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表面利回り5%以下の物件へ投資しても大丈夫か
人口密集地を中心に物件の利回りが低下しています。
考えられる主な理由は
▼低金利による価格上昇
▼建築費高騰
▼家賃上昇は緩やか
等です。
今日は、このような状況下で不動産投資を進めて大丈夫か?不動産投資シミュレーションを使って検証します。
表面利回り5%の物件
新築木造の表面利回り5%の物件を想定して分析を進めます。
結果はとても厳しいものになりました。しかし、厳しい結果だから投資できないかと言うと、そうとも言い切れません。それでは、その理由とシミュレーション結果を確認します。
シミュレーション結果
シミュレーション結果は以下です。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーター収支詳細機能一部抜粋
正直、投資にならない結果です。
今回は、家賃下落なし・稼働率100%・金利上昇なしの大甘シミュレーションです。
それにも関わらず、2032年(10年目)で投じた自己資金の29.35% 約470万円しか回収できません。さらに、27年後の2049年~税引き後キャッシュフロー(CF)赤字になります。2052年(30年後)でも自己資金の59.77% 約960万円しか回収できません。
インカムゲイン(家賃収入)だけを確認すると検討する余地もないです。
しかし、本当に投資にならないかというと簡単には言い切れません。
2000年前後から、日本の不動産はデフレ前提の投資スタイルでした。デフレ前提の投資スタイルでは、物件価格は年々下落していくことを想定して計画を立てる必要がありました。つまり、下落分を家賃収入で補っていく必要があります。
しかし、現在はデフレ⇒インフレへ移行しつつあります。こうなると、キャピタルゲイン(売却収入)を考慮して計画を立てることが重要になります。では、次にキャピタルゲインを考慮したシミュレーションを行います。
インカム+キャピタル
2038年(15年後)に売却した場合のシミュレーション結果です。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーター売却シミュレーション機能を利用して結果を編集
購入価格の8,000万円を中心に6,000万円~1億円で売却した際の税引き後キャッシュフロー累計・自己資金回収率・BTIRRとATIRRを一覧にしたものです。
BTIRRとATIRRは内部収益率を表します。BTIRR=税引き前キャッシュフロー基準。ATIRR=税引き後キャッシュフロー基準です。
厳密には違うのですが、投資期間中に自己資金を年平均どの程度で運用できるか示す指標とご理解ください。つまり、BTIRR・ATIRRともに数値が高いほど効率よく自己資金を運用できたことになります。
IRRの利用方法としては、例えば、株式運用で配当等を含めて、自己資金をIRR4%で運用できそうな場合に、不動産は比較してどうかというように使います。
※IRRについて
まず、購入価格の8,000万円で売却した場合、自己資金は1,600万円⇒4,200万円(約2.6倍) ATIRR 7.09%で運用できます。1億円では自己資金は約3.5倍 ATIRR 9.32%で運用できます。
このように売却まで含めると、効率よく運用できる可能性のあることが分かります。ちなみに売却価格約4,800万円以下になると、自己資金1,600万円を回収できずに投資として成り立たなくなります。
インフレ時代の不動産投資
デフレ時代はインカムゲインのキャッシュフローシミュレーションが中心でした。しかし、インフレ時代にはインカムゲインに加えて、キャピタルゲインの分析も重要になります。
インカムゲインでキャッシュフローに赤字の年がないかに加えて、〇円で売却できた場合にどの程度の運用ができるか。 最低〇円で売却できれば自己資金を回収できるか。 についてのシミュレーションも必要なります。
※アセットランクシミュレーターを利用して「インフレ時代の不動産投資で確認しておきたい項目」をシミュレーションする方法を動画でご紹介します。
