木造とRC造のデッドクロスの特徴
不動産投資シミュレーションを行う際に確認すべきポイントは色々あります。その中でも多くの投資家さんの注目するポイントに
「デッドクロス」があります。
なぜ、デッドクロスに注目するのでしょうか。
デッドクロスに注目する理由
不動産投資のデッドクロスは
「減価償却費<元金返済額」
状態のことです。
このタイミングに注目する理由は、税引き後キャッシュフローが大きく減少していくタイミングになりえるからです。
サンプルシミュレーションでデッドクロスを確認をすると
赤枠の税引き後キャッシュフロー(CF)に着目してください。
2022年の約190万円からデッドクロス発生後の2024年は約140万円まで少なくなります。
デッドクロスに影響のある項目
デッドクロスに影響する項目は
■元金返済額に影響
・自己資金額
・借入種類(元利均等・元金均等)
・金利
・借入年数
■減価償却費に影響
・物件価格に占める土地・建物・設備割合
・建物構造
・築年数
等です。
今回は、建物構造(中古RC造・中古木造)の特徴に絞って確認します。
RC造のデッドクロスの特徴
まずはRC造です。
今回のサンプルシミュレーションは、2022年に築17年の物件を購入した場合です。「減価償却費<元金返済額」のデッドクロスに2029年になります。
しかし、デッドクロス後も、税引き後キャッシュフロー(CF)は数万円程度の減少です。
理由は
1.RC物件は木造に比較して法定耐用年数が長い
2.RC物件は木造に比較して借入期間を長くできる
ことで、極端に減価償却費と元金返済額の差額ができないからです。RC物件はこのような特徴になることが多いです。この程度であれば、デッドクロスになったからと言って大きく収益に影響のあるレベルではありません。
※法定耐用年数については耐用年数(建物/建物附属設備)(国税庁)
※減価償却については「附属設備と取得時の諸費用を考慮した減価償却シミュレーション」
をご確認ください
木造のデッドクロスの特徴
次は、中古木造です。こちらも、2022年に築17年の物件を購入した場合です。
2030年にデッドクロスが発生しています。今回のサンプルではデッドクロスの発生タイミングはRC造と1年しか変わりません。しかし、大きな違いがあります。
木造は、税引き後キャッシュフロー(CF)が約150万円⇒約90万円と約60万円も少なくなっています。
理由は
1.法定耐用年数が短く減価償却が2029年に終了
2.借入期間がRCと比較して短く元金返済額が多い
中古木造はこのようなパターンになる特徴があります。中古木造でデッドクロスが発生すると収益に大きく影響する可能性があります。
デッドクロスだけでは分からない
物件構造による影響を確認しました。実際は、借入期間・種類、土地・建物の割合等の影響を大きく受けます。
また、デッドクロスだけに注目しすぎるのも良くありません。税引き後キャッシュフローは、損金となる減価償却と損金とならない元金返済のバランスによって毎年変化します。デッドクロスは1つの目安です。
重要なのは、毎年の税引き後キャッシュフローを中心にシミュレーションを確認して将来の動向を把握しておくことです。
※税引き後キャッシュフローについては「今さら聞けないCFと課税所得の違い」もご確認ください
動画でデッドクロスシミュレーションを確認
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを使ってデッドクロスとキャッシュフローへの影響を確認する方法