不動産投資で重要性が増す売却のキャッシュフロー
家賃収入(インカム)でキャッシュフローをどの程度得られるか。
ここ20年近く不動産投資の重要なテーマはインカムによるキャッシュフローを中心としたものでした。
理由は、2000年以降、不動産価格の下落局面が長かったからです。
しかし、ここ数年の傾向から、少し考え方を変える必要があります。
インカム+α
当然、インカムのキャッシュフローがプラスであること前提として、
インカム+α、売却(キャピタル)のキャッシュフローに重きをおいて意思決定を行う重要性が強まりそうです。
理由は2つあります。
1.ここ数年の不動産価格上昇
※国土交通省不動産価格指数より作成
グラフを確認すると分かるように、2020年4月⇒2021年10月で約15%価格が上昇しています。
2.今後想定されるインフレ
2022年4月28日の日銀の金融政策決定会合で、
2022年の消費者物価指数の見通しが1.9%へ大幅に引き上げられました。また、円安の状況からも、デフレ⇒インフレの動きは加速しそうです。
そこで、今日は、売却まで考慮にいれた不動産投資計画についてです。
不十分なシミュレーション
これまでも、インカムだけのシミュレーションでは不十分でした。
しかし、今後は、今まで以上にインカムだけのキャッシュフロー分析では不十分になります。
必要性が高まった、売却まで含めた分析をサンプル物件を使って確認します。
利用するのは以下のサンプルです。
年収800万円程度の方が購入した想定で分析します。
売却のキャッシュフローへの影響
以下のシミュレーションは
2022年1月に7,000万円で購入した物件を、10年後の2031年に売却した結果です。
1. 4,850万円で売却
2. 6,000万円で売却
3. 8,000万円で売却
の3つを比較しました。
赤枠内の「税引き後CF累計」と「自己資金回収率」を確認すると
※アセットランクシミュレーター収支詳細機能で分析
※一部を抜粋して表示
2030年迄のインカムでのキャッシュフローの結果は全く同じです。
しかし、売却のキャッシュフローを分析に加えることで大きく結果が異なっているのをご確認いただけると思います。
売却まで含めたキャッシュフローのシミュレーションで、特に確認したいのは、
最低、いくらで売却できれば、自己資金を回収できるかです。
「自己資金回収できない=損失を出した」となります。
どのラインで売却できれば損失が出ないかを把握することは投資の意思決定をするのにも役立ちます。
今回のサンプルの場合は、1.4,850万円がラインになります。
無意味なシミュレーションを行わない為に
2000年以降、しばらくは、不動産価格が下落する期間が多かった為、
表面利回りの高い状態が続きインカムのキャッシュフロー中心に不動産投資の成績を検討することが多かったです。
しかし、表面利回りの低下とインフレを意識すると、これまで以上に売却によるキャッシュフローに重きをおいてシミュレーションを行う必要があります。
また、売却まで考慮にいれた利回りを比較するのに便利なIRRを利用する場面が増加しそうです。※IRRについてはこちらをご確認ください
※アセットランクシミュレーターを利用して売却キャッシュフローとIRRを確認する方法をご紹介しています。