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最低限確認したいキャッシュフローの3項目
「キャッシュフロー」
おそらく、多くの人が不動産投資指標の中でも、もっとも重要視する指標だと思います。また、不動産運用で重要な管理項目の1つです。
今日は、不動産投資のキャッシュフローについてです。
キャッシュフローの種類
不動産投資のキャッシュフローは大きく2種類あります。
▼家賃等収入のキャッシュフロー
▼売却のキャッシュフロー
この2つとも税引き前と税引き後があります。
つまり
1.家賃等収入の税引き前キャッシュフロー
2.家賃等収入の税引き後キャッシュフロー
3.売却の税引き前キャッシュフロー
4.売却の税引き後キャッシュフロー
の4つに分けられます。
それでは、それぞれの特徴を確認します。
4つのキャッシュフロー
4つのキャッシュフローの計算式は
1.家賃等収入の税引き前キャッシュフロー
⇒ 家賃等収入 - 維持管理費 - 返済額
2.家賃等収入の税引き後キャッシュフロー
⇒ 家賃等収入 - 維持管理費 - 返済額 - 所得税等税金
3.売却の税引き前キャッシュフロー
⇒ 売却価格 - 売却諸費用 - 借入残高
4.売却の税引き前キャッシュフロー
⇒ 売却価格 - 売却諸費用 - 借入残高 - 所得税等税金
税引き前は、不動産の運用又は売却でいくらお金が残るか。税引き後は本当の手取り額になります。
それでは、キャッシュフローシミュレーションのサンプルを使って、最低限チェックしたいポイントについて確認します。
キャッシュフローシミュレーション
上が家賃等収入のキャッシュフロー。下が売却のキャッシュフローです。
※2031年には売却のキャッシュフローを加算
※アセットランクシミュレーター収支詳細画面の一部抜粋
※キャッシュフロー⇒CFと表記
※個人の場合売却と家賃等収入の所得税等税金は個別に課税(国税庁HP)
まず、家賃等収入のキャッシュフローは1年だけ確認しても意味がありません。時系列で確認することが重要です。
時系列で確認したい最低限のポイントは
1.税引き後キャッシュフローに赤字の年がないか
2.税引き後キャッシュフロー累計で自己資金を回収できるか
売却キャッシュフローで確認したい項目は
3.借入残高を返済できて、売却キャッシュフローがプラスか
この3つの項目は必ず確認が必要です。
最低限、この3項目をクリアしないと、不動産の購入が投資として成り立ちません。
1.をクリアできない場合、その年は給与等の他の収入から補填が必要になります。
2.をクリアできない場合、苦労して運用して投資した自己資金を減らす結果になります。
3.をクリアできない場合、売却時に預貯金から充当しなければなりません。最悪、売りたくても売れないという事態が発生します。
キャッシュフロー分析の重要性
時系列のキャッシュフローシミュレーションは、不動産投資シミュレーション中でも、もっとも重要です。
また、キャッシュフローのシミュレーションを行う場合は、家賃下落等を考慮して行うのがベストです。
ご紹介した内容を参考に、最低限確認したい3項目を確認していただければと思います。
※アセットランクシミュレーターを利用して家賃下落等を考慮したキャッシュフローのシミュレーションを行う方法を動画でご紹介します
不動産投資指標を利用して物件価格が割安か確認する方法
株、FX、仮想通貨にない、不動産投資の大きな魅力の1つは「価格が同一でない」ことです。
株などは、新聞を広げれば価格が分かります。また、それを購入しようとした場合、皆が同じ価格で購入することになります。
しかし、不動産はそうではありません。売り手と買い手の様々な状況で大きく価格が変動します。逆に言えば、意図的に高い値段で買わされてしまう可能性もあります。
そんな状況に陥らないために、投資に適した物件かを判断するのに、不動産投資指標はとても便利です。一部を一覧表でご紹介すると
※不動産投資指標の説明は「不動産投資で利用したい各種指標のご紹介」をご確認ください。
