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低金利を前提した物件購入の危険性
不動産投資を行っていると、空室、家賃変動、修繕等の様々な変化に遭遇します。その中でも、もっとも対応しにくい変化が金利上昇です。
金利変動に注意が必要な理由
金利変動は、空室や家賃変動と比較すると、頻度が低く、普段はあまり意識しません。
空室や家賃変動は自分の工夫で対応できる可能性があります。しかし、金利変動は自分の工夫で対応できる範囲が本当に限られます。
それだけに、常に頭に置いておく必要のあるリスクです。
過去20年の金利推移
日本は20年以上低い金利が続いています。下のグラフは20年間の10年国債の金利をグラフにしたものです。
私もそうなのですが、低金利が当たり前だと慣れ切ってしまっています。一番高い金利が2006年の約1.7%ですので、それも仕方ないかなと思っています。
ちなみに、銀行の金利は多くが「国債金利+リスクプレミアム」で決まっています。
リスクプレミアムとは、安全資産とされる国債と比較して、その人に貸した場合に発生する貸倒リスクに対して、リスク分として上乗せされる金利です。
※財務省国債金利情報より作成
注意が必要な思考
ただ、この低水準の金利がいつまで続くかは分かりません。
海外のインフレ率上昇等を考慮すると注意が必要な時期になっていると思います。
こんな時に注意したい思考が、「低金利を前提とした不動産投資」です。
低金利を前提とした不動産投資とは
■変動金利で借入
■借入の割合が高い
■物件の利回りが3~5%程度と低い
■キャッシュフロー(CF)がギリギリ黒字
こんな投資です。
このような低金利を前提とした投資だと、少しの金利上昇だけでも、すぐにCFが赤字になる可能性があります。
低金利を前提とした投資
それでは、いつものようにサンプル物件で金利上昇の影響を確認します。
表面利回り5%の取得費用を含めて5,500万円の物件を、1.3%の金利で5,000万円借入した場合のシミュレーションです。
CFのシミュレーション結果は以下です。
※アセットランクシミュレーターを使用してシミュレーション
※結果を抜粋して掲載
上のCF表は金利変動無しのシミュレーションです。年11万円強 月にすると1万円程度のCF黒字になっています。
下のCF表は5年目の2026年に金利が2.3%になったシミュレーション結果です。金利が1%上がっただけで、毎年約14.5万円、月1万円強のCF赤字、つまり、他の収入、資産から持ち出しなってしまいます。
金利変動への対応策
CFシミュレーション結果から分かるように、低金利を前提とした不動産投資の場合、金利が1%程度上昇するだけで、CFが赤字に陥ってしまう可能性があります。
金利変動へは、
1.自己資金を増やして借入を減らす
2.繰上返済を行う
3.固定金利で借りる
といった対応策しかありません。
しかし、1,2の対応策を選択できる投資家さんは限られると思います。3.の固定金利の場合、変動よりも1~2%程度は高い金利になるのが通常です。
こうなると、そもそも、最初からCFが赤字で運用にならない可能性も出てきます。
今後、不動産で運用を続ける場合には、金利変動シミュレーションや、固定金利のシミュレーションを行っておいた方が良いです。
今日のメールセミナーが金利変動にどの程度まで耐えられるかの分析を行うきっかけになれば幸いです。
※以下の動画でアセットランクシミュレーターを使用して、金利変動シミュレーションをする方法を紹介しています。
出口(売却)まで考えて、資産がいくら増えるか確認する方法
11月13日のメールセミナーで、預金、債権、株式、J-REIT等の運用先を比較して有利な投資をする為に、どのような比較を行えばいいかについてお伝えしました。
※11月13日メールセミナーはこちらから確認できます
11月13日のメールセミナーでは、インカム(家賃収入等)のみに焦点を当てました。
しかし、実際は、キャピタル(売却)も含めて比較する必要があります。
今日は、キャピタルを含めた比較をします。
比較するポイント
11月13日のメールセミナーでも書きましたが、まったく異なる運用先で、どこが一番いいかを決定するのに、最初に意識すべき点は
目的が、資産の「運用」だと明確にすることです。
運用を、簡単に書けば、今、手元にある資産を増加させることです。
つまり、1,000万円の資産を1,100万円、1,200万円と増やすことが目的です。