収益物件の購入前にシミュレーションすべき3項目
不動産投資シミュレーションの何を重要視するかは、投資目的、投資家さんの属性等によって異なります。
しかし、そんな中でも、確認しておきたい3項目があります。
確認しておきたい3項目
確認しておきたい3項目は
1.投資期間中にキャッシュフロー赤字はないか
2.BE%(BER)は70%以下か
3.売却シミュレーションで赤字にならないか
それでは、この3つが重要な理由と確認方法についてです。
3項目を確認すべき理由
1.投資期間中にキャッシュフロー赤字はないか
「キャッシュフロー赤字=他の収入から持ち出し発生」を意味します。不動産投資は長期間に及びます。シミュレーション段階で、10年・20年とキャッシュフロー赤字はないか確認が必要です。
2.BE%(BER)は70%以下か
BE%は損益分岐点を表すものです。この数値が低ければ、低いほど、家賃下落・空室等発生した際にキャッシュフロー赤字になりにくいです。投資期間中には何らかの変動はつきものです。その変動に耐えられるのかを確認するために利用します。
※BE%(BER)の詳細は「不動産投資で利用したい各種指標」をご確認ください。
※家賃変動に関するご参考記事(外部サイト)「駅近コンパクトタイプのアパートは、賃料の経年変化から見た安定性が最も高い」
3.売却シミュレーションで赤字にならないか
どんなに家賃収入が安定していても、出口(売却)で失敗すれば、不動産投資は失敗します。いつ頃売却するか決めていない場合にも、仮に●年後に売却した場合に「売却で借入返済できるか」 「売却後に自己資金回収できるか」のシミュレーションは必須です。
それでは、具体例を確認しながら進めます。
サンプルシミュレーション
以下はサンプルシミュレーションです。
1.投資期間中にキャッシュフロー赤字はないか
キャッシュフロー赤字の無いことが分かります。まず、家賃収入(インカムゲイン)という点ではクリアです。
2.BE%(BER)は70%以下か
BE%は68.38%と70%以下です。ある程度の変化には対応できそうです。ただし、今回は家賃・維持管理費・金利等一定のシミュレーションです。さらに、変動シミュレーションを行った中で範囲内に入るかの確認を行うとベストです。
3.売却シミュレーションで赤字にならないか
売却時に借入返済できることが分かります。また、家賃収入の累積キャッシュフローと売却キャッシュフロー合計は約3,065万円です。自己資金(1,600万円)を十分回収できます。
売却価格をどの位で設定したらいいかを知りたい場合は「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」をご参考に検討してください。
今回のサンプルシミュレーションは、すべての項目をクリアしました。では、次に、万が一、クリアしなかった際に、見直すべき内容についてです。
※シミュレーション結果は不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターの収支詳細機能より抜粋
投資に向けての見直し
次に、シミュレーション結果が思わしくない場合、どのような改善が必要かです。
1.投資期間中にキャッシュフロー赤字発生
⇒家賃を上げることはできないか
⇒維持管理費を下げることはできないか
⇒自己資金を増やして借入額を減らせないか
⇒借入金利を下げられないか
2.BE% 70%超過
⇒家賃を上げることはできないか
⇒維持管理費を下げることはできないか
⇒自己資金を増やして借入額を減らせないか
⇒借入金利を下げられないか
3.売却シミュレーションで赤字
⇒売却可能な価格は上昇しそうか
⇒自己資金を増やして借入額を減らせないか
これらの案を検討して、見直しが難しそうならば、投資を見送る判断も必要です。
収益性と安全性のバランス
最低限確認したい3項目をご紹介しました。最終的な判断をする場合は、これに加えて、収益は投資目標に届きそうか。家賃・空室・金利を変動させて、どの程度の変動まで耐えられるか等のシミュレーションを行うことが必要です。
