不動産投資の収益目標を検討する方法
不動産投資に興味のある、行われている方の話をお聞きすると、数値目標を持たずに投資を進めている方が多くいらっしゃいます。当然ですが、数値目標はとても重要です。これは不動産投資も例外ではありません。
そこで、資産運用を目的として不動産を購入した場合の目標の立て方について考えます。
資産運用の目標
不動産を資産形成で購入する際の一番の目標は「投資した自己資金をできるだけ増加させる」ことです。しかし「できるだけ」では曖昧です。曖昧さを無くすために、不動産投資指標を利用して数値目標を立てる必要があります。
その際に便利な指標は
1.自己資金回収率
2.IRR
です。
ここから順番に、この2つを利用して計画を立てる方法を確認していきます。
自己資金回収率
まず、自己資金回収率についてです。自己資金回収率を利用する理由は、
1.自己資金が何%増加したか分かり易い
2.自己資金回収(回収率100%)までの期間が分かり易い
からです。
自己資金回収率は、資産運用で重要な増加額と時間軸の2つを確認できます。以下は自己資金回収率を意識した、不動産投資キャッシュフローシミュレーションのサンプルです。
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーター収支詳細機能一部抜粋
自己資金回収率を考える際は、本当の手取りである税引き後キャッシュフローを基準に考えた方が良いです。このサンプルでは、自己資金1,500万円を10年後に回収しています。10年で自己資金を回収できるかどうかは1つの目安になります。
自己資金回収を早めるには
・物件を安く買う
・家賃を上げる
・稼働率を上げる
・維持管理費を下げる
・借入率を上げる
・金利を下げる
等が考えられます。
IRR
次に確認したいのはIRRです。IRRとは内部収益率のことです。
※IRRについて
IRRを利用することで、他の投資対象と収益率を比較しやすくなります。
資産形成を考えた場合に、現物の不動産にこだわる必要はありません。株、債権、REIT等 様々な投資対象の中で一番収益率の高い物に投資するのが良いわけです。この比較を行うのにIRRは便利です。
以下は、1,000万円の株式を購入。毎年3%の配当受取り。10年後に1,000万円で売却。した時のIRRをExcelを利用して計算する方法です。
IRRが、不動産が高ければ不動産。株が高ければ株が有利という結論になります。
次に、不動産投資のIRRをExcelを利用して計算する方法です。
Excelへの入力方法を説明すると
1.一番最初のセル(B2)に自己資金額
2.各中間年のセル(B3~B11)に家賃からのキャッシュフロー額
3.最終年のセル(B12)に家賃+売却のキャッシュフロー額
を入れて、IRR関数を利用して計算します。
B13のセルに入っているのが必要なExcel関数です。関数の式は「=IRR(B2:B12)」です。
ちなみに、IRRには、BTIRRとATIRRがあります。
▼BTIRR=税引き前キャッシュフロー基準
▼ATIRR=税引き後キャッシュフロー基準
で計算した値です。
目標数値の重要性
資産運用を考える際に、目標を数値で考えるのは重要です。目標数値を検討する時に、72の法則を利用して資産を〇年で〇倍にしたいというところから検討するのも一つの方法です。
※72の法則について
例えば、自己資金を10年で倍にしたい場合には、IRR=7.18% 必要です。
このように、まずはザックリでも構いませんので、数値目標を持っているのと、持っていないのでは、不動産投資に対する物の見方が大きく変わります。
この記事を資産運用の目標値検討の参考にしていただければと思います。
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「自己資金回収率とIRR」をシミュレーションする方法を動画でご紹介します。