また、金額と同様に重要なのが時間軸です。同じ、1,000万円⇒1,100万円でも、3年後になるのと、5年後になるのでは、まったく価値が異なります。
運用先を比較するポイントは、何年後に、どの程度資産が増加するかです。
このポイントに的を絞って考えた時に、重要になる指標は、「自己資金回収率」です。
運用先の比較
ここからは、前回と同様のサンプルを使って比較します。
比較するのは、J-REIT、中古ワンルーム、中古木造です。
それぞれの運用先の概要は
それぞれ、年収800万円の人が、自己資金約1,000万円を投資した場合です。J-REITと中古ワンルームは、全額自己資金。中古木造は、約4,000万円借入をしてのシミュレーションです。
インカムのみの結果
以下はインカムのみを比較した結果です。
※J-REIT以外のシミュレーションにはアセットランクシミュレーターを使用
※結果を抜粋して掲載
赤枠で囲った自己資金回収率を比較すると、
自己資金回収率は、運用資金として利用した1,000万円を、何%回収できたかを表しています。
インカムだけの結果は、自己資金回収率の高い順に
中古ワンルーム ⇒ 中古木造 ⇒ J-REITの順でした。
キャピタルを含めた結果
ところが、キャピタルを含めると大きく結果が異なってきます。
20年後の2041年に、2022年に購入したのと同額で売却できた場合の結果は
※J-REIT以外のシミュレーションにはアセットランクシミュレーターを使用
※結果を抜粋して掲載
出口(売却)を迎えた20年後の結果を確認すると
中古木造 ⇒ 中古ワンルーム ⇒ J-REITの順になっています。
今回の売却も含めたシミュレーションは、分かりやすいように、購入価格と同額で売却できた場合のシミュレーションをしています。
しかし、現実的には、中古の木造は20年後には、土地値に近い価格になる可能性があります。また、中古ワンルームも、値下がりしている可能性が高いです。
現実の物件を分析する場合には、この点も加味して比較する必要があります。
インカムだけでは分からない
この結果からも分かるように、運用効率を比較する場合にも、必ず、出口(売却)を考慮して比較する必要があります。
今日のメールセミナーが、少しでもお役に立てれば幸いです。
※以下の動画でアセットランクシミュレーターを使用して、売却を考慮した自己資金回収率を確認する方法を紹介しています。
J-REITと実物不動産の運用効率を比較する方法
将来を見据えた資金の運用先は不動産だけではありません。
預金、債権、株式、暗号資産、J-REIT等、色々な運用先があります。
今日は、資金1,000万円を、何で運用を行うか決定するには、どのような検討をすれば良いか考えます。
今回は、J-REIT、中古ワンルーム、中古木造をサンプルに比較します。
例として、1,000万円、3つの運用先としていますが、金額の大小、運用先が異なってもご参考にしていただけると思います。
比較するポイント
まったく異なる運用先で、どこが一番いいかを決定するのに最初に意識したいのが、
目的が、資金の「運用」だと明確にすることです。
運用とは、簡単に書けば、今、手元にある資金(資産)を増加させることです。つまり、1,000万円の資金を1,100万円、1,200万円と増やすことが目的です。
また、金額と同様に重要なのが時間軸です。同じ、1,000万円⇒1,100万円でも、3年後になるのと、5年後になるのでは、まったく価値が異なります。
運用先を比較するポイントは、何年後に、どの程度資金が増加するかです。
運用先の比較
ここからは、サンプルを使用して比較します。
比較する運用先は、先ほど書いた、J-REIT、中古ワンルーム、中古木造です。
それぞれの運用先の概要は
それぞれ、年収800万円の人が、自己資金約1,000万円を投資した場合です。J-REITと中古ワンルームは、全額自己資金。中古木造は、約4,000万円借入をしてのシミュレーションです。
確認すべき指標
以下はキャッシュフローの比較です。
※J-REIT以外のシミュレーションにはアセットランクシミュレーターを使用
※結果を抜粋して掲載
ポイントは、赤枠で囲った、自己資金回収率です。
自己資金回収率は、運用資金として利用した1,000万円がいくら回収できたかを表しています。
今回のサンプルシミュレーションでは、
中古ワンルーム ⇒ 中古木造 ⇒ J-REITの順で投資効率が良いことが分かります。
あくまで、今回、サンプルとして扱った物件に関してだけですが、