不動産投資シミュレーション結果は、収益性と安全性のバランス考慮して確認することが重要です。
※アセットランクシミュレーターを利用して「収益物件の購入前にシミュレーションすべき3項目」を確認する方法を、以下の動画でご紹介しています
バランスシートで不動産投資の進捗を確認する
不動産投資の目的は投資家さんによって様々あります。
もし、不動産投資の目的が「資産を増やす」ことの場合、1年に1回は確認していただきたいものがあります。
定期的に確認したいもの
定期的に確認していただきたいのは、バランスシート(B/S)です。
※バランスシート参考ページ(外部ページ)ご紹介します。
■貸借対照表(バランスシート)とは?読み方・見方を解説
■本当の家計の健全度がわかる家計のバランスシート
B/Sを定期的に確認すべき理由は
「資産がどのくらい増加したかを確認するのに便利」
だからです。
B/Sと聞くと、難しく考えてしまいがちです。
しかし、企業が作成するような厳密なB/Sを作成して、確認するという意味合いではありません。
目的は純資産は増加しているか、減少しているかを確認することです。
B/Sの種類
確認したいB/Sは2種類です。
1.個人資産全体のB/S
不動産に限らず、預金、株等全ての資産と借入のB/S
2.不動産投資のB/S
不動産投資のみのB/S
イメージがつきづらいと思いますのでサンプルをご確認ください。
1.個人資産全体のB/S
ポイントは、不動産部分は購入時の価格ではなく売却可能な価格*を入れる点です。
※売却可能な価格を検討する方法は「3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する」をご確認ください。
売却可能な価格でB/Sを作成して純資産が、増加してれば資産運用は成果をあげています。逆に、減少していれば運用方法を見直す必要があります。
また、純資産が増えている場合は、目標値に届いているかの確認も必要です。
不動産投資のB/S
そして、もう1つ確認したいのは、不動産投資だけのB/Sです。
理由は、個人資産全体のB/Sだと、株の成績等が加味されて不動産投資の成績を確認しにくいからです。
不動産投資だけのB/Sサンプルは以下です。
基本は個人資産全体のB/Sと変わりません。
大きく違うのはB/Sの向かって左上部分が税引き後キャッシュフロー(CF)累計になっている点です。
不動産投資の本当の手取りである税引き後キャッシュフロー累計と売却可能な物件価格でB/Sを作成することで
▼インカムゲイン(家賃収入)の資産増加(減少)
▼キャピタルゲイン(売却収入)の資産増加(減少)
を加味した資産状況を確認できます。
定期的に確認
不動産投資をしていると、つい、目先のキャッシュフロー等ばかりに注目してしまいます。
しかし、不動産投資を進める目的が「資産を増やす」ことの場合、重要なのは 純資産を増やすことです。
資産状況を把握するのに、バランスシートを利用すると便利です。
純資産が増加して不動産投資の目的を達成しているか確認する際の参考にしていただければと思います。
不動産投資へ金利上昇が及ぼす2つ影響
2022年12月20日に日銀はYCC(イールドカーブ・コントロール)運用の見直しを発表しました。
長期金利変動幅を「±0.25⇒±0.5%」に変更しました。
政策金利は-0.1%で変更していませんので、アメリカのような利上げではありません。
しかし、長期金利に影響を与える点と利上げを進める1歩目では、ということで為替(円高)・株(下落)もかなり反応しました。
実際、10年債は一時的に0.25%程度上昇しました(12/2316:30時点10年債金利は0.382%)。
当然、金利上昇は不動産投資にも大きな影響があります。
不動産投資と金利
金利上昇は、基本的に不動産投資へマイナスの影響しかありません。
今回の日銀の政策変更で直接的に影響を受けるのは固定金利です。
金利上昇の影響は大きく分けると
1.利息支払増加でキャッシュフロー減少
2.表面利回り上昇で物件価格下落
の2つです。
1つめの影響