一部を記載しただけでも、これだけの数になります。この中から、今日、ご紹介したいのは提示されている物件価格が割高か割安かを簡単に比較できる指標です。
物件価格が適正か判断する
物件価格が割高か割安か比較する際に、もっとも利用されるのは「積算価格」だと思います。
積算価格とは・・
新築の建物価格(再調達価格)から経過の耐用年数分の償却費を引いた建物価格と路線価等から計算される土地価格を加算した金額
今日、ご紹介するのは、物件価格が適正価格か判断する、もうひとつの方法「相場的価格」です。
相場的価格
相場的価格は、近隣の物件価格と、投資を検討している物件価格を比較する方法です。
計算式は
(物件1価格÷物件1広さ)~(物件7価格÷物件7広さ)の平均値×購入予定物件広さ
です。
近隣類似物件の平均平米単価に購入予定物件の平米をかけて推定相場価格を計算します。
とても単純ですが時間をかけずに、割高か割安かを確認できます。特に、区分所有を比較するのに便利です。
それでは、具体的な手順をご紹介します。
相場的価格の計算手順
まず、不動産ポータルサイトや不動産取引事例(国土交通省)で購入を検討している物件と
1.近い地域
2.近い利便性(駅徒歩分数等)
3.同じ構造
4.近い築年数
5.近い平米数
の順に最低3物件、できれば5~7物件探します。このような検索が、ポータル等だと簡単にできるので、昔と比較すると本当に便利になりました。
抽出したら、あとは、
(物件1価格÷物件1広さ)~(物件7価格÷物件7広さ)の平均値 ×購入予定物件広さ
に当てはめるだけです。
では、具体的に例を挙げて計算します。購入しようとしている物件は83平米です。
※アセットランクシミュレーター相場的価格法計算機能を利用
類似物件を調べた結果、上記5件が見つかったとします。この物件を先ほどの計算式に入れて計算します。今回の結果は44,360,977円です。
この44,360,977円が推定相場価格になります。これより安ければ、相場より割安、高ければ割高だと判断できます。
ただ、この価格だけで判断するのは危険です。
複数の方法で比較する
相場的価格は、ご紹介したように簡単に計算できます。しかし、この情報だけで投資判断するのは危険です。
投資判断をする際は
1.収益還元法・・キャッシュフローを中心に収益上問題ないか
2.積算価格法・・積算価格と比較して適正か
の2つも問題ないか確認して、相場的価格も割安ならば投資対象として土俵にのせるという判断をすると良いです。
違う視点で計算を行う複数の指標を利用することで、物件価格が割安かどうかをより的確に判断できます。
※アセットランクシミュレーターを利用して相場的価格と積算価格を計算できます。動画でご紹介します。
金利上昇が出口戦略に与える影響
不動産投資を進めていると「空室」「家賃下落」「修繕」など様々なリスクに直面します。その中でも「金利上昇」はもっとも自分でコントロールしにくいリスクです。
7月23日のメールセミナーで、金利上昇を乗り切れるかのポイントは3つと書きました。
1.金利上昇してもキャッシュフローが赤字にならないか
2.次にインカムゲインで目標の収益を達成できるか
3.最後に売却しても自己資金等を回収できるか
今日は金利上昇リスクで、最も影響の大きい「3.売却しても自己資金等を回収できるか」を確認する方法です。
1.2.については「金利が上昇しても問題ないか確認する方法」をご確認ください。
金利上昇の不動産投資への影響
以下のチャートは米国の政策金利のチャートです。基本的に変動金利は「政策金利+α」で決まります。
チャートを見ると半年で2%以上金利が上昇しています。つまり、連動する変動金利も2%程度上昇する可能性があります。
日本はアメリカのような景気の強さ、インフレ率ではありませんので、ここまで極端な動きは現在のところ考えにくいです。
しかし、将来の金利上昇リスクを考える際に参考になります。
※変動金利と固定金利の決まり方が平易に記載されていましたご参考にご紹介します(外部サイト)。自分でもできる! 住宅ローンの金利動向をつかむ方法
金利上昇の不動産価格へ影響
