利回り5%以下の物件購入時のシミュレーションのポイント
最近の物件価格上昇に伴って、低利回りでキャッシュフローがぎりぎりプラスの物件を購入する方も増えています。
デフレ時代と違い、インフレ時代の不動産投資では、将来の値上がり益や資産防衛を目的に購入することが増えます。
このような物件の場合、特に確認したい不動産投資指標があります。
低利回り物件のシミュレーション
低利回り物件で確認しておきたい不動産投資指標は
1.税引き後キャッシュフロー
2.自己資金回収率
3.IRR
の3つです。
この3つを確認する際に、キャッシュフローがぎりぎりプラスだからこそ注意したい項目があります。
税引き後キャッシュフロー確認時の注意点
キャッシュフローがぎりぎりプラス物件のサンプルシミュレーションです。表面利回りは4.35%です。
赤枠を見て分かるように、キャッシュフロー(CF)・税引き後キャッシュフロー(CF)ともにプラスなのが分かります。
しかし、1つ大切な条件の抜けた問題のあるシミュレーション結果です。
その大切な条件は、給与所得等のこの物件以外からの所得です。
その他所得を加味したシミュレーション
課税所得640万円(年収1,000万円程度)を加味したシミュレーション結果です。
※所得税等税金は按分して不動産投資分の課税所得分のみで試算
税引き後キャッシュフロー(CF)を見て分かるように、毎年赤字になっているのが分かります。その他の所得があることで総合課税制度と累進課税制度で税率が上昇して税額が増加します。
こうなると、毎年、毎年この物件へ持ち出しが発生することになりますので注意が必要です。
自己資金回収率とIRR
さらに確認しておきたいのは、売却まで含めた自己資金回収率とIRRです。
2つの指標を利用して最低限確認したいのは
1.いくらで売却できれば自己資金回収(自己資金回収率100%)できるか
2.いくらで売却できれば目標収益率(目標のIRR値)を達成できるか
です。
それぞれ確認すると
【自己資金回収率】
今回は1,600万円を自己資金として利用しています。その自己資金を回収するには、8,000万円で購入した物件を約5,900万円で売却できると回収できることがシミュレーション結果から分かります。
次に目標収益率をIRRで確認します。
【IRR】
今回は、IRRを5,900~7,350万円で売却した場合で比較しました。
このように比較することで、インカムゲインは赤字でも、キャピタルゲインで目標収益率を達成できる売却価格を確認できます。
※IRRについては「インフレ時代の不動産投資で利用したい指標」をご確認ください
最低限守るべきラインを確認する
インカムゲインで目標収益を組み立てていける場合はある程度予測できます。しかし、インカムゲインで目標収益を達成できない場合は、インカムゲイン(家賃収入)及びキャピタルゲイン(売却収入)で最低限死守しなければならないラインを慎重に予測しておく必要があります。
その際に
1.税引き後キャッシュフロー
2.自己資金回収率
3.IRR
の不動産投資指標を利用すると便利です。
3つの不動産投資指標の確認方法動画
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを使って1.税引き後キャッシュフロー 2.自己資金回収率 3.IRRを確認する方法