不動産売却に必要な知識「取得費」
円安による海外投資家の流入、低金利の継続等の影響で、不動産価格は10年前には考えられないくらい高くなっています。
このような環境もあり、含み益の発生している不動産の売却を検討している投資家さんが増えています。
今日は、不動産売却に必要な知識「取得費」についてです。
取得費とは
取得費は、売却時の譲渡所得を計算する際に利用します。
譲渡所得は
譲渡所得 = 売却価格 – 取得費 – 譲渡費用
で計算します。
物件を個人で所有していた場合は分離課税で、譲渡所得に以下の税率をかけたものが税額になります。
■短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%
■長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%
20%超の税金がかかります。出口戦略を考える際に譲渡所得に大きな影響のある取得費は重要項目であることがお分かりいただけると思います。
では、取得費の計算方法についてです。
取得費の計算方法1
物件価格に物件購入で必要になった諸費用、改修費等を加算した金額が取得費になります。
ただ、全ての諸費用が含まれる訳ではありません。
取得費に含まれる主な諸費用は以下です。
■仲介手数料
■固定資産税清算金
■資産価値向上に繋がる改修費
登録免許税・不動産取得税・印紙税・ローン手数料は、損金として処理しますので取得費には含みません。
サンプルを確認すると
このサンプルの場合、物件価格+仲介手数料の合計が取得費になっています。
しかし、これだけでは売却時に利用する取得費の計算はできません。
取得費の計算方法2
取得費は大きく分けると、土地と建物(設備含む)に分けられます。
建物部分に関しては、毎年、減価償却して費用化していきます。
この費用化した減価償却の累計額を取得費からマイナスする必要があります。
※アセットランクシミュレーター収支詳細機能一部抜粋
今回のサンプルの場合、減価償却累計額の12,192,047円を取得費(償却前)の51,716,000円から引いた39,523,953円が取得費になります。
また、譲渡所得は「売却価格-取得費-譲渡費用」の3,676,047円になります。
出口戦略を考える際の必須知識
投資前に出口戦略(売却)を考慮に入れた不動産投資シミュレーションを行うことは重要です。
その際の税額シミュレーションを行うには取得費の知識は必須です。
出口を考慮したシミュレーションを行う際の参考になれば幸いです。
※アセットランクシミュレーターを利用して売却シミュレーションを行う方法を動画でご紹介しています。