1つめの影響は、想像しやすい影響だと思います。
借入金利上昇で利息支払増加、キャッシュフローが減少することです。
不動産投資シミュレーションで影響を確認します。
今回の政策変更で影響を受けるのは主に固定金利です。10年固定で物件購入したことを想定してシミュレーションします。
サンプル物件は新築・1億円・表面利回り7%です。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーター収支詳細機能の結果を一部抜粋
●2.25% ●2.5% ●2.75% 3種類のキャッシュフローシミュレーションです。
税引き後キャッシュフローを金利2.25%と比較すると
▼2.5%(+0.25%)
年間 約10万円
10年間累計 約110万円
▼2.75%(+0.5%)
年間 約20万円
10年間累計 約220万円
と本当の手取りである税引き後キャッシュフローは大きく減少します。
2つめの影響
2つめの影響は物件価格下落です。
金利上昇でキャッシュフロー減少
⇩
減少分を補うためにより高い利回り必要
⇩
物件価格下落
という流れで物件価格は下落します。
サンプル物件の10年間の税引き後キャッシュフロー累計減少分を補うには
▼+0.25%
物件価格 約9,700万円
表面利回り 約7.22%
▼+0.5%
物件価格 約9,420万円
表面利回り 約7.43%
になる必要があります。
このように、購入時より資産価値が下落することで、出口戦略(売却)に影響を与えます。
以下のシミュレーションは出口(売却)までの影響を考慮した結果です。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーター収支詳細機能の結果を一部抜粋
▼+0.25%⇒約410万円手取り減少
▼+0.5%⇒約820万円手取り減少
と資産運用に大きく影響を与えるのが分かります。
金利上昇の影響は大きい
不動産投資には、空室・家賃下落等、様々なリスクが存在します。その中でも金利上昇リスクは、自分でコントロール困難という点で一番のリスクといえます。
徐々に金利上昇リスクの足音が聞こえてきたこのタイミングで、金利上昇の影響をシミュレーションするきっかけにしていただければと思います。
※アセットランクシミュレーターを利用した金利変動シミュレーションの具体的な操作方法を、以下の動画でご紹介しています
デッドクロス発生メカニズムとシミュレーション
「デッドクロス」という単語を1度は聞いたことがあると思います。
不動産投資で使うデッドクロスは
「減価償却費<元金返済額」
となる状態を言います。
今日は、不動産投資の重要な用語である。デッドクロスについてです。
不動産投資家が注意する理由
なぜ、不動産投資家はデッドクロスに注目するのでしょうか。
理由は税引き後キャッシュフローの大きく減少するタイミングになるからです。
では、デッドクロスに影響を与える項目と発生メカニズムを確認していきます。
デッドクロスに影響を与える項目
デッドクロスに影響を与える項目は
■元金返済額に影響
・自己資金額
・借入種類(元利均等・元金均等)
・金利
・借入年数
■減価償却費に影響
・物件価格に占める土地・建物・設備の割合
・建物種類(法定耐用年数)
・築年数
これらの項目によって、デッドクロスが発生する時期、影響の大きさが異なります。
では、なぜ「減価償却費<元金返済額」のデッドクロスが発生すると税引き後キャッシュフローは減少するのでしょうか。
理由は、キャッシュフローと課税所得の計算方法の違いにあります。
キャッシュフローと課税所得
それぞれの計算式は
■キャッシュフロー(CF)
収入 - 経費 - 元金返済 – 利息返済
■課税所得
収入 - 経費 - 利息返済 - 減価償却費
※課税所得とキャッシュフローの違いを詳しく確認したい場合は「今さら聞けないCFと課税所得の違い」をご確認ください。
元金返済と減価償却費をキャッシュフローと課税所得の計算式で比較すると
■元金返済
・キャッシュフローに影響あり
・課税所得に影響なし(損金にならない)
■減価償却費