中古木造は中古ワンルームよりも、見かけの家賃収入は5倍も多いです。しかし、自己資金回収率を確認すると、投資効率としては悪いことが分かります。
表面利回り〇%以上の物件!。家賃収入〇〇万円! とキャッチーな、言葉を見かけます。
しかし、しっかりシミュレーションすると、見かけとは、全く違う結果になることは、しばしばあります。今回のサンプルは、その1例です。
運用先を比較するポイントは自己資金が、何年で、いくらになるかです。
どんなに、利回りが高くても、どんなに家賃収入が多くても、自己資金の回収率が低い場合は、運用先としては劣ります。
見かけの大小、営業トーク等で判断せずに、運用効率(自己資金回収率)で比較するようにしてください。
さらに検討すべき点
運用として考えた際に、もう2つ確認すべき点があります。
1.安全性:途中で何らかの予定外の変動があった際に大きな痛手を負わないか
2.将来性:10年後、20年後の資産価値を考えても運用は上手くいくか
この2つも比較する項目として入れることで、より良いシミュレーショができます。
この2つに触れると長くなりますので、次の機会にメールセミナーで、お伝えできればと考えています。
※以下の動画でアセットランクシミュレーターを使用して、自己資金回収率を確認する方法を紹介しています。
BSを使って10年後の資産増加額を調べる方法
不動産投資の成績を確認する際に、1番最初に注目するのは、多くの人が税引き後キャッシュフロー(CF)だと思います。
税引き後CFは、本当の手取りになる金額です。投資の成否を考える上で、最も重要な項目と言って問題ないです。
しかし、税引き後CFを確認するだけでは、見えてこないポイントもあります。
そのポイントは、
「年を追う毎に、資産が増加しているか」
です。
資産運用
不動産を購入する目的は、自分が住む、節税、資産防衛等、色々あります。
その中でも、目的が資産運用という場合には、資産がしっかり増加しているかを確認することは、非常に重要です。
しかし、資産が増加しているかは、税引き後CFを確認するだけでは分かりません。こんな時にBSを利用すると便利です。
不動産投資でBSを利用
バランスシート(BS)は、自分の資産状況を把握するのに非常に便利です。
BSと聞くと難しく思えるかもしれません。しかし、それは、上場企業等のBSを思い浮かべるからだと思います。
個人の資産状況を把握するには、もっと簡便なBSを利用するだけで、かなり、状況を把握できます。いつものように、サンプル物件を利用してご説明します。
サンプル物件の概要は以下です。
新築木造6,800万円 表面利回り7.10% 自己資金0の全額借入で、年収1,000万円の人が購入した想定です。
次の、項目で税引き後CFの結果を確認します。
税引き後CFの結果
以下は税引き後CFの結果です。
※アセットランクシミュレーター賃貸経営サポート 時系列分析機能を利用
※結果を抜粋して掲載
赤枠の税引き後CFの部分を確認すると、毎年、CF黒字が続いて、少しずつ、キャッシュが溜まっています。
しかし、年を追うごとに、CF黒字が少なくなり、投資開始28年後に赤字になります。
これは、いわゆるデッドクロスの状態が進むことで起こる現象です。特に、今回のサンプル物件のように借入割合が高い場合には発生しやすいです。
CFだけの結果を考えると、30年で約800万円ですので、1年にすると約26.6万円、月にすると約2.2万円程度。「う~ん、微妙」という結果です。
しかし、BSで状況を確認すると、違った結果が見えてきます。
シミュレーションをBSで確認
では、BSのシミュレーション結果を確認していきます。
BSはアセットランクシミュレーターの賃貸経営サポートを利用すると確認できます。
賃貸経営サポートの時系列集計機能を使用することで、減価償却費を考慮した、いわゆる積算価格を基にしたBSが確認できます。(文章の最後の動画で確認方法をご紹介しています)
まず、投資開始10年後の2031年のBSです。赤枠で囲った、純資産合計に注目してください。
今回の場合、自己資金0での投資ですので、純資産合計部分が、純粋に資産が増えた金額です。10年後に約1,250万円 資産が増加しています。
さらに、10年後(投資開始後20年 2041年)、20年後(投資開始後30年目 2051年)を確認すると、
2051年のBSの、資産(向かって左)を確認すると、減価償却が終了。土地分だけが資産として計上されています。負債(向かって右)に目を向けると、借入を完済して、純資産が約5,300万円になっています。つまり、30年で、5,300万円 資産を増加させたことになります。
