元金返済と利息支払と減価償却費のバランスの重要性
不動産投資でもっとも重要な「税引き後キャッシュフロー」を考える時、家賃・空室・維持管理費等の目に見える部分ばかり注目しがちです。しかし、それだけでは見えない部分もあります。
元金返済と利息支払と減価償却費
元金返済と利息支払と減価償却費のバランスは税引き後キャッシュフローに大きな影響を与えるます。
このあたりを理解した投資家さんは、このバランスをシミュレーションしながら出口戦略(売却タイミング)を考えることもある重要なバランスです。
税引き後キャッシュフローに影響を与える項目
元金返済と利息支払と減価償却費のバランスが税引き後キャッシュフローに影響を与える理由は「キャッシュフローと課税所得の計算方法の違い」からです。
実際のお金の流れを表すキャッシュフローは
■ 収入(家賃収入等)-維持管理費(管理料等)-返済額(元金返済+利息支払)
それに対して税額を決定する課税所得は
■ 収入(家賃収入等)-維持管理費(管理料等) -返済額(利息支払) -減価償却費
キャッシュフローと課税所得の計算方法を比較すると異なるのは、元金返済と減価償却費であることが分かります。
つまり「元金返済額≦減価償却費」であるか「元金返済額≧減価償却費」のバランスが税額に影響を与えて、税引き後キャッシュフローに影響します。
ちなみに「元金返済額>減価償却費」となった状態をデッドクロスといい、不動産投資で注意すべきポイントの1つです。
元金と利息と減価償却の影響シミュレーション
以下は8,000万円・表面利回り7.0%・新築木造物件へ投資した際のキャッシュフローシミュレーションです。
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
収入・維持管理費・返済額にまったく変化はありません。しかし、税金は増加し、税引き後キャッシュフロー(CF)は年々減少しています。
次に、元金返済・利息支払・減価償却費のシミュレーションを確認します。
不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用
元金返済が年々増加し、利息支払が減少していくのと、税引き後キャッシュフロー減少は相関しています。また、減価償却費=0の2052年の税引き後キャッシュフローは大幅に減少しています。
元金と利息と減価償却に影響を与える要素
税引き後キャッシュフローに大きな影響のある、元金返済と利息支払と減価償却費を決める要素を確認します。
1.元金返済と利息支払を決める要素
▼借入額: 多いほど利息支払は増加
▼返済期間: 長いほど利息支払は増加
▼金利: 高いほど利息支払は増加
▼返済方法: 元利均等は元金均等より利息支払の多い期間が長い
2.減価償却費を決める要素
▼建物構造: 木造・鉄骨・RC造によって1年あたりの金額と期間が異なる
▼築年数: 築年数が古ければ投資初期の償却費は多い。但し、期間は短くなる
▼物件価格にしめる建物・設備割合: 割合が高いほど減価償却費は多い
元金返済と利息支払と減価償却費のバランスを決定するのはこの要素です。
※減価償却費については関連記事もご確認ください
投資開始前の長期分析の重要性
不動産投資は基本的に、今回のシミュレーション結果のように年々税額が増えて税引き後キャッシュフローは減少します。
特に、設備の耐用年数と建物の耐用年数の終わるタイミングで大きく減少します。このタイミングや影響の大きさに、先ほど挙げた要素が絡みます。
投資の意思決定前に、ご自身の計画の場合に、税引き後キャッシュフローはどうなるのか不動産投資シミュレーションでご確認していただければと思います。
(動画)課税所得と減価償却費シミュレーション
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して減価償却費シミュレーションを行う方法
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用してキャッシュフローと課税所得シミュレーションを行う方法