・キャッシュフローに影響なし
・課税所得に影響あり(損金になる)
この差が要因でデッドクロスが発生すると、収入・支出は変わらないのに、税金支払いが増加して、本当の手取り額である税引き後キャッシュフローに影響を与えます。
デッドクロスのシミュレーション
では、デッドクロスのサンプルシミュレーションを確認します。
※不動産投資シミュレーションツール アセットランクシミュレーターの収支詳細機能一部抜粋
上記シミュレーションのキャッシュフロー(CF)とデッドクロス発生は、元利均等返済で中古木造物件を購入した際によくあるパターンです。
不動産投資前半は、減価償却費が元金返済額を大きく超えるため、課税所得はマイナスになり、税金支払いは発生しません。
しかし、年々、元金返済が進み、借入残高減少⇒利息支払割合減少・元金返済割合増加で、課税所得額が増えていきます。
そして、2033年に減価償却が終了することで、デッドクロスが発生します。このタイミングで所得税等の税額が跳ね上がり、税引き後キャッシュフローはマイナスになります。つまり持ち出しになります。
このサンプルシミュレーションはデッドクロス発生が、収益に大きな影響を与える1つのパターンです。
投資前にデッドクロスを確認
サンプルシミュレーションを確認して分かるように、デッドクロス発生が影響の大きい投資パターンが存在します。
デッドクロス発生タイミング、影響の大きさは、デッドクロスに影響を与える各項目の内容によって大きく異なります。
物件購入前にどのタイミングでデッドクロスが発生しそうかに注目して、不動産投資シミュレーションを行う必要があります。
※アセットランクシミュレーターを使ってデッドクロスの発生タイミングとキャッシュフローへの影響を確認する方法をご紹介しています
必要に応じて3つの利回りを使いこなす方法
物件の収益性を比較する際に、ほぼ100%の投資家さんが利用する指標は「利回り」です。
ただ、利回りにも種類があり、利用する場面によって最適な利回りを選択する必要があります。
今日のメールセミナーは、3つの利回りを比較して、それぞれの利用場面を確認します。
3つの利回り
今日、ご紹介する3つの利回りは
1.表面利回り
2.FCR
3.CCR
です。
それでは、3つの利回りを比較します。
3つの利回りの特徴
3つの利回りの概要と利用場面をまとめました。
それでは、それぞれを詳しく確認します。
3つの利回りの利用方法
1.表面利回りは、多くの方が利用にしたことのある利回りだと思います。物件紹介サイト等で利用されるのは、ほとんどが表面利回りです。
しかし、収益性を比較するために利用する際の信頼度は低いです。それでも利用頻度が一番高い理由は「簡単に計算できる」からです。
潜在的総収入(満室想定家賃)と物件価格の2つの情報があれば計算できます。簡単に計算できるので、多くの物件を比較するのには便利です。しかし、絶対に表面利回りだけで投資判断をしてはいけません。
表面利回りは、取得時の諸費用と維持管理費が計算に入っていません。この2つの要素は不動産投資の収益に大きな影響を与えます。この2つが入っていない表面利回りでの投資判断は避けなければいけません。
投資判断をするためには、
2.FCRを利用して、維持管理費や取得時の諸費用を加味して、より正確性の高い利回りで判断する必要があります。
3.CCRは、1,2の利回り指標とは少し異なり、自己資金の投資効率を確認するのに利用します。この指標を利用する投資家さんは、1,2の指標と比較すると少数です。しかし「不動産購入=投資」と考えている場合には重要な指標です。
理由は、
■自己資金回収率が高ければ、次の物件購入に回収した自己資金を利用できる
■他の投資対象(株式、REIT等)と投資効率を比較できる
からです。
ただ、借入内容等が煮詰まってきた段階にならないと計算できないため、1,2の検討が終わった後に確認する指標になると思います。
利回りは目的に合わせて利用
一般的に利回りというと、表面利回りを思い浮かべると思います。しかし、先ほども書いたように、表面利回りだけで投資判断するのは本当に危険です。
