キャッシュフローと課税所得の関係性を理解する
不動産投資の計画を考える時に、キャッシュフローと課税所得の関係はとても重要です。
キャッシュフローと課税所得の関係性
キャッシュフローと課税所得は似て非なるものと言えます。
■キャッシュフローとは・・・
お金の流れを表す。フローの最後に表記されるのは本当に手元に残る金額
■課税所得とは・・
税額決定するための基準。本当のお金の流れとは異なる
キャッシュフローと課税所得の計算方法
計算式は以下です。
■キャッシュフロー(CF)
収入 - 維持管理費 - 返済額(元金+利息)
■課税所得
収入 - 維持管理費 - 返済額(利息) - 減価償却費
キャッシュフローと課税所得の計算方法の違いは、返済額に元金を含むか・含まないかと減価償却はあるか・ないかです。
元金を損金として計上できない理由は、借入金自体は金融機関に返済するもので、直接的に売上につながる費用ではないからです。
次に、この違いは不動産投資の結果にどのように影響を与えるか確認します。
キャッシュフローと課税所得の結果
以下はある物件のキャッシュフローと課税所得のシミュレーションです。
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターで分析
収入・維持管理費は一定額です。また、元利均等返済で返済しているため返済総額は一定です。当然、キャッシュフローの結果も一定額の約111万円です。
これに対して、収入・維持管理費は一定額でも課税所得は毎年変動(増加)しています。
理由は、利息支払が毎年減少しているからです。元金返済が進むことで借入残高は減少します。そのため損金となる利息支払も減少して課税所得は増加します。
キャッシュフローの増加はうれしいですが、課税所得が増えるのはうれしくありません。
課税所得増加と税金額
次に、本当の手取り額である税引き後キャッシュフローを確認します。
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターで分析
課税所得が毎年増加しているため税金も増加しています。税金支払いが増加して、本当に手元に残る金額の税引き後キャッシュフローは毎年減少しています。
不動産投資は時間の経過とともに、課税所得増加⇒税金額増加⇒税引き後キャッシュフロー減少 という流れになり易いです。
また、減価償却費は今回のシミュレーションでは一定額です。しかし、法定耐用年数を超えると減価償却費は0になります。
そのため、収入は増加していないのに課税所得は大きく増加して税引き後キャッシュフローを大きく減少させる可能性があります。
減価償却とデッドクロスについては
※附属設備と取得時の諸費用を考慮した減価償却シミュレーション
※木造とRC造のデッドクロスの特徴
を合わせてご確認いただくとよりご理解いただけると思います。
ちなみに、今回のシミュレーションの物件は2045年で耐用年数を迎えます。
2046年には
課税所得 :3,938,020円
所得税等税金: 753,906円
税引き後CF: 356,247円
と大きな影響があります。
キャッシュフローと課税所得の違いを理解する
キャッシュフローと課税所得の違いを見てきました。この違いを理解することは不動産投資をする際に不可欠です。
特に、借入返済の進行、耐用年数の終了等でデッドクロス状態になった場合には、税負担は大幅に増えて税引き後キャッシュフローに大きな影響があります。
不動産投資シミュレーションを行う際には必ず押さえておきたいポイントです。
(動画)デッドクロス発生タイミングとキャッシュフローへの影響
※不動産投資ツール アセットランクシミュレーターを利用して「デッドクロス発生タイミングとキャッシュフローへの影響」を確認する方法を動画でご紹介します