金利が上昇すると、不動産価格は基本的に下落します。理由は「上昇した金利と同様に表面利回り」も上昇するからです。
例えば、物件価格1億円、表面利回り5%(家賃500万円)の物件を1%の変動金利で購入したとします。数年後、金利が2%になりました。
この場合、購入時の金利(1%)と表面利回り(5%)の差の4%を手に入れようとすると、表面利回りは6%必要になります。
家賃変動を考慮しない場合、6%の表面利回りを実現するための物件価格は、500万円÷6%=8,333万円 です。つまり、投資家が納得する4%差の利回りで売却するには、この価格で売る必要があります。
この例は、不動産価格の他の影響を考えずに非常に単純化されています。しかし、基本的な動きはこのようになります。ちなみに、ここ数年、日本の不動産価格が上昇した一因はこの例と逆で、金利が下落したので、表面利回りが低下したからです。
それでは、サンプル物件を使って金利上昇が出口戦略に与える影響を確認します。
キャッシュフローシミュレーション
このサンプルを使って確認します。
当初の金利は1.25%です。その金利が3年後から毎年0.5%上昇して、現在のアメリカ並みに2%上昇したことを想定したシミュレーションです。
潜在的総収入(満室想定家賃)は一般的な家賃下落率1%に、物価上昇を加味した0.5%を金利上昇の2年後から加算して家賃下落率を0.5%に調整しています。家賃上昇を2年後~としたのは、家賃は約1年半~2年程度経過してから物価上昇分を織り込んでいくことが多いためです。
※アセットランクシミュレーターでの分析結果を一部抜粋
金利上昇の影響で、当初約127万円あった、税引き後キャッシュフロー(CF)が約67万円まで減少することが分かります。金利上昇がキャッシュフローへ与える影響の大きさが分かります。
さて、それでは、本題の売却を加味した投資収益への影響を確認します
金利上昇の出口への影響
購入から7年経過後の2028年に売却したキャッシュフローシミュレーションを行います。
売却価格は、2%の金利上昇分を表面利回りに加算した9%の表面利回りを2028年の潜在的総収入(満室想定家賃)で確保できる価格約5,946万円です。
シミュレーション結果は
※アセットランクシミュレーターでの分析結果を一部抜粋
不動産投資で一番恐れるべき事態が発生します。売却しても借入が返済できません。
ちなみに、出口戦略を考える際にもっとも重要な指標、自己資金回収率は32.84%と投資した自己資金1,600万円の約1/3の525万円しか回収できません。
最悪の投資結果になります。
金利上昇の影響は大きい
今回のシミュレーションでは、投資期間中はCFの黒字を確保でき、何とか投資として成り立っていました。しかし、金利上昇の影響で売却価格が下落したため、
■売却で借入を返済できない
■自己資金を回収できない
という非常に厳しいシミュレーション結果になりました。
金利上昇は、家賃収入等のインカムゲインだけではなく、売却時のキャピタルゲインにも大きな影響を与えます。
海外の動向等から現実味を増した金利上昇リスクについて検討とシミュレーションを行うきっかけにしていただければ幸いです。
※アセットランクシミュレーターを利用したシミュレーション方法を動画でご紹介しています
※関連記事:
・変動金利から固定金利へ借り換えが必要か検証する方法
・予測される金利上昇への対策を検討する方法
・不動産の出口戦略の為に知っておきたいルール
金利が上昇しても問題ないか確認する方法
不動産投資を進めていると「空室」「家賃下落」「修繕」「金利上昇」など様々なリスクに直面します。
その中でも「金利上昇」はもっとも自分でコントロールしにくいリスクです。
今日は、何%の金利上昇まで耐えられるかシミュレーションする方法です。
変動金利の決まり方
不動産投資を行っている方の多くが変動金利で借入をしています。理由は、固定金利に比較して変動金利は低利で借りられるからです。
ちなみに借入金利は
■変動金利⇒政策金利+α
■固定金利⇒10年国債金利+α
で決まります。