利回りは、場面によって適切に選択して利用する必要があります。
※動画でアセットランクシミュレーターを使って3つの利回りを確認する方法をご紹介しています
3つの指標で所有物件をいくらで売却できるか確認する
不動産価格が上昇したこともあり、私の周辺でも、物件売却を検討している人が増えています。
売却の際に忘れてはいけないのが「売却したい価格 ≠ 売却できる価格」だということです。
今日は、事前に売却できる価格を検討する方法についてです。
売却できる価格
売却できる価格を検討する際も不動産投資指標を利用します。
1.収益還元法
2.積算価格法
3.相場的価格法
聞いたことのある指標ばかりだと思います。
3つとも、投資に見合う物件か判断するのに利用する指標です。
投資物件は、一部物件を除いて、売る相手も投資目的で購入する人です。住宅用のように「少し高いけど素敵だから買おう」とはなりません。
売却相手も、不動産投資指標を使って、割高か、割安かを判断して購入を決定します。
つまり、売却時にも不動産投資指標を使って、売却できる価格(相手が割安に感じる)を検討できるということです。
それでは、3つの指標の利用方法を確認します。
3つの指標を利用する
3つの指標の利用方法と計算方法をまとめました。
それでは具体的な手順についてです。
3つの指標を利用する手順
▼手順1:物件種類によって利用する指標を決定
■1棟物⇒収益還元法と積算価格法
■区分所有⇒収益還元法と相場的価格法
1棟物は、相場的価格法は類似物件を複数探すのが難しいため利用しません。
区分所有は、積算価格を購入時に利用する投資家は多くないため利用しません。
▼手順2:2つの指標を計算
上の表の計算式で計算を行います。
▼手順3:2つの指標を比較
2つの計算結果は多くの場合、乖離する金額になります。
乖離のある時は、収益還元法を優先して、
■収益還元法 < 積算価格・相場的価格:収益還元法より高い金額で売却できる可能性あり
■収益還元法 > 積算価格・相場的価格:収益還元法より低い金額が妥当な価格の可能性あり
と判断します。
1年に1回の確認は必須
推定の売却価格シミュレーションは、本格的に売却を検討する時だけではなく、1年に1回程度行うことをお勧めします。
理由は、不動産投資の弱点の1つである、流動性の低さ(現金化しずらい)を少しでも補うためです。
突発的な有事(社会的な、個人的な)が発生した場合、現金化しずらい点は大きなリスクになります。このような際も、「○○円ならば売却できる可能性が高い」ということを知っていることで焦らず対応できます。
不動産を市場より安く購入できるケースの多くは、現金化を急ぐ人からの購入です。逆に言えば、現金化を急がなくてはならない時に買いたたかれる可能性があるということです。
日頃から、売却できる価格を知っておくことで、不利な状況を少しでも防ぐことができます。また、自分の資産状況(B/S)の把握にも役立ちます。
ご参考にしていただき、定期的に売却できる価格を確認するきっかけにしていただければと思います。
※動画でアセットランクシミュレーターを使って3つの指標を計算する方法をご紹介しています
不動産売却に必要な知識「取得費」
円安による海外投資家の流入、低金利の継続等の影響で、不動産価格は10年前には考えられないくらい高くなっています。
このような環境もあり、含み益の発生している不動産の売却を検討している投資家さんが増えています。
今日は、不動産売却に必要な知識「取得費」についてです。
取得費とは
取得費は、売却時の譲渡所得を計算する際に利用します。
譲渡所得は
譲渡所得 = 売却価格 – 取得費 – 譲渡費用
で計算します。
物件を個人で所有していた場合は分離課税で、譲渡所得に以下の税率をかけたものが税額になります。
■短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%
■長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%
20%超の税金がかかります。出口戦略を考える際に譲渡所得に大きな影響のある取得費は重要項目であることがお分かりいただけると思います。
