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必要に応じて3つの利回りを使いこなす方法
物件の収益性を比較する際に、ほぼ100%の投資家さんが利用する指標は「利回り」です。
ただ、利回りにも種類があり、利用する場面によって最適な利回りを選択する必要があります。
今日のメールセミナーは、3つの利回りを比較して、それぞれの利用場面を確認します。
3つの利回り
今日、ご紹介する3つの利回りは
1.表面利回り
2.FCR
3.CCR
です。
それでは、3つの利回りを比較します。
3つの利回りの特徴
3つの利回りの概要と利用場面をまとめました。
それでは、それぞれを詳しく確認します。
3つの利回りの利用方法
1.表面利回りは、多くの方が利用にしたことのある利回りだと思います。物件紹介サイト等で利用されるのは、ほとんどが表面利回りです。
しかし、収益性を比較するために利用する際の信頼度は低いです。それでも利用頻度が一番高い理由は「簡単に計算できる」からです。
潜在的総収入(満室想定家賃)と物件価格の2つの情報があれば計算できます。簡単に計算できるので、多くの物件を比較するのには便利です。しかし、絶対に表面利回りだけで投資判断をしてはいけません。
表面利回りは、取得時の諸費用と維持管理費が計算に入っていません。この2つの要素は不動産投資の収益に大きな影響を与えます。この2つが入っていない表面利回りでの投資判断は避けなければいけません。
投資判断をするためには、
2.FCRを利用して、維持管理費や取得時の諸費用を加味して、より正確性の高い利回りで判断する必要があります。
3.CCRは、1,2の利回り指標とは少し異なり、自己資金の投資効率を確認するのに利用します。この指標を利用する投資家さんは、1,2の指標と比較すると少数です。しかし「不動産購入=投資」と考えている場合には重要な指標です。
理由は、
■自己資金回収率が高ければ、次の物件購入に回収した自己資金を利用できる
■他の投資対象(株式、REIT等)と投資効率を比較できる
からです。
ただ、借入内容等が煮詰まってきた段階にならないと計算できないため、1,2の検討が終わった後に確認する指標になると思います。
利回りは目的に合わせて利用
一般的に利回りというと、表面利回りを思い浮かべると思います。しかし、先ほども書いたように、表面利回りだけで投資判断するのは本当に危険です。
利回りは、場面によって適切に選択して利用する必要があります。
※動画でアセットランクシミュレーターを使って3つの利回りを確認する方法をご紹介しています
不動産投資指標を利用して物件価格が割安か確認する方法
株、FX、仮想通貨にない、不動産投資の大きな魅力の1つは「価格が同一でない」ことです。
株などは、新聞を広げれば価格が分かります。また、それを購入しようとした場合、皆が同じ価格で購入することになります。
しかし、不動産はそうではありません。売り手と買い手の様々な状況で大きく価格が変動します。逆に言えば、意図的に高い値段で買わされてしまう可能性もあります。
そんな状況に陥らないために、投資に適した物件かを判断するのに、不動産投資指標はとても便利です。一部を一覧表でご紹介すると
※不動産投資指標の説明は「不動産投資で利用したい各種指標のご紹介」をご確認ください。
一部を記載しただけでも、これだけの数になります。この中から、今日、ご紹介したいのは提示されている物件価格が割高か割安かを簡単に比較できる指標です。
物件価格が適正か判断する
物件価格が割高か割安か比較する際に、もっとも利用されるのは「積算価格」だと思います。
積算価格とは・・
新築の建物価格(再調達価格)から経過の耐用年数分の償却費を引いた建物価格と路線価等から計算される土地価格を加算した金額
今日、ご紹介するのは、物件価格が適正価格か判断する、もうひとつの方法「相場的価格」です。
相場的価格
相場的価格は、近隣の物件価格と、投資を検討している物件価格を比較する方法です。
計算式は
(物件1価格÷物件1広さ)~(物件7価格÷物件7広さ)の平均値×購入予定物件広さ
です。
近隣類似物件の平均平米単価に購入予定物件の平米をかけて推定相場価格を計算します。
とても単純ですが時間をかけずに、割高か割安かを確認できます。特に、区分所有を比較するのに便利です。
それでは、具体的な手順をご紹介します。
相場的価格の計算手順
まず、不動産ポータルサイトや不動産取引事例(国土交通省)で購入を検討している物件と
1.近い地域
2.近い利便性(駅徒歩分数等)
3.同じ構造
4.近い築年数
5.近い平米数
の順に最低3物件、できれば5~7物件探します。このような検索が、ポータル等だと簡単にできるので、昔と比較すると本当に便利になりました。
抽出したら、あとは、