このグラフはアメリカの政策金利の2021年7月~2022年6月の推移です。1年で1.5%上昇しています。ちなみに7月も0.75%上がると予測されています。
そうなるとアメリカで2021年7月に変動金利で借入をした場合、約1年で2%以上金利上昇するリスクをおってしまう可能性があったと言えます。
日本はアメリカのような景気の強さ、インフレ率ではありませんので単純には比較できません。しかし、金利上昇リスクを考える際にこの数値は参考になります。
金利上昇リスク
金利上昇を乗り切れるかのポイントは3つです。
1.金利上昇してもキャッシュフローが赤字にならないか
2.次にインカムゲインで目標の収益を達成できるか
3.最後に売却しても自己資金等を回収できるか
です。
まず、第一関門は「赤字キャッシュフロー」にならないかです。
理由は、赤字キャッシュフローになると貯蓄や他の所得から持ち出しが発生して投資どころか負の資産になってしまうからです。
それでは、具体的にシミュレーションします。
サンプルを使ったシミュレーション
このサンプルを使って確認します。
当初の借入金利は1.25%です。その金利が2年後に、現在のアメリカ並みの金利上昇1.75%したことを想定したシミュレーション結果が以下です。
※アセットランクシミュレーターでの分析結果を一部抜粋
今回のサンプルの場合、1.75%金利上昇してもキャッシュフローは赤字になりません。万が一の場合も、持ち出しは発生しそうにない点では安心できます。
ちなみに、金利が約4.5%上昇して6%を超える辺りで赤字になります。但し、金利上昇リスクが分かり易いように家賃下落、修繕等の他のリスクを一切見込んでいないシミュレーションである点は追記しておきます。
長期的な収益への影響
まず、絶対に許容できない赤字キャッシュフローにはなりそうにないことは分かりました。次に考えるのは「金利上昇した場合としない場合の収益へ影響です」
収益性を比較するシミュレーションを行うと
※アセットランクシミュレーターでの分析結果を一部抜粋
上段が金利変動なしの結果です。下段は1度3%に上昇した金利が数年後に2.5%に下落した場合のシミュレーションです。
税引き後キャッシュフローで比較すると約260万円金利上昇を見越した結果が少なくなります。自己資金1,600万円の投資で約260万円なので大きいです。
ただ、この結果で投資するのは絶対に止めようというレベルではないと思います。
大きなリスクの金利変動
今回のサンプルは、何とか金利上昇リスクを取っても投資できるかなというレベルでした。
不動産を借入して購入する場合、金利上昇は本当に大きなリスクです。とにかく、自分で創意工夫して何とかするのが難しいからです。
不動産投資の変動シミュレーションの中でも金利上昇は根拠となるデータが少ないため難しいです。ただ、今回のサンプルのように予測できる範囲で必ず行う必要があります。
この記事を参考にお試しいただければと思います。
3.売却しても自己資金等を回収できるかの分析方法については近々ご紹介したいと思います
※アセットランクシミュレーターを利用した金利変動シミュレーションの具体的な操作方法を、以下の動画でご紹介しています
※関連記事:
・変動金利から固定金利へ借り換えが必要か検証する方法
・予測される金利上昇への対策を検討する方法
10年後の売却価格を推定する方法
不動産投資は、出口戦略(売却)まで含めた分析を行っておくことが重要です。
理由は「投資の成否は出口まで分からない」からです。
どんなに、家賃収入を上手く得ていても、売却で失敗すれば、それまでの努力が失われます。
しかし、物件取得時に10年、15年後にいくらで売却できるかを推測するのは、なかなか難しいです。
そこで、今日は、10年後の推定売却価格を計算する方法についてです。
10年後の推定売却価格
10年後の推定売却価格を計算する方法は、とてもシンプルです。
推定売却価格=10年後の想定満室家賃÷(取得時表面利回り+0.5~3%)
電卓レベルで計算できる内容です。
推定売却価格の計算方法
推定売却価格が
10年後の想定満室家賃÷(取得時表面利回り+0.5~3%)
