物件購入の意思決定前に行いたい3つの分析
先日、こんなご質問をいただきました。
「不動産投資シミュレーションする際はどんな分析をすれば良いですか?」
投資の主目的(節税・資産防衛・資産運用)によって確認すべきポイントは大きく異なります。
投資目的と分析ポイント
■節税目的 ⇒ どれだけ課税所得を減らせるか
■資産防衛目的 ⇒ 物件の資産価値を守れるか
がポイントになると思います。
では、資産運用目的の場合はどうでしょうか。
資産運用目的で物件を購入する際に行っておきたいシミュレーションは
1.長期キャッシュフロー分析
2.10年・20年後等の節目で売却分析
3.変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)
です。
長期キャッシュフロー分析
長期のキャッシュフローシミュレーションを確認することは、不動産投資シミュレーションでもっとも重要なポイントです。
長期のキャッシュフロー分析は税引き後キャッシュフローを確認することをお勧めします。
また、シミュレーション時には投資予定の物件以外の所得(給与等)を考慮する必要もあります。
理由は、個人所有で投資する場合には「総合課税制度」と「累進課税制度」によって税引き後キャッシュフローに大きな影響があるからです。
その上で確認しておきたいのは
1.税引き後キャッシュフローに赤字の年はないか
2.税引き後キャッシュフローの減少ペース
です。
物件以外の所得を考慮した場合としない場合で結果を比較します。
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
まず、給与等の所得を加味した分析と、しない分析では税引き後キャッシュフローに30%~40%違いがあります。
今回のシミュレーションの税引き後キャッシュフローを確認すると赤字の年はありません。
また、税引き後キャッシュフローは年々減少します。元金返済と減価償却費のバランスの変化で基本的にこのような経過をたどります。
※元金返済と利息支払と減価償却費のバランスの重要性
10年・20年後等の節目で売却分析
売却シミュレーションも確認しておきたい分析です。理由は「不動産投資は出口(売却)を迎えるまで成否は分からない」からです。
以下は売却価格を変化させて税引き後キャッシュフロー累計を比較したものです。
※10年後の売却価格を推定する方法
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
税引き後キャッシュフロー(CF)累計は、投資期間中(10年間)の家賃収入と売却収入を合算したものです。売却価格によって大きく異なります。
ちなみに、この投資の自己資金は1,600万円です。5,000万円でしか売却できない場合は、家賃収入(インカムゲイン)ではプラスになっているものの、最終的に約850万円の損失が出ます。
売却分析では「いくらで売却できれば自己資金を回収できるか」「目標の収益を得られる売却価格はいくらか」は確認しておきたいポイントです。
変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)
不動産投資は10・20年と長期にわたります。投資期間中、ずっと満室、家賃変わらずという可能性は低いです。また、修繕費も一定額かかります。
以下は家賃下落なしと家賃下落ありのシミュレーション結果です。
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
税引き後キャッシュフローに大きな違いが発生しています。変動無しシミュレーションは現実離れする可能性が高いため注意が必要です。
以下のリンクのページで現実感ある家賃変動と空室率で不動産投資シミュレーションを行う方法をご紹介しています。
※家賃変動・空室を加味して現実的な不動産投資シミュレーションを行う方法
役立つシミュレーションを行う
ポイントを外した不動産投資シミュレーションは無意味になりがちです。
ご紹介した
1.長期キャッシュフロー分析
2.10年・20年後等の節目での売却分析
3.変動を考慮した分析(空室・家賃・金利・修繕)
を意識しながら分析結果を比較していただければと思います。
(動画)売却分析とリスクを予測したシミュレーション
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して売却シミュレーションを行う方法
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してリスクを予測したシミュレーションを行う方法