(物件1価格÷物件1広さ)~(物件7価格÷物件7広さ)の平均値 ×購入予定物件広さ
に当てはめるだけです。
では、具体的に例を挙げて計算します。購入しようとしている物件は83平米です。
※アセットランクシミュレーター相場的価格法計算機能を利用
類似物件を調べた結果、上記5件が見つかったとします。この物件を先ほどの計算式に入れて計算します。今回の結果は44,360,977円です。
この44,360,977円が推定相場価格になります。これより安ければ、相場より割安、高ければ割高だと判断できます。
ただ、この価格だけで判断するのは危険です。
複数の方法で比較する
相場的価格は、ご紹介したように簡単に計算できます。しかし、この情報だけで投資判断するのは危険です。
投資判断をする際は
1.収益還元法・・キャッシュフローを中心に収益上問題ないか
2.積算価格法・・積算価格と比較して適正か
の2つも問題ないか確認して、相場的価格も割安ならば投資対象として土俵にのせるという判断をすると良いです。
違う視点で計算を行う複数の指標を利用することで、物件価格が割安かどうかをより的確に判断できます。
※アセットランクシミュレーターを利用して相場的価格と積算価格を計算できます。動画でご紹介します。
不動産投資指標を効率よく利用する方法
不動産を投資目的で購入する場合、投資に適格かを判断する為に、様々な指標を利用します。
逆に色々な指標の中で、どの指標を利用するべきなのか悩む場面もあります。
そこで、今日のメールセミナーは不動産投資指標についてです。
不動産投資指標の区分
投資指標を大きく区分すると以下の4つに区分できます。
■利回り指標
■投資効率指標
■安全性指標
■キャッシュフロー指標
4つの区分にまとめた指標を確認すると
最低限確認したい指標
ご紹介した一覧の中で、最低限利用したい指標は以下です。
1.CCR
「税引き前キャッシュフロー÷ 自己資金×100」
2.BE%
「(維持管理費(年)+支払額(年))÷潜在的総収入(年)×100」
3.税引後キャッシュフロー(CF)
※指標の各リンクよりそれぞれの指標の詳細を確認できます。
理由は、収益性と安全性をバランスよく確認できるからです。
不動産投資を検討する場合、どうしても高利回り等の収益性に目がいきがちです。
しかし、投資にリスクはつきものです。それだけに、安全性指標も必ず確認する必要があります。
具体的な基準
3つの指標で最低限超えておきたい基準は
1.CCR
⇒CCR10%以上
CCRが10%以上の場合、税引き前キャッシュフロー基準で10年以内に、投資した自己資金を回収できます。
2.BE%
⇒70%以下
70%以上の場合には、空き室、家賃下落、金利上昇等の変動に弱い可能性があり注意が必要です。
3.税引後キャッシュフロー
⇒投資期間中に赤字の年が無い
税引き後キャッシュフローに赤字の年がある場合は、自分の財布から持ち出しが発生しますので要注意です。
バランスのいい確認が必要
最終的な意思決定をするには、さらに家賃や空き室率を変動させたシミュレーション等が必要です。
しかし、初期段階の分析としては最低限
1.CCR
2.BE%
3.税引後キャッシュフロー(CF)
の3つの指標を利用することでバランスの良いシミュレーションが可能になります。
※アセットランクシミュレーターを利用して3つの指標を確認する方法をご紹介しています。
本当の利回り指標IRRを使って分析を行う方法
不動産を投資として購入する場合、多くの人が最初に着目する指標は「表面利回り」だと思います。
当然、表面利回りの高い物件の方が、空き室等を考えない場合、キャッシュフロー(CF)は高くなります。
しかし、「表面利回りが高いから、収益性の高い物件だとは言い切れません」
表面利回りだけの判断に注意
例えば、以下の物件の場合
左側の表面利回り6.5%の物件の方が、5%の物件と比較して1.5%も利回りが高く、収益性が高いように思えます。
2023年のCFを確認すると
※アセットランクシミュレーター収支詳細のCF表を一部抜粋
確かに、年間約65万円、利回りの高い物件が多くなります。
「やっぱり、利回りの高い物件の方が収益性が高い」と思うと落とし穴があります。
必ず、検討すべき視点
話は15年後の2037年になります。
利回り6.5%の物件は立地が悪く、売却できた価格は4,000万円でした。
利回り5.0%の物件は立地が良く、購入価格の6,000万円で売却できました。
※アセットランクシミュレーター収支詳細の売却表を一部抜粋
こうなると結果が変わってきます。売却まで含めたCFシミュレーションを確認すると
表面利回り5.0%の物件が多くなります。
購入時点で検討が必要
物件購入時の表面利回りは、あくまでも、購入時点での「満室想定」での利回りです。しかも、出口のことは一切考慮されません。
これだけの情報で、投資判断するのは危険です。特に、売却まで含めたシミュレーションを行っておくことは重要です。