で計算できる理由は、
ファミリー向けの区分所有等を除いて、投資用物件は売却する相手も「投資家」だからです。
不動産投資で一番最初に確認するのは、多くの方が表面利回りです。
つまり、投資家が求める表面利回りの物件価格ならば売却できる可能性が高いことになります。この価格が推定売却価格です。
それでは、項目ごとに確認していきます。
サンプルを使った計算結果
計算に必要な項目は
1.10年後の想定満室家賃(潜在的総収入)
2.10年後の想定表面利回り
です。
1. 10年後の満室時の家賃収入合計(年間)のことです。
10年後には家賃が、取得時より下落している可能性が高いです。それを考慮した満室家賃を利用します。
2. 10年後には、取得時よりも高い表面利回りを、投資家から求められる可能性が高いです。それを考慮した表面利回りを利用します。
では、サンプル物件を使って具体的に確認します。
1.10年後の想定満室家賃(潜在的総収入)は毎年1%下落を想定した家賃収入を利用します。
今回のサンプルの場合、4,795,966円になります。
毎年1%下落を想定する計算根拠は「賃貸マンションと比較した賃貸アパート実態分析」をご確認ください。
2.10年後の想定表面利回りは、取得時の「表面利回り+0.5~3%」で計算します。今回のサンプルでは。8%~10.5%です。
加算する%は地域、物件種類によって異なります。投資物件サイト等で、10年後の近い築年数の表面利回りを調べた上で加算する%を決定してください。
サンプル物件の結果
それでは、サンプル物件の結果を確認します。
今回のサンプルの場合、7,000万円で購入した物件の推定売却価が約5,300万円~6,000万円です。
この推定売却価格を使用して、売却時のキャッシュフローを確認する等、シミュレーションを行うと、現実感のあるシミュレーションができます。
売却シミュレーションで確認したい項目については「不動産の出口戦略の為に知っておきたいルール」をご確認ください。
売却まで含めたシミュレーションは、非常に重要です。今回の記事をご参考に分析していただければと思います。
※アセットランクシミュレーターを利用し推定売却価格を確認する方法をご紹介しています。
RC物件のキャッシュフローの特徴
前回は「中古木造物件のキャッシュフローの特徴」についてお伝えしました。
今日は、物件構造によるキャッシュフローの特徴の2回目「RC物件のキャッシュフローの特徴」です。
RC物件の特徴
サンプル物件を使ってRC物件のキャッシュフローの特徴を確認します。
キャッシュフローの特徴
以下は2022年~2051年のキャッシュフロー(CF)のシミュレーション結果(表示の都合上一部年数を抜粋)です。
※アセットランクシミュレーターでシミュレーション
まず、確認していただきたいのは、税引き後キャッシュフローです。
投資開始当初の2023年は約280万円の税引き後キャッシュフローが、2051年には約217万円になります。
家賃収入等は同じですが、税引き後キャッシュフローは約60万円減少します。
理由は2つあります。
1.設備部分の減価償却が2036年に終了し税金支払が増加
2.元利均等借入のため、年々元金支払割合が増加して税金支払が増加
1,2の特徴はRC物件もそうですが、それ以外の構造でも発生します。
投資開始当初は、利息支払割合が高く、損金として認められる額が多く、税金支払は少なくなります。
しかし、元金返済が進むにつれ、損金として認められない元金返済割合が多くなり、税金支払が多くなります。
※ご参考に「今さら聞けないCFと課税所得の違い」をご確認ください。
今回は新築のシミュレーションのため、法定耐用年数の47年間減価償却が続いているためこの結果です。
築古RCの場合には耐用年数が短く(例えば築40年RCの耐用年数は15年)減価償却が終わるとドンと税金支払いが増加するので注意が必要です。
もう1つの特徴
そして、先ほどのシミュレーションでは考慮していなかった、もう1つの特徴は、多額の修繕費が必要になるケースが多い点です。