当然、土地が購入時より高くなった場合は、その分、資産は増加します。逆に、安くなった場合は減少します。
このように、資産状況はBSで確認すると、とても把握しやすいです。
BSで状況把握する重要性
不動産で資産運用をする場合、毎年のCFを、しっかり管理していくことは重要です。
しかし、それだけではなく、運用した結果、どのような資産状況になるかを把握することも重要です。
※以下の動画でアセットランクシミュレーターを使用して、BSを確認する方法を紹介しています。
1億円の壁と不動産所得
さて、10月31日に行われる衆議院議員選挙の論点の1つとして、1億円の壁の話題が上りました。
1億円の壁とは、課税所得が1億円を超過したあたりから、負担税率が下落していくというものです。
その一因は、1億円を超過する課税所得のある方は、金融資産(株式等)からの所得割合が高く、その金融所得(株式等)への税率が一律20%の為、実質の税率が下落していくことです。
そこで、今日は、不動産投資の税金は、どうなっているかについて考えます。
不動産投資の税金
不動産投資をした場合、本当に様々な税金がかかります。
取得時に必要な税金⇒ 印紙税・登録免許税・不動産取得税
所有中に必要な税金⇒ 固定資産税・都市計画税
収益にかかる税金⇒ 所得税・住民税
このメールセミナーでも、何度もお伝えしているのですが、不動産投資シミュレーションを行う場合に、これらの税金を考慮しないで行った分析は意味が無いといえるくらい、不動産は税負担の大きい投資です。
今回は、不動産で運用する際に必要な税金の中から、収益にかかる税金の所得税・住民税に的を絞って、次の項目で確認します。
累進課税
以下が不動産を個人で所有した場合に課税所得にかかる所得税率の表です。ご確認いただくと分かるように、4,000万円を超過する課税所得には55%の税率が適用されます。金融所得の20%と比較すると大きな差があることが分かります。
また、所得税・住民税は、不動産所得と給与所得等のその他所得を合算して課税所得が決定されます(総合課税)。
つまり、給与等の所得が多いほど税金の負担は重くなります。
それでは、不動産所得以外の所得が、どの程度、収益に影響を与えるか検証します。
不動産収益への影響
以下は家賃収入約800万円のシミュレーションです。
不動産所得以外の給与等の所得が0円、1,000万円、2,000万円、それと1億円の壁という話題がありましたので1億円の4種類の比較です。
それぞれ、赤枠の所得税の部分を確認すると、同じ不動産所得でも、その他の所得によって年間100万円程度の違いがあることが分かります。率にすると、課税所得の約27%~50%程度の税金の支払いが必要になります。
今回の場合は、様々な控除や、節税対策を一切しないでのシミュレーションですので、マックスに税金を払っている状態での分析ですが、確かに、金融所得への一律20%課税が低く感じられるのは分かります。
税金シミュレーションは必須
今回のシミュレーションでお分かりいただけるように、不動産所得以外の所得を考慮した、長期シミュレーションが、不動産投資の意思決定には重要です。
ぜひ、アセットランクシミュレーターをご利用いただき、不動産以外の所得が、不動産での資産運用にどのような影響を与えるかご確認いただけれと思います。
※以下の動画でアセットランクシミュレーターを使用して、給与所得等を考慮したシミュレーションをする方法を紹介しています。
サブリース契約を利用する際の注意点
不動産投資で、もっとも身近で、
そこで、今日は、サブリースを利用することは、
いつものように、客観的に分析できるように、
サブリースは必要か
新築木造アパート 表面利回り8%の物件を使ってシミュレーションを行ないます。
※物件取得費用は概算値です。
年収1,
サブリース契約の内容
サブリース契約の条件は以下です。
サブリース契約をする場合、だいたい、満室想定家賃(
また、初回免責期間として60日必要という契約です。これは、
サブリース契約の内容としては一般的ある内容です。
サブリース有りと無しの比較
それでは、サブリース契約を利用する場合と、
サブリース契約をしないシミュレーションは、空室率10% 家賃を築20年迄1%下落させて、より、
※アセットランクシミュレーターでシミュレーション 一部期間を抜粋して表示
上がサブリース契約有りの場合、
赤い点線で囲った、自己資金回収率を比較していくと、
サブリース契約無しは、空き室率10%、家賃下落1%と、
これだけ確認すると、