では、取得費の計算方法についてです。
取得費の計算方法1
物件価格に物件購入で必要になった諸費用、改修費等を加算した金額が取得費になります。
ただ、全ての諸費用が含まれる訳ではありません。
取得費に含まれる主な諸費用は以下です。
■仲介手数料
■固定資産税清算金
■資産価値向上に繋がる改修費
登録免許税・不動産取得税・印紙税・ローン手数料は、損金として処理しますので取得費には含みません。
サンプルを確認すると
このサンプルの場合、物件価格+仲介手数料の合計が取得費になっています。
しかし、これだけでは売却時に利用する取得費の計算はできません。
取得費の計算方法2
取得費は大きく分けると、土地と建物(設備含む)に分けられます。
建物部分に関しては、毎年、減価償却して費用化していきます。
この費用化した減価償却の累計額を取得費からマイナスする必要があります。
※アセットランクシミュレーター収支詳細機能一部抜粋
今回のサンプルの場合、減価償却累計額の12,192,047円を取得費(償却前)の51,716,000円から引いた39,523,953円が取得費になります。
また、譲渡所得は「売却価格-取得費-譲渡費用」の3,676,047円になります。
出口戦略を考える際の必須知識
投資前に出口戦略(売却)を考慮に入れた不動産投資シミュレーションを行うことは重要です。
その際の税額シミュレーションを行うには取得費の知識は必須です。
出口を考慮したシミュレーションを行う際の参考になれば幸いです。
※アセットランクシミュレーターを利用して売却シミュレーションを行う方法を動画でご紹介しています。
築20年の木造とRCのキャッシュフローを比較する
中古物件への投資は、新築に比較して利回りの高さなど、新築にない魅力があります。また、中古物件ならではの物件構造によるキャッシュフローへの影響があります。
今日は、中古のRC・木造に投資した場合のキャッシュフロー傾向についてです。
中古物件への投資
中古物件への投資は、RCと木造でキャッシュフローの傾向に大きな違いがあります。
キャッシュフロー(税引き後)の傾向は、
投資前半は木造が多く。一定時間を経過するとRCが多い
です。
この特徴は、不動産投資で非常に重要な項目が要因で発生します。
木造・RCならではの特徴
ここからは、サンプル物件を使って比較します。
築20年の物件です。木造とRCのキャッシュフローの特徴を分かり易く比較できるように、
現実にはあり得ないのですが、物件構造が異なる以外は同条件でシミュレーションします。
大きく違うキャッシュフロー
それぞれのキャッシュフローシミュレーション結果は以下です。
※アセットランクシミュレーター収支詳細機能一部抜粋
まず、確認していただきたいのは、税引き後キャッシュフロー(CF)です。
税引き前キャッシュフロー(CF)は同じです。しかし、税引き後キャッシュフローは大きく異なるのがお分かりいただけると思います。
投資6年目の2028年迄は木造が約15~50万円多いことが分かります。しかし、投資7年目の2029年~はRCが約50万円多くなります。
理由は、シミュレーション一番下の欄の減価償却費にあります。
築20年(住居用)の木造は法定耐用年数が6年と短く、短期間で減価償却されます。
それに対してRCは31年と長いため、1年当たりの償却額は小さくなります。
そのため、木造の税金負担は小さく、RCの税金負担は大きくなります。
しかし、木造は6年で減価償却を終えてしまいます。7年目から急激に税負担が増加して、税引き後キャッシュフローが減少します。
※耐用年数と課税所得の計算方法については以下の記事をご参照ください。
■中古物件の耐用年数の計算方法を理解する
■今さら聞けないCFと課税所得の違い
特徴を考慮した投資計画
同じ築年数の物件に投資しても、木造、RC等の物件構造によって大きく結果が異なります。
この ように投資する物件の特徴によって、Aさんには良い物件でも、Bさんには向かない物件ということがおこります。