以下は国土交通省が発行している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」を参考にした修繕費を、15年毎に入力したシミュレーションです。
※アセットランクシミュレーターで分析
※一部年数抜粋表示
修繕費を考慮しなかった場合と比較して2,000万円以上税引き後キャッシュフローが少なくなります。
RC物件は防水工事等の修繕費のかさむことが多いです。シミュレーションでは、必ず、修繕費を考慮する必要があります。
今回のシミュレーションは、修繕費が必要になるまで、キャッシュが蓄積しており、対応できるパターンです。
しかし、中古RC物件へ投資を検討する場合、購入して直ぐに修繕費が必要になり、
投資にお金を使っていて、修繕できないというゾッとするケースもありますので注意が必要です。
RCにはRCの特徴がある
RC物件は修繕費が多額になるなど特徴的なリスクもあります。
しかし、法定耐用年数が長いことで、銀行から木造等と比較すると長い期間借りられる可能性が高く、投資開始当初にキャッシュフローを多くできるメリットもあります。
この当たりの、メリット、デメリットを考慮しながら、収益シミュレーションを確認する必要があります。
※アセットランクシミュレーターを利用して修繕費を考慮したのキャッシュフローを確認する方法をご紹介しています。
中古木造物件のキャッシュフローの特徴
不動産投資物件の建物構造の選択肢は主に
■木造
■鉄骨造
■RC造
があります。
物件構造の違いで、収益上もっとも重要なキャッシュフローにそれぞれ特徴があります。
今日は、この特徴を木造物件(中古木造)に絞って確認します。
木造とRCの比較
中古木造の特徴を分かり易く確認するためにRC造と比較します。
サンプル物件は
築15年の物件です。この物件を使って中古木造の特徴を確認していきます。
キャッシュフロー比較
現実的には無いのですが、特徴をつかみやすいように、建物構造のみ変更してその他の条件は同じにしてシミュレーションします。
築15年の中古木造と中古RC造のキャッシュフロー(CF)を比較した結果は
※アセットランクシミュレーターでシミュレーション
※一部年数を抜粋して表示
税引き後キャッシュフローを比較すると、中古木造のキャッシュフローが2031年迄、約20~25万円多いことが分かります。
しかし、2032年以降はRC物件の方が約10~15万円多くなります。
理由は、赤二重線の箇所を確認するとお分かりいただけます。中古木造物件の所得税等税金が急激に増加するからです。
この急増の訳は「減価償却費」です。
木造とRCの大きな違い
各年の減価償却費を確認すると
※アセットランクシミュレーターで分析
※一部年数を抜粋して表示
中古木造は物件購入11年後の2032年に減価償却費が0になっています。一方で中古RC物件はその後も2056年まで続きます。
これは耐用年数の違いで発生します。以下は、物件構造と用途別の新築と築15年の耐用年数の一覧です。
※その他の法定耐用年数一覧(国税庁)
中古木造=10年
中古RC造=35年
であることが分かります。
もう少し詳しい計算方法にご興味のある場合は
「中古物件の耐用年数の計算方法を理解する」
「附属設備と取得時の諸費用を考慮した減価償却シミュレーション」
をご確認ください
このように、中古木造は他の構造よりも耐用年数が短いため、1年あたりの減価償却費が多くなります。
そのため、投資初期は税金支払い額が少なく、耐用年数終了後に増加します。
中古木造物件の特徴
中古木造は以下のような特徴があります。
1.投資初期は年間の減価償却費が多く節税効果がある
2.耐用年数が短く、終了後は税負担が急増する
他のRC物件等と組み合わせて、節税効果を狙って投資する投資家さんがいるのはこのような特徴からです。
中古木造に限らず、物件構造によって様々な特徴があります。不動産投資シミュレーションを通して確認していただければと思います。
※アセットランクシミュレーターを利用し物件構造毎のキャッシュフローを確認する方法をご紹介しています。