ただ、出口(売却)を迎えるであろう、15年・20年後の分析を行うのが難しいのも事実です。
そんな時に、是非、利用してもらいたいのがIRR指標です
IRR指標
IRR指標を利用すると、売却まで含めた利回りを確認することができます。
下の表は、5%刻みで売却価格を変化させたBTIRRとATIRRの結果です。
厳密に言うと違うのですが、BTIRRは税引き前CF基準、ATIRRは税引き後CF基準で、自己資金(今回の場合2,000万円)をどの程度の年利で運用できたかを表すものとご理解ください。
当然、年利が高いほど、効率よく運用できており、収益性が高いことになります。
※アセットランクシミュレーター グラフ表示機能を利用
ちなみに、6.5%の利回りの高い物件を4,200万円で売却できると、
5.0%の利回りの低い物件を6,000万円で売却した場合よりもBTIRRとATIRRが高くなり収益性が高くなります。
出口分析は必須
どの程度の価格で売却できるか分からない場合は、以下の3種類の価格で、前の項目で紹介した、アセットランクシミュレーターのグラフ表示機能を利用してATIRRを確認していただければと思います。
1.購入価格と同額で売却
2.減価償却累計を引いた価格で売却
3.購入時の表面利回り+1%で売却
具体的な操作方法は、以下の動画をご確認いただければと思います。
J-REITと実物不動産の運用効率を比較する方法
将来を見据えた資金の運用先は不動産だけではありません。
預金、債権、株式、暗号資産、J-REIT等、色々な運用先があります。
今日は、資金1,000万円を、何で運用を行うか決定するには、どのような検討をすれば良いか考えます。
今回は、J-REIT、中古ワンルーム、中古木造をサンプルに比較します。
例として、1,000万円、3つの運用先としていますが、金額の大小、運用先が異なってもご参考にしていただけると思います。
比較するポイント
まったく異なる運用先で、どこが一番いいかを決定するのに最初に意識したいのが、
目的が、資金の「運用」だと明確にすることです。
運用とは、簡単に書けば、今、手元にある資金(資産)を増加させることです。つまり、1,000万円の資金を1,100万円、1,200万円と増やすことが目的です。
また、金額と同様に重要なのが時間軸です。同じ、1,000万円⇒1,100万円でも、3年後になるのと、5年後になるのでは、まったく価値が異なります。
運用先を比較するポイントは、何年後に、どの程度資金が増加するかです。
運用先の比較
ここからは、サンプルを使用して比較します。
比較する運用先は、先ほど書いた、J-REIT、中古ワンルーム、中古木造です。
それぞれの運用先の概要は
それぞれ、年収800万円の人が、自己資金約1,000万円を投資した場合です。J-REITと中古ワンルームは、全額自己資金。中古木造は、約4,000万円借入をしてのシミュレーションです。
確認すべき指標
以下はキャッシュフローの比較です。
※J-REIT以外のシミュレーションにはアセットランクシミュレーターを使用
※結果を抜粋して掲載
ポイントは、赤枠で囲った、自己資金回収率です。
自己資金回収率は、運用資金として利用した1,000万円がいくら回収できたかを表しています。
今回のサンプルシミュレーションでは、
中古ワンルーム ⇒ 中古木造 ⇒ J-REITの順で投資効率が良いことが分かります。
あくまで、今回、サンプルとして扱った物件に関してだけですが、
中古木造は中古ワンルームよりも、見かけの家賃収入は5倍も多いです。しかし、自己資金回収率を確認すると、投資効率としては悪いことが分かります。
表面利回り〇%以上の物件!。家賃収入〇〇万円! とキャッチーな、言葉を見かけます。
しかし、しっかりシミュレーションすると、見かけとは、全く違う結果になることは、しばしばあります。今回のサンプルは、その1例です。
運用先を比較するポイントは自己資金が、何年で、いくらになるかです。
どんなに、利回りが高くても、どんなに家賃収入が多くても、自己資金の回収率が低い場合は、運用先としては劣ります。
見かけの大小、営業トーク等で判断せずに、運用効率(自己資金回収率)で比較するようにしてください。
さらに検討すべき点
運用として考えた際に、もう2つ確認すべき点があります。
1.安全性:途中で何らかの予定外の変動があった際に大きな痛手を負わないか
2.将来性:10年後、20年後の資産価値を考えても運用は上手くいくか
この2つも比較する項目として入れることで、より良いシミュレーショができます。
この2つに触れると長くなりますので、次の機会にメールセミナーで、お伝えできればと考えています。
※以下の動画でアセットランクシミュレーターを使用して、自己資金回収率を確認する方法を紹介しています。