物件構造によるキャッシュフローの特徴をふまえて、その物件が自分の投資目的に見合う物件か判断する必要があります。
※アセットランクシミュレーターを利用し物件構造毎のキャッシュフローを確認する方法をご紹介しています。
そのサブリース契約は本当に必要か検討する方法
不動産投資の大きなリスクの1つは「空室」です。空室期間は収入0ですので本当に大きな影響があります。
さらに、不動産は空間と時間を売る投資(経営)です。他の事業と異なって繁忙期に取り返すということはできません。空室でマイナスになった分を取り返すことは、ほぼ不可能です。
そんな空室のリスクヘッジをする方法として、一般的なのがサブリースです。サブリース契約をすることで空室、家賃下落時にも契約した一定の収入を受け取れます。
しかし、「安定して収入を得られるから安心だし契約しよう」と思考が停止してしまうと不要なサブリース契約を結ぶ羽目になりかねません。
今日は、サブリースが必要か不動産投資シミュレーションする方法です。
サブリース契約の判断基準
サブリース契約をするか、しないかを検討する方法は単純です。
「サブリース契約有りキャッシュフロー > サブリース契約無しキャッシュフロー」
の場合はサブリース契約をした方が得になります。
では、具体的なシミュレーションをご紹介していきます。
サブリースが必要かシミュレーションする
サブリース契約のシミュレーションをするポイントは以下の2つです。
1.保証賃料は何%か?
2.初回免責期間はあるか?
1.保証賃料は多くのサブリース契約で、満室想定家賃(潜在的総収入)の80〜90%程度です。
2.初回免責期間は、契約開始後の○日分の家賃は受け取れないという契約になります。
初回免責期間の無い契約もありますが、投資仲間に聞いていると、免責期間がある契約も多いようです。
キャッシュフローシミュレーション
それでは、サブリース契約有りと無しのシミュレーショ行います。
サンプル物件は
サブリース契約の内容は
◆保証賃料:満室想定家賃の83%
◆初回免責期間:60日間
です。
対してサブリース契約無しは、現実的な比較ができるように空室と家賃下落を見込みます。
◆空室率:10%(年)
◆家賃下落:1%(年)を築20年迄
※家賃下落に関する分析レポート(外部サイト)
※アセットランクシミュレーター収支詳細画面一部抜粋
上がサブリース契約有り、下が無しの結果です。
確認していただきたいのは、二重線部分の税引き後キャッシュフロー(CF)累計と自己資金回収率です。10年目までは契約有り、無しも同程度の結果です。しかし、家賃下落が続くことで20年目には契約有りのキャッシュフローが大きく上回ります。
このサブリース契約であれば、契約した方が良い結果です。しかし、サブリース契約には、もう1つ注意点があります。
サブリース契約の注意点
サブリース契約のもう1つ注意点は「保証家賃が一定ではない」という点です。この注意点は一時期、社会問題にもなり、サブリース契約の法律が改定されました。
つまり、家賃が下落する、契約の家賃では空室が埋まらない等の場合、保証家賃を変更される可能性があるということです。
保証家賃が5年毎に家賃下落に合わせて改定されたシミュレーションを行うと
※アセットランクシミュレーター収支詳細画面一部抜粋
サブリース契約無しの収益性を下回ります。しかし、20年後に100万円程度の差ですので、サブリース契約で借主を募集する手間、安心感を考えると、今回のシミュレーション結果は、サブリース契約を検討するメリットはありそうです。
サブリース契約有り・無しの比較
サブリース契約と聞くと「○年間家賃が保証されるから安心」という理由で、契約無しと比較を行わずに契約してしまう投資家さんもいらっしゃいます。
しかし、ご紹介したように、不動産投資シミュレーションをして比較することで、契約するメリットとデメリットが見えてきます。
サブリース契約は契約後に解除するのが難しくなる場合もあります。
契約前に比較検討をすることをお勧めします。その際に今日の内容がお役に立てれば幸いです。
※アセットランクシミュレーターでサブリース契約が必要かシミュレーションする方法を動画でご紹介しています