不動産の出口戦略の為に知っておきたいルール
不動産投資の収入は大きく2つに分けられます。
・家賃収入(インカムゲイン)
・売却収入(キャピタルゲイン)
です。
今日は、売却収入のシミュレーションで確認したい項目です。
売却シミュレーション
売却シミュレーションで知っておきたいのは
1.売却キャッシュフロー(売却CF)
2.売却時の税金
の2つです。
それでは、この2つを具体的に確認します。
売却キャッシュフロー
売却キャッシュフローは
「売却額-譲渡費用-借入残高」
で計算します
この売却キャッシュフローで確認したいポイントは
「借入を返済してお金が残るか」です。
以下は7,000万円(個人所有)で購入した物件を売却したシミュレーションです。
※アセットランクシミュレーターを利用して分析
二重線の売却CFを確認すると、1. 5,000万円の売却シミュレーションの場合はお金が約220万円残っています。
しかし、2. 4,500万円では約250万円のマイナスになってしまいます。
これが意味するところは、売却額から売却に必要な費用を払った残額で借入返済をした結果
「5,000万円で売却できれば手元にお金が残る」
「4,500万円は約250万円の持ち出しが生じる」
ということです。
売却時のシミュレーションを行う場合は
「いくらで売却できれば借入を返済可能か」の確認は必須です。
理由は、2.のように返済が不可能な場合、手放したくても手放せないという最悪の状態に陥る可能性があります。
売却の税金ルール
次に売却時の税金についてです。
税金計算の基となる課税所得は
「売却額-譲渡費用-(取得費用(物件価格+仲介手数料等)-減価償却費累計)」
で計算します。
この課税所得に個人で不動産を所有している場合、売却分の所得は分離課税で課税されます。
「売却の課税所得は不動産所得や給与収入等の課税所得とは別に扱われる」という意味です。
また、売却税率を決めるルールの特徴として、バブルの遺物とも言えるルールですが、不動産の所有期間に応じて異なる税額が適用されます。
※国税庁のホームページでも確認できます。
例えば2022年に売却する場合は2017年1月1日以降に取得した物件は「短期譲渡所得」それより前は「長期譲渡所得」となります。
出口シミュレーション
不動産投資は、売却(出口)まで投資の成否が分かりません。
投資開始時、投資期間中を通して、現状にあったシミュレーションを行って
1.CFで借入返済できる売却額はいくらか
2.売却で必要になる税額はどのくらいか
3.インカム・キャピタル合わせた投資成績(自己資金回収率等)はどうか
※3.の関連記事はこちら
を確認する必要があります。
※アセットランクシミュレーターを利用して売却シミュレーションをする方法をご紹介しています。
不動産投資指標を効率よく利用する方法
不動産を投資目的で購入する場合、投資に適格かを判断する為に、様々な指標を利用します。
逆に色々な指標の中で、どの指標を利用するべきなのか悩む場面もあります。
そこで、今日のメールセミナーは不動産投資指標についてです。
不動産投資指標の区分
投資指標を大きく区分すると以下の4つに区分できます。
■利回り指標
■投資効率指標
■安全性指標
■キャッシュフロー指標
4つの区分にまとめた指標を確認すると
最低限確認したい指標
ご紹介した一覧の中で、最低限利用したい指標は以下です。
1.CCR
「税引き前キャッシュフロー÷ 自己資金×100」
2.BE%
「(維持管理費(年)+支払額(年))÷潜在的総収入(年)×100」
3.税引後キャッシュフロー(CF)
※指標の各リンクよりそれぞれの指標の詳細を確認できます。
理由は、収益性と安全性をバランスよく確認できるからです。
不動産投資を検討する場合、どうしても高利回り等の収益性に目がいきがちです。
しかし、投資にリスクはつきものです。それだけに、安全性指標も必ず確認する必要があります。
具体的な基準
3つの指標で最低限超えておきたい基準は
1.CCR
⇒CCR10%以上
CCRが10%以上の場合、税引き前キャッシュフロー基準で10年以内に、投資した自己資金を回収できます。
