デッドクロス発生メカニズムとシミュレーション
「デッドクロス」という単語を1度は聞いたことがあると思います。
不動産投資で使うデッドクロスは
「減価償却費<元金返済額」
となる状態を言います。
今日は、不動産投資の重要な用語である。デッドクロスについてです。
不動産投資家が注意する理由
なぜ、不動産投資家はデッドクロスに注目するのでしょうか。
理由は税引き後キャッシュフローの大きく減少するタイミングになるからです。
では、デッドクロスに影響を与える項目と発生メカニズムを確認していきます。
デッドクロスに影響を与える項目
デッドクロスに影響を与える項目は
■元金返済額に影響
・自己資金額
・借入種類(元利均等・元金均等)
・金利
・借入年数
■減価償却費に影響
・物件価格に占める土地・建物・設備の割合
・建物種類(法定耐用年数)
・築年数
これらの項目によって、デッドクロスが発生する時期、影響の大きさが異なります。
では、なぜ「減価償却費<元金返済額」のデッドクロスが発生すると税引き後キャッシュフローは減少するのでしょうか。
理由は、キャッシュフローと課税所得の計算方法の違いにあります。
キャッシュフローと課税所得
それぞれの計算式は
■キャッシュフロー(CF)
収入 - 経費 - 元金返済 – 利息返済
■課税所得
収入 - 経費 - 利息返済 - 減価償却費
※課税所得とキャッシュフローの違いを詳しく確認したい場合は「今さら聞けないCFと課税所得の違い」をご確認ください。
元金返済と減価償却費をキャッシュフローと課税所得の計算式で比較すると
■元金返済
・キャッシュフローに影響あり
・課税所得に影響なし(損金にならない)
■減価償却費
・キャッシュフローに影響なし
・課税所得に影響あり(損金になる)
この差が要因でデッドクロスが発生すると、収入・支出は変わらないのに、税金支払いが増加して、本当の手取り額である税引き後キャッシュフローに影響を与えます。
デッドクロスのシミュレーション
では、デッドクロスのサンプルシミュレーションを確認します。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターの収支詳細機能一部抜粋
上記シミュレーションのキャッシュフロー(CF)とデッドクロス発生は、元利均等返済で中古木造物件を購入した際によくあるパターンです。
不動産投資前半は、減価償却費が元金返済額を大きく超えるため、課税所得はマイナスになり、税金支払いは発生しません。
しかし、年々、元金返済が進み、借入残高減少⇒利息支払割合減少・元金返済割合増加で、課税所得額が増えていきます。
そして、2033年に減価償却が終了することで、デッドクロスが発生します。このタイミングで所得税等の税額が跳ね上がり、税引き後キャッシュフローはマイナスになります。つまり持ち出しになります。
このサンプルシミュレーションはデッドクロス発生が、収益に大きな影響を与える1つのパターンです。
投資前にデッドクロスを確認
サンプルシミュレーションを確認して分かるように、デッドクロス発生が影響の大きい投資パターンが存在します。
デッドクロス発生タイミング、影響の大きさは、デッドクロスに影響を与える各項目の内容によって大きく異なります。
物件購入前にどのタイミングでデッドクロスが発生しそうかに注目して、不動産投資シミュレーションを行う必要があります。
※アセットランクシミュレーターを使ってデッドクロスの発生タイミングとキャッシュフローへの影響を確認する方法をご紹介しています