しかし、
サブリース契約の注意点
最近は、サブリース契約で問題が発生してニュースになった為、
保証家賃を見直した場合にどうなるかシミュレーションをします。
このシミュレーションは、5年毎に保証家賃を、
このシミュレーションをすると、
ちなみに、サブリース契約無し物件の空室率が12%
サブリースは損か、得か
つい、安心だから、楽だからという理由で、
しかし、投資する物件の地域の平均空室率と比較して、
このメールセミナーが、
※簡単な動画ですが、アセットランクシミュレーターを使用して、
新築ワンルームは、本当に資産になるのか検証する
さて、今日は、新築ワンルームマンションは資産運用として成り立つかについて考えていきます。 いつものように、客観的に分析できるように、サンプル物件を使って検証します。
新築ワンルームへの投資
年収1,000万円の人が35年ローンで購入する想定でシミュレーションしています。
それにしても、10年前の新築ワンルームマンションと比較すると、ビックリするくらい、物件価格が高くなっています。
シミュレーション結果
シミュレーション条件は、空室は無し、家賃下落も無しの大甘条件です。
見ていただくと分かるのですが、毎年、毎年、キャッシュフロー(CF)の赤字が続いています。最初は月3,000円程度ですが、15年後には、月10,000円近くになります。
新築ワンルームの場合、多くの物件で、このようなCF赤字になります。
では、なぜ、投資物件として販売されるかを、営業の方の売り文句から纏めると、以下の2つに集約されます。
1、節税対策になります。
2、将来、値上がりが見込めます。
では、この2つの視点で、本当に投資として成り立つのかシミュレーションします。
節税対策
CFシミュレーションを行った、年収1,000万円前後ですと約70~80万円程度の節税ができる可能性があります。
ちなみに、先ほどのCFシミュレーション結果を確認いただくと分かるのですが、だいたい、10年程度のCF赤字額と節税できる額が、同じ程度です。
この結果からすると、毎年の出血が目に見えている状況で、節税の為だけに、この物件を購入する意思決定を行うのは、非常に厳しいと思います。
確かに、節税にはなりますが、トータルの収益で考えると、損する可能性が非常に高いです。
将来の値上がり
それでは、将来、物件価格が高くなって売却益が出た場合はどうでしょうか。
以下は2037年 投資開始15年後に売却した場合のシミュレーション結果です。
厳密に言うと違うのですが、BTIRRは税引き前CF基準、ATIRRは税引き後CF基準で、自己資金(今回の場合735万円)をどの程度の年利で運用できたかを表すものとご理解ください。
赤線で、囲われた部分は、購入価格の4,900万円で売却できた場合です。税引き前で5.75%の年利で運用できています。
J-REITの税引き前の分配金は商品によりますが、だいたい3.5~4%程度ですので、J-REITで運用するよりは高い数字です。
ただ、今回は、空き室、家賃下落等を一切考えないシミュレーションである点、物件を管理する手間等を考えると微妙なラインです。
シミュレーション結果を見ると、購入価格より高い価格で売却できないと、資産運用として成功するのは難しい結果と言えます。
参考ですが、減価償却分を引いた、2037年の積算価格3,485万円で売却した場合は、自己資金を回収できず、約400万円の損失が出ます。
新築ワンルームマンションの購入
キャッシュフロー、節税、売却益の3つの視点で、新築ワンルームマンションの購入についてシミュレーションをしました。
結果は、売却時に新築時の購入価格より高い価格で売却できないと、厳しいという結果です。
当然、個別の案件によって結果は異なります。ワンルームマンションの購入を検討している場合は、今日のメールセミナーが参考になれば幸いです。 |
新築物件を購入する際に確認すべきポイント
新築物件への投資を考えている投資家さん向けに、新築木造アパートへ投資する場合のシミュレーションのポイントに
実際に、販売されていた物件を参考に検証していきます。
新築木造への投資
以下の物件は実際に販売されていた物件です。ちなみに、
※物件取得費用は概算値です。
場所は東横線沿線の駅から徒歩10分の立地で、
シミュレーション結果
以下がシミュレーション結果です。
シミュレーション条件は、空室を年5%見込んでいます。
また、新築物件の場合、築20年目位までは、年1%
結果は、「家賃収入だけでは投資にならない」です。
