収益物件を運用するなら必ず考えておくべき戦略
収益物件を購入して賃貸経営を開始したら必ず考えておきたい戦略があります。
不動産投資の出口戦略の重要性
不動産投資の成否を考えた時に出口(売却)戦略を決めることは重要です。
売却戦略を考える上で必要な要素は
1.いつ売却するか
2.いくらで売却できるか
の2つです。
この2つを頭において賃貸経営を行っていく必要があります。
不動産投資の出口戦略 いつ売却するか
だいたいどのタイミングで売却するかを購入時点で決めて物件を取得していれば問題ないです。しかし、そうでない場合も多いと思います。
その際に、まず、知っておきたいのは売却益にかかる税金ルールです。
見て分かるように5年以内の税率は倍近くになります。よほど事情のないかぎり5年以内の売却は損です。
長期と短期の計算は譲渡日から5年経過ではありません。資産を売却した年の1月1日で判定します。つまり、売却年の1月1日時点で5年以内は「短期譲渡所得」5年超は「長期譲渡所得」となります。
不動産投資シミュレーションの時点で売却日を仮定するならば5年経過後で仮定します。
不動産投資の出口戦略 いくらで売却できるか
売却価格を検討する時は「いくらで売却するか」ではなく、「いくらで売却できるか」という視点で考える必要があります。
想定の売却価格を計算する便利な計算式があります。
想定売却価格=売却年の想定家賃÷(購入時の表面利回り+0.5~2%)
この計算式で想定売却価格を計算できる理由は、投資用の物件を売却する相手は投資家(ファミリー向け区分を除く)だからです。
投資家は利回りを参考に物件購入を検討します。つまり、相場と同等か割安ならば売却できる可能性は高くなります。
また、売却年には築年数の経過で売却相手に求められる表面利回りは購入時より高くなる可能性は高いです。その分を0.5~2%程度の範囲で加算して計算します。
5,000万円・表面利回り6%で購入した物件を10年後に売却する場合、表面利回り6%に+0.5%した以下のシナリオで計算すると
このような想定売却価格になります。この計算式を利用することで電卓レベルの計算で想定売却価格を計算できます。
不動産投資ミュレーションで確認すべき指標
いつ売るか、いくらで売るかを仮定できれば、具体的な不動産投資シミュレーションが可能です。
シミュレーション結果で最低限確認すべき基準は
1.売却で借入は返済できるか
2.家賃と売却で投資した自己資金は回収できるか
です。
それでは不動産投資シミュレーションの結果を確認します。
1億円の物件を表面利回り6%で購入。家賃は購入時と変化なし。売却時の表面利回り6.5%。で売却した場合のシミュレーションです。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターの収支詳細機能で分析
確認したいのは売却税引き後キャッシュフローの部分です。約1,900万円プラスです。つまり、借入返済しても約1,900万円残ります。
この項目が重要なのは、売却税引き後キャッシュフローがプラスでない場合、売却時に手元資金から持ち出しの発生する可能性があるからです。今回は大丈夫そうです。
次に自己資金を回収できるかです。
この項目は、家賃収入の税引き後キャッシュフロー累計額と売却税引き後キャッシュフローを合算したキャッシュフロー額で確認します。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターの収支詳細機能で分析
今回の分析では約2,700万円残ることが分かります。この金額を投資した自己資金と比較します。
今回投資した自己資金は2,000万円です。2,700万円-2,000万円で約700万円増えて投資の出口をむかえることが分かります。
ちなみに、収益率を確認するのに便利な不動産投資指標のIRR(ATIRR)は3.56%です。IRRが便利なのは、3.56%を他の投資(株やREIT)と比較して収益率を比較できることです。
※IRRについては「2000万円の運用先を不動産以外で選択肢する方法」をご確認ください
不動産投資の出口シミュレーションは重要
不動産投資シミュレーションを考える時、インカムゲイン(家賃収入)を中心に考えがちです。しかし、出口(売却)に関するシミュレーションも不動産投資シミュレーションの重要な両輪です。
ぜひ、ご紹介の内容をご参考に分析を行っていただければと思います。
(動画)出口(売却)まで考えた不動産投資シミュレーション
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「出口(売却)まで考えた不動産投資シミュレーション」を行う方法を動画でご紹介します