2.BE%
⇒70%以下
70%以上の場合には、空き室、家賃下落、金利上昇等の変動に弱い可能性があり注意が必要です。
3.税引後キャッシュフロー
⇒投資期間中に赤字の年が無い
税引き後キャッシュフローに赤字の年がある場合は、自分の財布から持ち出しが発生しますので要注意です。
バランスのいい確認が必要
最終的な意思決定をするには、さらに家賃や空き室率を変動させたシミュレーション等が必要です。
しかし、初期段階の分析としては最低限
1.CCR
2.BE%
3.税引後キャッシュフロー(CF)
の3つの指標を利用することでバランスの良いシミュレーションが可能になります。
※アセットランクシミュレーターを利用して3つの指標を確認する方法をご紹介しています。
不動産投資で重要性が増す売却のキャッシュフロー
家賃収入(インカム)でキャッシュフローをどの程度得られるか。
ここ20年近く不動産投資の重要なテーマはインカムによるキャッシュフローを中心としたものでした。
理由は、2000年以降、不動産価格の下落局面が長かったからです。
しかし、ここ数年の傾向から、少し考え方を変える必要があります。
インカム+α
当然、インカムのキャッシュフローがプラスであること前提として、
インカム+α、売却(キャピタル)のキャッシュフローに重きをおいて意思決定を行う重要性が強まりそうです。
理由は2つあります。
1.ここ数年の不動産価格上昇
※国土交通省不動産価格指数より作成
グラフを確認すると分かるように、2020年4月⇒2021年10月で約15%価格が上昇しています。
2.今後想定されるインフレ
2022年4月28日の日銀の金融政策決定会合で、
2022年の消費者物価指数の見通しが1.9%へ大幅に引き上げられました。また、円安の状況からも、デフレ⇒インフレの動きは加速しそうです。
そこで、今日は、売却まで考慮にいれた不動産投資計画についてです。
不十分なシミュレーション
これまでも、インカムだけのシミュレーションでは不十分でした。
しかし、今後は、今まで以上にインカムだけのキャッシュフロー分析では不十分になります。
必要性が高まった、売却まで含めた分析をサンプル物件を使って確認します。
利用するのは以下のサンプルです。
年収800万円程度の方が購入した想定で分析します。
売却のキャッシュフローへの影響
以下のシミュレーションは
2022年1月に7,000万円で購入した物件を、10年後の2031年に売却した結果です。
1. 4,850万円で売却
2. 6,000万円で売却
3. 8,000万円で売却
の3つを比較しました。
赤枠内の「税引き後CF累計」と「自己資金回収率」を確認すると
※アセットランクシミュレーター収支詳細機能で分析
※一部を抜粋して表示
2030年迄のインカムでのキャッシュフローの結果は全く同じです。
しかし、売却のキャッシュフローを分析に加えることで大きく結果が異なっているのをご確認いただけると思います。
売却まで含めたキャッシュフローのシミュレーションで、特に確認したいのは、
最低、いくらで売却できれば、自己資金を回収できるかです。
「自己資金回収できない=損失を出した」となります。
どのラインで売却できれば損失が出ないかを把握することは投資の意思決定をするのにも役立ちます。
今回のサンプルの場合は、1.4,850万円がラインになります。
無意味なシミュレーションを行わない為に
2000年以降、しばらくは、不動産価格が下落する期間が多かった為、
表面利回りの高い状態が続きインカムのキャッシュフロー中心に不動産投資の成績を検討することが多かったです。
しかし、表面利回りの低下とインフレを意識すると、これまで以上に売却によるキャッシュフローに重きをおいてシミュレーションを行う必要があります。
また、売却まで考慮にいれた利回りを比較するのに便利なIRRを利用する場面が増加しそうです。※IRRについてはこちらをご確認ください
※アセットランクシミュレーターを利用して売却キャッシュフローとIRRを確認する方法をご紹介しています。