税引き後CFで自己資金回収できるのが29年後の2050年です
また、22年後の2043年には税引き後CFが赤字になります。
ただ、不動産での運用はインカムゲインだけを考えても、
キャピタル(売却)を考慮
以下は、
厳密に言うと違うのですが、ATIRRとは税引き後CF基準で、
※
まず、赤線で囲われている、
この場合、自己資金1360万円を年5.86%
その他の枠は、5%刻みで売却価格を増減させた結果です。
このシミュレーション結果を考えると、
新築木造・利回り7%
実際の物件を使ったシミュレーション結果を検証しました。
利回り7%程度だと、
今後、インフレ等で物件価格、
不動産投資シミュレーションをする場合は、
※簡単な動画ですが、アセットランクシミュレーターを使用して、
ワンルームマンション投資の現実
ここ最近、銀行から、不動産投資目的で借入をするのが難しくなっています。コロナの関係で企業の資金需要が高まって、貸出が増加しているのも1つの理由です。
そんな中、借入無しの自己資金だけで投資ができる、ワンルームマンション投資を考える方もいると思います。そこで、中古ワンルームは、投資として成り立つのか、実際の物件を使いながら、ご一緒に検証していきたいと思います。
物件概要
以下の物件は実際に販売されている物件です。
物件概要 | |
物件名 | 中古ワンルームマンション投資 |
住所 | 東京都(山手線) |
築年月 | 1990年4月(耐用年数21年) |
占有面積 | 16.5平米 |
賃料/月 | 69,000円 |
管理費 | 6,765円 |
修繕積立金 | 3,280円 |
物件価格 | 13,900,000円 |
物件取得費用 | 1,390,000円 |
自己資金 | 15,290,000円 |
表面利回り | 5.96% |
投資家属性 | |
年収 | 7,000,000円 |
扶養家族 | 1人 |
※物件取得費用は概算値です。
場所は山手線駅から10分以内の好立地です。また、今回は年収700万円、扶養家族1人の人が購入する前提で検証します。
表面利回りは5.96%と、新耐震では一般的に出回っている利回り程度です。
シミュレーション結果
以下がシミュレーション結果です。
30年間のキャッシュフロー表(年3%の空室を想定) | |||||
年数 | 2021 | 2022 | ~ | 2029 | 2030 |
潜在的総収入(年) | 345,000 | 828,000 | 828,000 | 828,000 | |
維持管理費(年) | 50,225 | 120,540 | 120,540 | 120,540 | |
キャッシュフロー | 294,775 | 682,620 | 682,620 | 682,620 | |
所得税等税金 | 0 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | |
税引き後キャッシュフロー | 294,775 | 549,464 | 549,464 | 549,464 | |
税引き後キャッシュフロー累計 | 294,775 | 844,239 | 4,690,483 | 5,239,947 | |
自己資金回収率 | 1.93% | 5.52% | 30.68% | 34.27% | |
年数 | 2031 | 2032 | ~ | 2039 | 2040 |
潜在的総収入(年) | 828,000 | 828,000 | 828,000 | 828,000 | |
維持管理費(年) | 120,540 | 120,540 | 120,540 | 120,540 | |
キャッシュフロー | 682,620 | 682,620 | 682,620 | 682,620 | |
所得税等税金 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | |
税引き後キャッシュフロー | 549,464 | 549,464 | 549,464 | 549,464 | |
税引き後キャッシュフロー累計 | 5,789,410 | 6,338,874 | 10,185,118 | 10,734,582 | |
自己資金回収率 | 37.86% | 41.46% | 66.61% | 70.21% | |
年数 | 2041 | 2042 | ~ | 2049 | 2050 |
潜在的総収入(年) | 828,000 | 828,000 | 828,000 | 828,000 | |
