己資金回収率を使って比較します。
 
20年後・30年後の自己資金回収率を確認すると
 
不動産投資繰上返済のキャッシュフローと投資効率シミュレーション結果

不動産投資ツール アセットランクシミュレーターのキャッシュフロー機能を利用して計算

 
1,000万円の繰り上げ返済に繰り上げ返済手数料10万円(1%)を加味したシミュレーションです。
 
20年後(2036年)では繰り上げ返済に1,000万円を使ったため、自己資金回収率は繰り上げ返済無しに比較して大幅に悪化します。30年後は繰り上げ返済した場合が逆転します。
 
投資効率という視点で考えると、繰り上げ返済を行うか疑問が生じます。また、手元資金を繰り上げ返済に利用することで、次の物件への再投資を行えなくなる大きなデメリットもあります。

 

 

金利上昇時の繰り上げ返済

 

次に金利変動(上昇)時の繰り上げ返済シミュレーションです。
 
2017年購入時1.5%⇒2024年 2.5%へ上昇の分析です。
 

不動産投資繰上返済の返済総額シミュレーション結果_金利変動あり
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターの金利変動・繰り上げ返済機能を利用して計算
 
返済総額は約315万円・約645万円と大きく減少します。
 
投資効率を確認すると
 
不動産投資繰上返済のキャッシュフローと投資効率シミュレーション結果_金利上昇あり

不動産投資ツール アセットランクシミュレーターのキャッシュフロー機能を利用して計算
 
金利上昇のあった場合には、無い場合に比較して繰り上げ返済効果は高くなっています。それでも、今回の借入金額、期間で金利1%上昇だと、再投資しにくくなるデメリットを考慮すると、繰り上げ返済を選択するか微妙です。
 
ちなみに、繰り上げ返済の翌年2025年単年の税引き前・税引き後キャッシュフローを比較すると
 
不動産投資繰上返済の単年のキャッシュフローシミュレーション結果
 
返済軽減型は、約55万円のキャッシュフロー改善効果。期間短縮型は、元金返済割合が増加することで税引き後キャッシュフローは減少します。

 

 

不動産投資での繰り上げ返済

 

不動産投資という視点で繰り上げ返済シミュレーションを行いました。返済総額の減少や返済軽減型では単年のキャッシュフロー改善効果のメリットはあります。一方、投資効率や再投資を考えるとデメリットも目立つ結果になります。
 
借入期間、金利、借入方式等によって大きく結果は異なりますので、この内容を参考にしてたいだき、ご自身にあった分析を行っていただければと思います。
 
 

(動画)繰り上げ返済シミュレーションを行う方法

 
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用した繰り上げ返済シミュレーションを行う方法のご紹介 

 
 

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