維持管理費(年) | 120,540 | 120,540 | 120,540 | 120,540 | |
キャッシュフロー | 682,620 | 682,620 | 682,620 | 682,620 | |
所得税等税金 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | 133,156 | |
税引き後キャッシュフロー | 549,464 | 549,464 | 549,464 | 549,464 | |
税引き後キャッシュフロー累計 | 11,284,045 | 11,833,509 | 15,679,753 | 16,229,217 | |
自己資金回収率 | 73.80% | 77.39% | 102.55% | 106.14% |
※アセットランクシミュレーターでシミュレーション 一部期間を抜粋
シミュレーション条件は、購入時の家賃を期間中維持空室は年3%見込んでいます。満室経営と言っていい条件です。3%はテナントが変わる際に、どうしても発生する空室期間を考慮したものです。
月の税引き後キャッシュフロー(CF)は約45,000円です。
税引き後CFで自己資金回収できるのが29年後の2049年です。
インカムゲイン(家賃)だけを考えた、運用成績としてはかなり厳しいです。
東京都心の1Rマンションへ投資をした場合の収益性は同様レベルの物件が多いです。
キャピタル(売却)を考慮
以下は10年後の2031年に、売却した際のシミュレーションです。
厳密に言うと違うのですが、ATIRRとは税引き後CF基準で、自己資金をどの程度の年利で運用できたかを表すものとご理解ください。
10年後の売却シミュレーション | ||
売却価格 | ATIRR | |
10,425,000 | 0.26% | |
11,120,000 | 0.73% | |
11,815,000 | 1.17% | |
12,510,000 | 1.60% | |
13,205,000 | 2.01% | |
13,900,000 | 2.40% | |
14,595,000 | 2.77% | |
15,290,000 | 3.12% | |
15,985,000 | 3.39% | |
16,680,000 | 3.65% | |
17,375,000 | 3.91% |
※
まず、購入した1,390万円で、売却できた場合には、年2.4%で運用できる結果になります。
購入経費を入れた、自己資金:1,529万円を1,913万円まで増加させて回収できます。
1,042万円で売却した場合、年0.26%の年利ですので、10年後に約1,000万円で売却できるかが損するか得するかのラインになります。
この物件の場合、10年後に購入価格より高い価格で売却できるかが、投資として成功するかのポイントになります。
2021年時点での投資
実際の物件を使ったシミュレーション結果を検証しました。現状の利回りだと、インカムゲインだけで資産運用を行うのは、厳しいかなと思います。
今後もワンルームの価格が、上昇していくと考える場合は運用として成功する可能性があります。もし、値下がりすると、考えているようならば慎重な判断が必要です。
※簡単な動画ですが、アセットランクシミュレーターを使用して、
不動産でFIREを考えた時に忘れてはいけない視点
最近、不動産でFIRE*を目指すといった記事が目立ちます。
これ系の記事を読むと、月収100万円とか年収2,000万円とかインカムゲインに関する記述がほとんどです。出口(売却)までこんな風に考えて、計画を立てているという記事はあまりありません。
不動産投資は、家賃収入(インカムゲイン)だけでは成功しません。必ず、売却益(キャピタルゲイン)とセットで考える必要があります。つい、今、手元に入る収入に気を取られがちですが、売却戦略を検討しておくことは非常に重要です。
そこで、今日は、売却シミュレーションをする際に、確認すべきポイントを2つに絞ってご紹介します。
*FIRE=早期リタイアのこと
2つのポイント
売却シミュレーションで、最低、確認が必要なポイントは以下の2つです
1.売却時に借入が返済できるか
2.
の2点です。
では、なぜ、最低、この2つの確認が必要なのでしょうか。
安全性と収益性
不動産シミュレーションをする際に、重要なのは安全性と収益性の両方をしっかり確認することです。これは、売却シミュレーションでも同じです。
最低限確認したいポイントとして挙げた
1.売却時に借入が返済できるか
2.
1.は、借入を返せなくては、売却も困難になりますので、安全性確認の意味合い
2.は、投資しても自分の資産を、運用できないと意味がないので、収益性確認の意味合い
で行う必要があります。
では、具体的な例を確認します。
成功例と失敗例
成功例と失敗例の2つを挙げました。
価格1億円の物件です。
不動産投資 売却の成功例と失敗例 | |||||||||
成功例 | |||||||||
年数 | 2021 | 2022 | ~ | 2029 | 2030 | 売却価格 | 88,888,879 | ||
潜在的総収入(年) | 7,999,992 | 7,999,992 | ~ | 7,999,992 | 7,999,992 | 譲渡費用 | 3,555,555 | ||
維持管理費(年) | 1,199,999 | 1,199,999 | ~ | 1,199,999 | 1,199,999 | 借入金残高 | 65,757,762 | ||
ネット収入(年) | 6,799,993 | 6,799,993 | ~ | 6,799,993 | 6,799,993 | 売却キャッシュフロー | 19,575,562 | ||
支払額(年) | 3,991,884 | 3,991,884 | ~ | 3,991,884 | 3,991,884 | 取得費用 | 105,000,000 | ||
キャッシュフロー | 2,808,109 | 2,808,109 | ~ | 2,808,109 | 22,383,671 | 減価償却費累計 | 15,120,000 | ||
所得税等税金 | 0 | 956,464 | ~ | 1,069,114 | 1,086,734 | 売却価格 | 88,888,879 | ||
税引き後キャッシュフロー | 2,808,109 | 1,851,645 | ~ | 1,738,995 | 21,296,937 | 売却課税所得 | -4,546,676 | ||
税引き後キャッシュフロー累計 | 2,808,109 | 4,659,754 | ~ | 17,180,982 | 38,477,919 | 売却税額 | 0 | ||
自己資金回収率 | 14.04% | 23.30% | ~ | 85.90% | 192.39% | 売却税引きキャッシュフロー | 19,575,562 | ||
失敗例 | |||||||||
年数 | 2021 | 2022 | ~ | 2029 | 2030 | 売却価格 | 60,000,000 | ||
潜在的総収入(年) | 7,999,992 | 7,999,992 | ~ | 7,999,992 | 7,999,992 | 譲渡費用 | 2,400,000 | ||
維持管理費(年) | 1199999 | 1,199,999 | ~ | 1,199,999 | 1,199,999 | 借入金残高 | 65,757,762 | ||
ネット収入(年) | 6,799,993 | 6,799,993 | ~ | 6,799,993 | 6,799,993 | 売却キャッシュフロー | -8,157,762 | ||
支払額(年) | 3991884 | 3,991,884 | ~ | 3,991,884 | 3,991,884 | 取得費用 | 105,000,000 | ||
キャッシュフロー | 2,808,109 | 2,808,109 | ~ | 2,808,109 | -5,349,653 | 減価償却費累計 | 15,120,000 | ||
所得税等税金 | 0 | 956,464 | ~ | 1,069,114 | 1,086,734 | 売却価格 | 60,000,000 | ||
税引き後キャッシュフロー | 2,808,109 | 1,851,645 | ~ | 1,738,995 | -6,436,387 | 売却課税所得 | -32,280,000 | ||
税引き後キャッシュフロー累計 | 2,808,109 | 4,659,754 | ~ | 17,180,982 | 10,744,595 | 売却税額 | 0 | ||
自己資金回収率 | 14.04% | 23.30% | ~ | 85.90% | 53.72% | 売却税引きキャッシュフロー | -8,157,762 |
※アセットランクシミュレーターを利用してシミュレーション
成功例(上):約8,800万円で売却
自己資金回収率は、192.39% と約2倍。借入を返済しても、1,957万円が残ります。
それに対して、
失敗例(下):約6,000万円で売却
自己資金回収率は、53.72% 自己資金の半分を失っています。また、借入を返済しようとしても、815万円足りません。
下の例は、
「不動産投資なんてしなきゃよかった」
と叫んでしまうパターンです。その時には遅いのですが。
インカムだけでは成功できない
不動産への投資は、インカムゲインだけでは成功できません。上の例を見ても分かるように、インカムゲインが毎年黒字でも、キャピタルロスが発生すれば、一発で吹き飛びます。
不動産シミュレーションをする場合、インカムのシミュレーションとキャピタルのシミュレーションはセットです。
今日のメールセミナーが、売却シミュレーションを確認するご参考になればと思います。
※簡単な動画ですが、アセットランクシミュレーターを使用して、